【エンゲージメント向上①】「管理」から「成長支援」へ:マネージャーが部下のエンゲージメントを呼び覚ます [Gallup Q12から読み解く具体的アクション]
目次
「マズローの五大欲求階層説」を現場のエンゲージメント向上に活かす
エンゲージメント向上を目指す際、多くの企業が陥る罠があります。
それは「全社員一律の施策」を打ってしまうことです。
しかし、社員一人ひとりが仕事に求めているものは異なります。
その個別のニーズを理解するための強力なフレームワークが、今回ご紹介する「マズローの五大欲求階層説」です。
1. 理論の解説:五大欲求と「欠乏」から「成長」への移行
マズローは、人間の欲求は5つの階層に分かれており、低次の欲求がある程度満たされると、より高次の欲求が行動の動機になると提唱しました。
欠乏欲求(生理的・安全・所属・承認):
足りないものを埋めたいという欲求。
満たされないと強い不満に繋がります。
成長欲求(自己実現):
自分の可能性を最大限に発揮したいという欲求。
これがエンゲージメントの「熱意」の源泉となります。
組織における応用として、給与(生理的)や雇用安定(安全)は土台に過ぎません。
その上の
「職場の人間関係(所属)」や 「正当な評価(承認)」 が満たされて初めて、人は「自分の能力を活かしたい(自己実現)」 という領域へ到達できる
のです。
2. エンゲージメント向上のための具体的な活用事例
この理論を現場で活用するためには、「下位欲求を整え、上位欲求を刺激する」という2段階のアプローチが必要です。
1段階:不満を抑えるための「土台の整備」
離職率が高い職場では、所属と愛の欲求(人間関係)や安全欲求が揺らいでいる可能性があります。
- 定期的な 1on1の実施や、部署を横断したコミュニケーションの機会を創出する。
- 心理的安全性を確保し、「ここにいていいんだ」という安心感を提供します。
2段階:熱意を引き出すための「チャレンジの提供」
給与や人間関係に不満はないが、覇気がない職場では、承認欲求や自己実現欲求が刺激されていません。
特にリソースの限られた中小企業では、大掛かりな制度よりも「手近な役割」が効果を発揮します。
(施策例:1)小さな業務改善の権限移譲
- 「いつも使っているこの帳票、もっと楽にできないか?」といった、身近な不便の解消をメンバーに一任します。
- 「あなたが一番詳しいから、やりやすいように変えてみて」 と頼むことで、承認欲求と自己実現欲求(創意工夫)を同時に満たします。
(施策例:2)顧客の声を直接届ける仕組み
- 現場で出た「お客様からの感謝の言葉」を、朝礼やチャットツールで本人に直接共有します。
- 自分の仕事が誰の役に立っているのかを実感させる(タスク意義の向上)ことで、「もっと喜んでもらいたい」という内発的な動機付けを促します。
3. 実践における注意点:階層は「固定」ではない
マズローの理論を運用する際、管理職が最も注意すべき点は、「欲求の段階は人によって異なり、状況によって可変である」ということです。
注意点1: 低次欲求への固定認識
- 「給与さえ払えばいい」という低次欲求への固定認識には注意が必要です。
- 生活が安定している現代の若手層には、最初から「成長や貢献(高次欲求)」を重視する傾向もあります。
注意点2:ライフイベントによる変動
- 普段は自己実現を目指している社員も、介護や育児、健康問題に直面すれば「安全欲求」が最優先になります。
マネージャーは、部下が今どの階層の充足を求めているかを、「個別の対話」を通じて把握し続ける必要があります。
個別の「欲求」に寄り添う組織へ
エンゲージメント向上とは、社員を型に嵌めることではありません。
「一人ひとりの欲求の現在地」に合わせた環境を提供することです。
- 基本の労働条件を整えた上で、キャリアやチャレンジの機会を提供できているか。
- 個々の欲求段階を把握し、それに応じた声掛けやフィードバックができているか。
この問いに向き合うことが、世界最下位のエンゲージメントを打破する第一歩 となります。
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- なお、本コラムにおけるエンゲージメント理論の解釈は、弊社独自の観点によるものであり、内容の一部を抜粋してご紹介している点をご承知おきください
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