【エンゲージメント②】自社に最適なエンゲージメント向上方法とは?18の理論から導く、実現可能なエンゲージメント向上 [科学的根拠に基づいた、組織に最適なエンゲージメント・デザイン]
目次
努力・成果・報酬のリンクが、メンバーの背中を動かす
- 「最近の若手は欲がない」
- 「もっとやる気を出してほしい」
現場の管理職からよく聞かれる悩みですが、メンバーの意欲が低いとき、それは彼らの資質の問題ではなく、組織内の「期待の計算式」が壊れている可能性があります。
心理学者ビクター・ブルームが提唱した「期待理論」は、人のモチベーションを以下の3つの要素の掛け算で説明しています。
1. 理論の解説:モチベーションを左右する3つの変数
この理論の最大の特徴は、モチベーションが足し算ではなく「掛け算」である点です。
どれか一つでもゼロになれば、やる気もゼロになります。
期待(努力 → 成果):
- 「この仕事を頑張れば、目標を達成できる」と信じられる度合い。
「どうせ無理だ」と思えば、期待値はゼロになります。
道具性(成果 → 報酬):
- 「成果を上げれば、自分にとってプラスの報酬(リワード)が得られる」と信じられる度合い。
「頑張って結果を出しても、何も変わらない」と感じれば、道具性はゼロになります。
価値・誘意性(報酬の魅力):
- 「得られる報酬が、自分にとって本当に魅力的か」という主観的な価値。
「昇進しても責任が増えるだけで嬉しくない」と思えば、価値はゼロになります。
一方で、成果に対する報酬だけでなく、「困難な課題に挑み、試行錯誤する努力そのもの」を自らの成長や充足感として捉える人も存在します。
2. 中小企業でも実践できる、現実的なマネジメント事例
リソースの限られた現場で、この掛け算を最大化するための具体的なアクションを考えます。
事例A:「スキルアップ」への期待値を高める
例えば、新しいITツールの導入や研修を行う際。
- 「この研修を受ければ、作業時間が半分になり、あなたの評価も上がる」という道筋を具体的に示します。
- まず「自分でも習得できる(期待)」と感じさせ、それが「仕事の効率化や評価に直結する (道具性)」ことを約束します。
事例B:目標設定の「納得感」と「報酬の多様化」
営業目標やプロジェクトの割り当てを行う際。
- 目標を「背伸びすれば届く」範囲に設定し、達成プロセスを一緒に考えます(期待の向上)。
- また、報酬は金銭だけでなく、「次のプロジェクトの指名権」や「有給休暇の優先取得」、「心からの称賛」など、その本人が一番喜ぶもの(価値の向上)をヒアリングして用意します。
3. 実践における注意点:「一律の報酬」は機能しない
この理論を運用する際、管理職が最も注意すべきは「価値の多様性」です。
管理職が「良かれ」と思って用意した報酬が、部下にとっても価値があるとは限らない
- かつては「昇進」や「昇給」が最大の価値でしたが、
- 現代では「ワークライフバランス」「専門性の向上」「社会貢献実感」、そして「自律的に努力し、自らを高めるプロセスそのもの」など、価値観は分散しています。
相手が何を求めているかを知らずに報酬を提示しても、掛け算の合計値は上がりません。
経営者・管理職は「期待の設計者」である
メンバーの背中を押すのは、熱い言葉だけではありません。
- 「頑張ればできる (期待) 」
- 「できれば良いことがある (道具性) 」
- 「それは自分にとって嬉しいことだ (価値) 」
- さらに「努力すること自体に意味がある (努力による恩恵) 」
というリンクを、日々のコミュニケーションの中で丁寧に繋ぎ直すことが管理職の本質的な役割です。
- その目標は、部下にとって「達成可能」なものに見えていますか?
- 成果を出した部下に対して、本人が真に望む「報い」を用意できていますか?
この数式を意識してマネジメントを再設計することが、組織全体のエンゲージメントを底上げする鍵となります。
株式会社バリュー・コア・コンサルティングでは、期待理論をはじめとする科学的なアプローチを用い、貴社の組織実態に合わせたエンゲージメント向上のサポートを行っています。
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- なお、本コラムにおけるエンゲージメント理論の解釈は、弊社独自の観点によるものであり、内容の一部を抜粋してご紹介している点をご承知おきください。
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