ほうれんそうは上司から歩み寄る時代
2022年春に新社会人になった皆さんは、コロナ下において、人に接する機会が極端に減った人たちです。
そんな彼らの特長をまとめ、少しでも新人を受け入れる皆さんの相互理解のお役に立てばと思います。
新人を受け入れる皆さんに知っておいていただきたいこと
新人研修が終わるころになると、今年の新人はこんな傾向が見られますという記事が増えます。この頃の新人は、「Z世代」と言われてひとくくりにされることを新社会人となった本人たちは嫌いますが、成長期を取り巻く社会環境によって、特徴的な傾向があることは否めません。
そこで、今日は、受け入れる皆さんに知っておいていただきたいことをまとめました。
目的、理由を丁寧に説明して、納得させましょう
わたくしの新人研修は、人事担当者や中小企業経営者から「ほんとうに丁寧ですね」という評価をたくさん頂戴します。
なにが丁寧かというと、マナー研修においても「型」として教えるのではなく、「理論的に解説」してから型(フォーム)を整えたり、「目的」を理解してから訓練させたりすることを指摘してのことだと思います。
日本の文化は、本来「型」の美があると思います。礼に始まり礼に終わるなどの「道」は顕著なものです。しかし、ミレニアム世代には響きません。
「あいさつはね、挨という漢字の意味「心を開くことであり」、拶という漢字の意味「相手の心に迫る」というものなの。だから、相手から帰ってくることを期待しないし、自分のためにすることに相手が付き合ってくださるという感覚が必要ですね」と、講師である前に一人の人間としての自分の考えを伝えて、相手がそれに納得できるかどうか、粘り強く解説しなければならなくなりました。
物事の本質を理解したがる世代であり、目的や目標がなければ動かない世代だからです。
相手に合わせることが良いのかと考える時もありますが、理不尽な押しつけを嫌う世代にとって、丁寧に本質や本分を解説するわたくしは「受け入れやすい」大人として、彼らの心に入り込めるようです。ひとたび心に入り込めれば新人たちは心を開き始めますし、自分自身を受け入れてくれる人に対して素直になります。職場の指導係の皆さんは、ぜひ、この「ひと手間」を惜しまないでいただきたいと思います。
勝手に人と比較して、自信や肯定感を下げる
いろんな情報を目にすることができる世代は、勝手な基準で人と比較をします。
例えば、新人たちと休憩をすると、どんな仕事をしてきたかを聞きたがるので、差しさわりがない範囲で、企業規模の大きさや特徴、傾向を話すと、「そんな先生が俺ら(休憩時間中のタメ口はOkにしています)を教えてくれるの?」と感想を聞かされることがあります。
「俺ら?って、俺らはその人たちより劣っていると思うの?」と質問すると、黙って下を向きます。自分に自信がないか、自己肯定感が低いことを指摘された居心地の悪さからでしょう。
「何を基準に俺らが劣っているの?」と聞いても、明確な答えはありません。
漠然とした不安を抱えていることや、どこかで自分は取るに足らない人だと思っているのかもしれません。
「少なくとも、この会社にあなたがいるということは、あなたに期待することがあるからじゃないのかな?ほかの企業に入った人たちは、その企業が期待した人たちであって、この会社の人はあなたに期待をした。だから、その期待に応えるべく、どうすればよいかを考えて能動的に行動することじゃない?」と意見すると、一瞬、自分を取り戻すようです。
失敗は成功の種なのですが、周りの大人が失敗させないようお膳立てをしてしまう。それなのに失敗するから自分を見縊るのかもしれません。
いずれにしても、受け入れる指導係や先輩、上司の皆さんは、基準を設けて他者と比較をすることなく、一人ひとりを正面から見てひとりの人間として共感的に理解することに努めましょう。
アセスメントによる理解も必要
しかし、一番肝心なことは、これまでのように「ひとくくり」にしない対応です。価値観の押しつけなどは、信頼形成の阻害要因にしかなりません。
「集団」から「個」への対応は、職場で早急に実現させなければならない改善です。
わたくしどもでは、社会人基礎力診断の結果と、価値観・興味チェックリストに基づいたパーソナリティ診断と指導法のアドバイスを伴う研修を行っています。
毎年、多くのご提案を申し上げ、採用していただける企業が多くなりました。それほど、先輩社員や上司の皆さんが対応に苦慮されていることの証しでしょう。診断そのものはセルフアセスメントなので、本人に記入してもらうだけと手間はかかりません。指導係や上司の皆さんには、個々に担当される人とのペアリングで解説いたします。もちろん、これらはオンラインの対応が可能です。
どう指導したらいいのかわからない。
今ドキとどう接したらよいかわからない。
職場で浮いている・・・。
何度同じ説明をしてもできない。
などの課題を抱えている職場の皆さん、一度お話し伺いますがいかがでしょうか。ご検討ください。