22.アクティブサポート:エゴサーチを「攻めの接客」に変える技術
「森さんは、すでにコンサルタントとして実績があるのに、なぜ今でもそんなに勉強し続けているのですか?」
クライアントの経営者様やセミナーの受講生から、よくこのような質問をいただきます。
確かに、私は日々コンサルティングを行い、大学や商工会議所で教鞭をとり、本も出版させていただいています。一見すると「もうこれ以上学ぶ必要はないのではないか」と思われるかもしれません。
しかし、事実をお話しすると、私は2019年に独立してからの過去5年間で、1,000万円以上の費用を自分自身の「学び」へ投資してきました。現在でも、約3ヶ月に1回の頻度で、デジタルマーケティング関連の最先端の講座を受けたり、経営や経済のセミナーに参加したりしています。
大企業のように膨大な資産や潤沢なリソースを持たない中小企業において、経営者自身が学び続けることは、単なる自己満足や趣味ではありません。これこそが、変化の激しい時代を生き抜くための「最大の経営リスクヘッジ」なのです。
今回は、私がなぜこれほどまでに学びへの投資にこだわり続けるのか、その理由と、経営者が学ぶべき本質についてお話しします。
1.変化のスピードに対応することこそが、最大のリスクヘッジ
デジタルマーケティングの世界は、文字通り「ドッグイヤー」と呼ばれるほど変化のスピードが早いです。3年前、5年前の「常識」が、今ではまったく通用しなくなっているケースは珍しくありません。
例えば、検索エンジンの仕組み(アルゴリズム)一つをとってもそうです。
かつては「キーワードを詰め込んだ記事を量産すれば上位表示される」時代がありましたが、Googleは「パンダアップデート」や「ペンギンアップデート」といった大規模な改善を何度も重ね、今では「コピペ記事」や「中身のない低品質なコンテンツ」を徹底的に排除するようになりました。さらに、2026年現在の検索市場では、生成AIが回答を直接提示する「AIオーバービュー」や、AIに引用されるための「GEO(生成AIエンジン最適化)対策」が最重要のトレンドとなっています。
もし、私が5年前の知識だけでコンサルティングを続けていたら、私のクライアント企業様は今頃、激変する市場の波に飲まれ、集客の機会をすべて失っていたでしょう。
経営者が知識のアップデートを止めるということは、会社全体の成長をそこで止めてしまうことと同じです。最新のナレッジを常に吸収し続けることは、競合他社に先んじて市場の「次の一手」を打つための、最も確実な投資なのです。
2.デジタルだけでなく「学びの奥行き」を広げる
私が投資しているのは、デジタルマーケティングの専門知識だけではありません。近年では、政治や経済、社会情勢に関するサロンや勉強会にも積極的に参加し、自らの「知識の引き出し」を広げるようにしています。
一見、これらの学びは本業のデジタルマーケティングとは無関係に思えるかもしれません。しかし、これが驚くほど実務に役立っています。
私のお客様は、それぞれの業界で毎日闘っている経営者の方々です。
商談や打ち合わせの冒頭(アイスブレイク)で、最新の経済動向や世界情勢、政治の動きについて、経営者と同じ目線、あるいは客観的なデータに基づいた深い対話ができるか。これが、相手から「このコンサルタントは、マーケティングの手法だけでなく、ビジネスの全体像を理解してくれている」という、深い信頼を勝ち取るきっかけになるのです。
専門分野を深く掘り下げる「縦の学び」と、視野を広げる「横の学び」。この両方の奥行きを持つことが、経営者としての器を広げ、顧客から選ばれ続ける理由になります。
3.【実体験】不器用な私が「200時間」をかけて学んだ理由
前著やこれまでのコラムでもお伝えしてきましたが、私は決して器用な人間ではありません。
高校を中退し、風呂なし4畳半の木造アパートで暮らし、ベンチャー企業に入社しても引っ込み思案で半年間誰とも話せなかったような過去を持っています。
そんな私が、ウェブ解析士マスター、チーフSNSマネージャー、上級ウェブ広告マネージャーといった、デジタルマーケティングに関する複数の難関資格を取得したとき、普通の人なら120時間程度の勉強時間で合格するところを、私は200時間以上の時間をかけて、泥臭く勉強しました。講師からの厳しいフィードバックに、何度も心が折れそうになりながら、それでも必死にしがみつきました。
なぜ、そこまで自分を追い込んで学んだのか。
それは、「自分が泥臭く、苦労して学んだからこそ、デジタルに苦手意識を持つ経営者の痛みが誰よりもよく分かる」と確信しているからです。
最初から要領よく何でもこなせる天才には、つまずいている人の気持ちが分かりません。自分が何百時間もかけて壁にぶつかりながら身につけた知識だからこそ、専門用語を一切使わずに、誰にでも分かりやすい等身大の言葉でクライアントに伝えることができるのです。
「コスト」ではなく「未来を創る投資」へ
多くの会社が、売上が下がると真っ先に「研修費」や「教育費」といった学びの予算を削ろうとします。しかし、それは一時的な経費削減にはなっても、長期的な衰退を加速させる選択でしかありません。
経営者が自らの学びにお金と時間を投資し、泥臭くアップデートを続ける背中を見せること。
その姿勢そのものが、社内に新しい風を吹き込み、組織全体の「学ぶ文化」を育んでいきます。
学びへの投資は、消費されて消えていくコストではありません。あなたの頭脳に蓄積され、将来、売上を2倍、3倍、そして企業価値を10倍に跳ね上げるための、最も利回りの良い「資産」となるのです。
まずは、1冊の本を読むこと、興味のあるセミナーに足を運んでみること。
その小さな自己投資から、あなたの会社の次の10年を創る挑戦を始めてみてください。


