42.組織を1つにする「インナーブランディング」~経営者の想いがスタッフに伝わらない本当の理由

森和吉

森和吉

テーマ:デジタルマーケティング

はじめに、こんにちは。株式会社吉和の森の森和吉です。

前回(第41回)は、中小企業が目指すべき「等身大のブランディング」についてお話ししました。大手の真似をして外見を取り繕うのではなく、経営者自身の泥臭いストーリーや人間味を届けることで、熱量の高いファンや求職者を引き寄せることができるという内容でしたね。

このように、社外に向けて自社の価値を伝えることを「アウターブランディング」と呼ぶのに対し、今回はそのブランドの土台を支える社内のスタッフに向けて、会社の想いを深く浸透させる「インナーブランディング(理念共有)」についてお話しします。

「経営理念を作ったのに、誰も意識してくれない」という悲劇


「せっかく高いお金を払って立派な経営理念を作ったのに、スタッフが全く意識してくれない」
「『主体的に動け』と言っているのに、みんな指示待ち人間ばかりで、結局自分が一番忙しい」

こうした悩みを、本当に多くの経営者様から伺います。
理念を額縁に入れて壁に飾ったり、毎朝の朝礼で唱和させたりしているのに、なぜスタッフの行動は変わらないのでしょうか。

理由はシンプルです。スタッフにとってその理念が、ただの「お題目(きれいな言葉の羅列)」になってしまっているからです。言葉の「意味」は分かっても、なぜその理念が必要なのかという「背景」や「社長の熱量」が共有されていないのです。

理念を「覚えるもの」から「共感するもの」に変える


インナーブランディングの本質とは、理念を暗記させることではありません。スタッフ全員が「この会社で働く目的」に納得し、自発的に誇りを持って動ける状態を作ることです。

そのためには、第26回でお話しした、経営者自身が「語り部(ストーリーテラー)」になることがここでも不可欠です。

きれいに整えられた言葉よりも、

  • 「なぜ、私はこの会社を立ち上げたのか」
  • 「過去にどんな大失敗をして、お客様にどんな風に助けられたのか」
  • 「だからこそ、この行動指針(クレド)だけは絶対に譲れないんだ」


という、社長自身の生々しい体験談(一次情報)を、何度も、何度も、繰り返しスタッフに語りかける必要があります。

伝える手段は朝礼だけではありません。第37回でお話しした「ショート動画」の技術を社内向けに応用し、社長の想いを5分程度の動画にして社内グループで共有するのも非常に効果的です。テキストで読むよりも、社長の表情や声のトーンから「人肌感(第20回)」が伝わり、スタッフの心に深く染み込みます。

「理念に沿った行動」を褒め、評価する仕組みを作る


想いを語るのと同時に大切なのが、スタッフが理念に沿った行動をした瞬間に、それを「見逃さずに称賛する」ことです。

例えば、「お客様の期待を超える」という理念があるなら、スタッフが自主的に行ったちょっとした気配りや工夫を、ミーティングの場で社長自らが具体的に褒める。あるいは、スタッフ同士で感謝や理念に沿った行動を送り合う「サンクスカード」のような仕組み(第24回のお友達紹介で触れた『感謝を伝えるアナログな心遣い』の社内版ですね)を取り入れるのもお勧めです。

「これをやると社長が喜んでくれる」「会社から評価される」という成功体験が積み重なることで、理念はただの壁紙から、スタッフが日々の業務で迷ったときの「判断基準」へと変わっていきます。

さいごに


インナーブランディングが成功すると、経営者は「あれこれ細かく指示を出す役割」から解放されます。スタッフ一人ひとりが、会社の理念という共通のモノサシを持って自分で考えて動いてくれるようになるため、組織としての足並みが揃い、会社全体の生産性が劇的に向上するのです。

社外への発信(集客)を成功させるためにも、まずは一番身近な味方であるスタッフの心に、あなたの情熱の火を灯すことから始めてみませんか?

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