温泉や湯治で腰痛・ヘルニアに効果的な入浴方法
心身の疲れを癒やし、体調改善効果が期待できる湯治。日頃のストレスを忘れてゆっくりできるのは、最高ですよね。
この疲れを癒やしてくれる湯治にかかった費用も、確定申告をする際に医療費控除が受けられる場合もあることをご存じですか?
ただ、医療費控除を受けるには諸条件があります。全ての条件を満たしている場合にのみ、控除を受けることができるのです。誰でもOKではないのです。では、湯治の医療費控除を受けるための条件や流れを紹介します。
湯治の医療費控除条件について
湯治の際にかかった費用を医療費控除の対象にできるには、次の条件があります。
【1:厚生労働省指定の温泉利用型健康増進施設であること】
温泉利用型健康増進施設とは、厚生労働省が定める一定の基準を満たし、認定された施設のことで、現在は北海道から九州まで全国で22カ所が認定されています(令和2年2月現在)。
その基準とは、温泉療法の知識と経験を持つ医師が在籍する医療機関と提携して、安全で適切に運営されており、温泉利用設備と有酸素運動設備がトータルで整備されていることです。
温泉利用設備とはかぶり湯や寝湯、ミストサウナなどで、有酸素運動設備とはトレーニングジムやプールなどの設備のことです。
この認定施設では、医師が作成した温泉療養指示書に基づいて、温泉利用資格を持つスタッフによる入浴指導と、安全管理、応急処置、生活指導全般が行われます。
「同一施設の中に設備が全て整っていること」という基準が緩和された現在は、同一施設でなくても複数の施設が近隣にあり、かつ一つの施設としてみなし、一体となった運営が可能なことを条件に、認定を受けることができるようになりました。
【2:医師が作成した温泉療養指示書に基づいた温泉療養であること】
温泉療養指示書とは、温泉療法医・温泉専門療法医が「温泉を利用することにより治療効果が期待できる」と診断し、詳細な入浴方法や食事・運動療法などのプログラムを指示した文書です。
【3:温泉療養終了後に証明書を発行してもらうこと】
医師が指示したプログラムを終えたら、指定施設で温泉療養証明書を発行してもらいます。
【4:医療費控除の確定申告を行う】
認定施設の利用料と往復の交通費が医療費控除の対象となり、他の医療費と合算して計算します。宿泊費は対象にはなりません。
確定申告をする際に、上記の温泉療養証明書と認定施設の領収書、交通機関の切符を添付して提出します。
医療費控除を受けるための流れ
医療費控除を受けるための一連の流れは、次のようになります。
【1:医師に相談・温泉療養指示書】
温泉療法医・温泉専門療法医に温泉療法の相談をし、温泉療養指示書を作成してもらいます。
【2:温泉利用型健康増進施設に行く】
医師が作成した温泉療養指示書を持参して温泉利用型健康増進施設に行き、温泉利用指導者に指示書を提出し、施設に入会します。
【3:温泉療法開始】
指導者から、温泉療法指示書に従った指導を受け、温泉療法を開始します。
【4:終了後に温泉療養証明書と領収書を受け取る】
プログラムが終了したら、温泉療養証明書と領収書を受け取り、それを医師に確認してもらいます。
【5:確定申告をする】
確定申告書類に、温泉療養証明書と領収書、他の医療費領収書があればそれも一緒に添付して提出します。
医療費控除を申請できるのは年額負担額が10万円を越えている場合(所得金額200万円未満の場合は「所得金額×5%」の額)で、上限は200万円です。
医療費控除は高収入者がトクする?
【全て自己負担】
医療費控除は受けられるに越したことはありませんが、上記の条件を満たすことが必須です。それには当然、施設利用料がかかります。利用料は保険の適用外なので、全て自己負担になります。
【意外とかかる利用料】
認定施設を利用するには、まず入会金が必要です。そして月会費もかかります。施設によっては、その都度利用料や指導料が別途かかる所もあります。
具体的な料金相場は、施設や地方によって差がありますが、それでもある程度の負担がかかることには違いありません。
都市部のある施設では、入会金が10万円、月会費5万円かかります。安い会員になると入会金2万円に月会費1万1000円ですが、少なくない額と言えます。
【所得に応じた累進課税】
日本の所得税・住民税の税率は、累進課税といって所得が高くなるにつれて税率も高くなります。
例えば、年収2000万円の人の税率は50%なので、単純に計算すると税額は1000万円になります。年収400万円の人の税率は20%で、税額は80万円です。
この税率は医療費控除にも適用されるので、同じ60万円の医療費がかかったとしても、控除額に差が出てきます。
年収2000万円の人は
「60万円-10万円(※)」×50%=25万円
年収400万円の人は
「60万円-10万円」×20%=10万円
上記からわかるように、明らかに高収入の控除額の方が大きくなります。その控除額を引くと年収2000万円の人は35万円、400万円の人は50万円の負担となります。つまり高収入の方が、実質負担額は少なくなるのです。
※10万円または所得金額×5%のどちらか少ない額を実際の医療費から差し引いて、計算します。
こうしてみると、医療費控除は高収入の人ほどトクをするといえそうですね。でも、高収入の人と比べて控除額は少なくても、支払った医療費が少しでも返ってくるのはうれしいことです。
しかし、湯治をして心身共に癒やされて体調も良くなることは、何物にも代えがたい財産なので、医療費控除があることもふまえ、湯治を考えてみてはいかがでしょう。