英検1級道場-人生相談に近い問い合わせが来るようになりました
一昨日、元受講生から2022年度の通訳案内士試験が行われたという報告がありました。
この人は、英検1級合格者ですので、英語試験は免除となり、日本歴史、地理、一般常識、通訳実務の4科目の試験となります。
自己採点を見ると、試験問題の内容が想像できます。
何十年も変わっていないことですが、この試験の社会科の問題は、「非常識」といって差し支えないようなものが出題されることがあります。
通訳案内士試験は、日本に来る外国人観光客に外国語で案内するための能力を判定する試験のはずです。
なのに、問題作成者の意図を疑わざるを得ないような問題が出されることがあるのです。
出題の仕方も不親切と言わざるをえない、紛らわしいものがあります。
まるでクイズのようであり、出題者が趣味で作っているのではないかと思えることがあります。
最もはっきりと記憶に残っているのは、
「明治の地租改正によって、北海道の不在地主の税率が何パーセントになったか?」と言う問題です。
山川出版社の日本史の教科書の欄外にある、税制の専門家以外にはどうでもいいようなことです。
この問題を見て、私はとても腹立たしく思いました。
これまで英検1級合格者数名が英語免除で挑戦しましたが、試験内容に上記のようなものが含まれているために、挑戦をやめてしまった方がいます。
私は、この試験で英語以外の試験項目の勉強を続けるべきかと相談を求められたときに、さっさとあきらめて別のチャレンジをするように推奨しました。
このような現状が変わらない限り、資格のない人が有料でガイドする状態が蔓延し、試験に合格すること自体が無意味になる状況が生まれることを心配します。
注:中学、高校の教科書には出ていないが、妥当と思われる出題があることは認めています。また、お遍路、野点(のだて)、菖蒲(しょうぶ)などの日本的事象を示す、普通は出てこない味わい深い単語や表現を学ぶことができるとい利点があることは私は高く評価しています。
ですから、私が言いたいのは、良質な問題が多い中で、突然、出題者の意図を疑わざるを得ない悪質と言って差し支えない問題がところどころに見られることが問題だということです。
かなり高度で良質な問題がしっかりと解ける力があるにもかかわらず(通訳案内士としては十分な資質がある)一部に悪質と言わざるをえないような問題があり、それが突破できないために取り組みをあきらめざるを得ない現状があることを憂えているのです。
ちなみに、通訳案内士試験の1次試験の英語はおそらく英検2級レベルの人でもギリギリで合格できるであろう、という印象です。
その点でいえば、英検1級合格者が英語試験免除というのは、妥当な対応だと思います。
通訳案内士試験合格を目指して勉強している方には、申し訳ない言い方ですが、これが私の正直な意見です。
誤解されることを覚悟のうえで書いています。
*私は、通訳ガイド試験、通訳案内士試験(通訳ガイド試験がこちらに移行)の両方に合格しています
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では、英検1級はどうなのか、という質問があると思います。
答えは明確です。
英検2級や準1級のレベルの人にとっては、英検1級は難しすぎて非常識に思えるかもしれません。
それは完璧な誤解と言って差し支えないと思います。
英検1級は、アメリカやイギリスの優秀な高校生であれば、満点がとれる試験内容です。
例えていえば、英検1級は日本語が堪能なアメリカ人が、日経新聞の政治・経済記事や朝日新聞の社説がスラスラと読めるイメージです。
これらが読めなければ、日本語が堪能とは言えませんね。
ちなみに、ジャパンタイムズは2級レベルの人にとってはかなり困難ですが、高校以上の教育を受けたアメリカ人なら、スラスラ読める内容です。
ジャパンタイムズは、記事は英検1級レベルで作成していると話しています。
つまり、英検1級レベルの英語は、非常識ではありません。
英語が堪能であることを目標にするなら、まずは英検1級合格を目指すのが妥当だと考えます。
英検1級道場では、英検1級1次試験合格50回の私が、わかりやすく指導していきます。