「持ち帰って読んでもいいですか」――安心は、納得する時間から

全花連の花輪隆俊です。
安心のための備えというと、「誰かに迷惑をかけないため」と考える方もいらっしゃるかもしれません。
でも私は、自分が好きな暮らしを、これからも大切にするために考えてよいものだと思っています。
今日は、窓辺の鉢植えを楽しみにしている、一人暮らしの美紀さんのお話です。
朝、カーテンを開けると、まず葉の様子を見る。
土に触れて、水やりが必要かを確かめる。
少しずつ育つ姿を見つけるのが、美紀さんの日課でした。
友人と出かける日もあれば、部屋でゆっくり過ごす日もあります。
近くに身内は暮らしていませんが、気に入った部屋で過ごす毎日を、美紀さんは大事にしていました。
ある日、共用の掲示板に貼られた、管理会社からのお知らせが目に留まります。
そこには「全花連安心サービス」の案内がありました。
万一の後の、部屋の手続きや片付けについて、元気なうちに備えておく仕組み。
美紀さんは、自分の部屋を思い浮かべました。
「もしもの話は、もっと先でいいと思っていたけれど。私のことを、私が決められるうちに聞いてみようかな」
数日後、管理会社の窓口で、お知らせを見たことを伝えました。
「私は、できればこの部屋で長く暮らしたいんです。今から確認しておけることはありますか」
担当者と、契約の内容や手続きについて一つずつ確かめます。
分からない言葉は聞き直し、説明されたことを、自分の言葉でもう一度確認しました。
「備えるというのは、今の暮らしを諦めることではないんですね」
窓口を出るころ、美紀さんの中には、これからの暮らしについて、少し先まで考えてみようという気持ちが生まれていました。
全花連安心サービスは、死後事務委任契約を活用する仕組みです。
これは、ご本人が亡くなられた後に必要となる、部屋の解約手続きなどを、あらかじめ契約で任せておくためのものです。契約内容に沿って、室内清掃・特殊清掃、残置物の処分、完全消臭、鍵の返却までを支援します。
大家さん・管理会社さん・入居者さん、三者とも、安心サービスの導入費・維持費はかかりません。
ただし、実際に必要になる清掃や処分などの費用まで、無条件ですべて無料になるという意味ではありません。対応範囲や費用負担は、契約内容、加入している保険・保証の補償内容、限度額などを確認する必要があります。
まだ導入されていないお住まいでも、「この物件で利用できるか知りたい」と、管理会社さんや大家さんに相談することから始められます。
その日の夕方、美紀さんは窓辺にしゃがみました。
葉の間に、小さな新しい葉が見えます。
「また一枚、増えたね」
来年の春には、ひと回り大きな鉢に替えよう。
そう思いながら、美紀さんは鉢を、いつもの場所へ戻しました。
私は、こうした小さな楽しみのある日常を大切にしたいと思っています。
誰かのためだけでなく、自分が安心して暮らしていくためにも。
分からないことを一つ聞いてみる。その一歩を、全花連は丁寧にお手伝いしていきます。
花輪隆俊
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