「お名前を、もう一度」――担当が替わっても、つながる安心

こんにちは。
一般社団法人 全日本花輪式完全消臭連盟、代表理事の花輪隆俊です。
とある町の、小さな賃貸住宅。
一人で暮らす男性には、毎日欠かさない習慣がありました。
朝、自分の食事より先に猫のご飯を用意すること。
仕事から帰ると、玄関で待つ猫に「ただいま」と声をかけること。
「お前がいるから、帰ってくるのが楽しみなんだ」
誰に聞かせるでもなく、そう話しかけていました。
離れて暮らす妹は、兄が猫を大切にしていることを知っていました。
けれど、いつものご飯がどこにあるのか、通っている動物病院はどこなのか、聞いたことはありませんでした。
兄が突然亡くなり、猫は妹に引き取られることになりました。
部屋には、買い置きの猫砂。
きれいに洗われた食器。
何度も遊んだ跡のある、小さなおもちゃ。
どれも、兄がこの子との明日を疑わずに暮らしていた証しでした。
荷物をまとめる妹のそばで、猫は玄関を見つめていました。
その姿を見て、妹は思いました。
「この子を大切にしていた兄と、もっと話しておけばよかった」
私たちは、ペットを家族として大切にします。
食事を選び、体調を気遣い、できるだけ長く一緒にいたいと願います。
その一方で、自分が突然帰れなくなった日のことは、話しそびれていないでしょうか。
これは、一人暮らしの高齢者だけの問題ではありません。
年齢にかかわらず、急な入院や事故で、いつものお世話ができなくなる日はあり得ます。
今日、身近な方と一つだけ話してみてください。
「私に何かあったら、この子をお願いできますか」
その際は、相手が引き受けられるかを確かめ、ご飯や薬、かかりつけの病院、緊急時の連絡先も共有しておきましょう。
大家さんや管理会社の皆様にも、入居者様と備えを話し合う際に、「ペットを託せる方はいますか」という問いを添えていただければと思います。
私たち全花連は、特殊清掃や完全消臭に携わる立場から、住まいに残されたものと、その先を考える大切さをお伝えしていきます。
いつもの玄関で、いつもの足音を待つ命がいます。
今夜、この子をなでながら考えてみてください。
自分に万一のことがあったとき、この子の「明日」を誰に託すのかを。
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