26.生成AIとの付き合い方~ChatGPTを「事務員」にし、自分は「語り部」になる

森和吉

森和吉

テーマ:デジタルマーケティング

「ChatGPTを使えば、ブログの記事を自動で量産して集客できるのではないか」
「AIが代わりに文章を書いてくれるなら、もう自分で書く必要はない」

生成AIが急速に普及するなかで、このような期待を抱く経営者の方が非常に増えています。しかし、私の結論は明確です。
「AIに丸投げして書かせた文章では、お客様の心は1ミリも動きませんし、集客にも繋がりません」

今の時代、AIが書いた文章というのは、読めばすぐに分かります。文法的には正しく、綺麗な言葉が並んでいますが、どこか冷たく、誰が書いても同じような「平均的な情報」に終始しているからです。

では、中小企業は生成AIとどのように付き合っていくべきなのでしょうか。
鍵となるのは、AIを「優秀な事務員」として使い倒し、経営者自身は会社の「語り部(ストーリーテラー)」に徹するという、役割分担(ハイブリッド戦略)にあります。

1.AIは「優秀な右腕(事務員)」として使いこなす


AIが圧倒的な実力を発揮するのは、ゼロからオリジナルの文章を生み出すことではなく、すでにある素材を「整理・編集・校正」する作業です。

例えば、以下のような定型的な業務は、AIに任せることでこれまでの作業時間を半分以下に削減(ショートカット)できます。

文章の校正・誤字脱字チェック


自分が書いたブログに不自然な日本語や間違いがないかをチェックしてもらう。

PREP法へのあてはめ


「この文章を、PREP法(結論・理由・具体例・結論)の構成に整えてください」と指示を出す。

キーワードのブレインストーミング


自社のサービスに関連する検索キーワードの候補を、AIに挙げてもらう。

長文の要約


難しい専門資料やデータを、要点だけにまとめてもらう。

これらはまさに、優秀な「事務員」が行う仕事です。こうした作業をAIに任せることで、経営者の皆様は、最も価値のある「戦略を考える時間」や「顧客と向き合う時間」を確保できるようになります。

2.人間にしかできない「一次情報」と「感情」の開示


一方で、AIには逆立ちしても真似できない領域があります。それは、あなた自身の「実体験(一次情報)」と、そこから生まれた「喜怒哀楽の感情」を語ることです。

私がかつて、内気で引っ込み思案な性格が災いして、転職先で半年間まともに誰とも会話ができず、昼休みは一人で喫茶店にこもっていたこと。そこで携帯電話の通信費が30万円を超えて青ざめたこと。
このような泥臭い失敗談や葛藤は、私の人生という「現場」にしか存在しない事実です。

第4回でお話しした「人肌感」の正体も、この一次情報にあります。
顧客が複数の競合他社と比較し、最後に「この会社に任せよう」と決断する瞬間、背中を押すのは綺麗なAIの文章ではなく、経営者の「泥臭い想い」や、スタッフブログから伝わる「社内の温かい温度」です。

AIはどれだけ賢くなっても、うれし涙を流すことも、大失敗をして悔しがることもできません。心の機微に触れる発信は、血の通った「人間にしかできない仕事」なのです。

3.【実践】AIと人間のハイブリッド執筆法


では、具体的にブログやSNSを書く際、どのようにAIと分担すればよいのでしょうか。私が推奨しているのは、以下の手順です。

ステップ1(人間)


伝えたい「エピソード(お客様とのやり取りや自社のこだわりなど)」を、箇条書きで良いので、経営者自身の飾らない言葉で書き出す。

ステップ2(AI)


その箇条書きをChatGPTに入力し、「この内容をベースに、PREP法に沿って、30代の経営者向けに分かりやすいブログ文章を作成してください」と指示する。

ステップ3(人間)


AIが作成した文章を読み、表現が冷たくなっている部分を修正し、自分の「想い」や「人肌感」を書き足して仕上げる。

この手順を踏めば、執筆にかかる時間は従来の3分の1に短縮されつつ、経営者の「体温」がしっかりと乗った、高確率で読者に届く文章が完成します。

AI時代だからこそ、「人間味」が最大の差別化になる


現在、インターネット上には、AIが自動生成した「中身のない、それっぽい記事」が津波のように溢れ返っています。
情報の「量」や「綺麗さ」の勝負では、AIをフル稼働させる大企業には絶対に敵いません。

だからこそ、これからの時代、中小企業が生き残るための最大の差別化は、どれだけ「人間味」をさらけ出せるかにかかっています。

ChatGPTを恐れたり、遠ざけたりする必要はありません。
定型業務はAIという名の事務員にどんどん任せて効率化し、皆様自身は、会社の「語り部」として、お客様へ向けた温かい発信を続けていきましょう。

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