コラム
金の糸はお勧めできない
2020年10月3日
私はそういう考えです。
なぜか?
それは後々困ることが多いからです。いや、「困ることが多いと自分は思っているから」と言った方が正しいかな。別に金の糸美容術自体の善し悪しを言っているのではありません。私はそれを取り扱ったことがないのでそこまでは言及できませんしね。
俗に言う金の糸とは吸収性の糸に金をコーティングしたものです。糸自体は数ヶ月すると分解されるので、最終的には金の粒子だけが残ることになります。この金がその後も肌に良い影響(刺激?)を与えるらしいです。
さて、金の粒子にQスイッチルビーレーザーを当てると黒く変色します。Qスイッチヤグレーザーも同様の反応を示します。じつは数年前にそうした学会報告があったので(この場合は金の糸ではありませんでしたが)、鶏肉と金箔を買ってきて当時クリニックにあった全てのレーザーや光治療機でテストしたことがあります。実際の臨床現場とは比較条件も違うので人体でも常に同じ結果になるとは限りませんが、この結果を見て私は「金の糸が入っている部分へのレーザー治療は避けよう」と思うようになりました。
金の糸と言っても人によって受けた時期も違えば入っている本数も違うので一概には言えませんし、金と聞けば響きもいいのですが、人体にとって異物であることに変わりはないので、注意するに越したことはないと思うのです。
レーザー以外では真皮や皮下を加熱する系の治療機器も注意が必要だと思います。今人気のHIFUもそうですね。金が残っている部分を加熱するというのも不安です。
そして、PRPFも明らかに金の糸が入っている部分には行なわないようにしています。金の粒子が余計な刺激になるかもしれないからです。
「金の糸を入れたことがある」と言われる方は決して多くはないですが、おられることも事実です。金の糸を入れたからといって老化を止めることはできません。時間が経てばやはり色々と気になることも出てくるわけです。しかしそれがために次なる治療の選択肢の幅を狭めてしまうことになるので、私は金の糸美容術はお勧めできないのです。
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