【金融機関】第5回:営業スキル① セールスフローと差別化戦略|地方銀行・信用金庫の営業が成果を出すための第一歩 [金融機関⑤]

弥左大志

弥左大志

テーマ:【業種別】金融業

はじめに:なぜ「営業スキル」が求められるのか

  • 「購買力の高い顧客を選定しても、成果に繋がらない...」
  • 「融資や商品提案だけでは、他行との違いを伝えられない...」
  • 「属人的な営業から抜け出せず、若手が育たない...」

多くの金融機関の現場で、このような課題に直面しているのではないでしょうか。
近年の金融機関営業は、融資や商品提案だけでは競合と差別化できない時代に突入しています。

営業活動全体を「流れ」で捉え、競合との「違い」を明確化する。
この二つを起点に据えることで、以降のスキル強化や仕組みづくりが効果的に機能し、顧客に「選ばれる」存在になることが求められています。

セールスフローの重要性

  • 営業活動全体の基盤は「流れの設計」にあり、ここを整えなければ成果が属人的になり、再現性が低くなります。
  • また、営業フローはマニュアルのような単なるタスク(横軸)ではなく、顧客の「購買心理・意欲(縦軸)」を変化させる「流れの設計」にあります。ここを整えなければ成果が属人的になり、再現性が低くなります。

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差別化の重要性

  • 商品だけでは差がつきにくい今、顧客が金融機関を選ぶ理由は「他社にない付加価値の提示」に集約されます。

まず「差別化の軸」を定義し、その優位性を武器に重点領域へ踏み込むことが、成果につながるのです。
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1. 金融機関営業における「差別化」のポイント

差別化は、大きく二つに分けて考えることができます。

① 商品・サービスとしての差別化

これは、融資商品、ローン、投資信託、保険、マッチングサービス、事業承継支援、経営支援サービスなど、提供する商品やサービスの幅や組み合わせによって差を生み出すものです。

  • 顧客価値 : 「選べる選択肢の多さ」や「自社に合うサービスの組み合わせ」に顧客は価値を感じます。
  • 強みの活用 : 提供するサービスに優位性が明確であれば、ヒアリング、価値づけといった活動を一貫したストーリーで展開できます。

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② 金融機関としての差別化

これは、営業プロセスや担当者のスタンス、組織の姿勢によって他行と差をつけることです。
例えば、

  • 伴走型支援 : 単なる商品説明にとどまらず、顧客課題の特定から解決策の設計・実行支援までを伴走するプロセス。
  • 経営パートナー : 顧客企業の経営者と共に未来を描くスタンス。
  • プロフェッショナルな視点 : 業界動向や他社事例を踏まえた課題提起。

など。
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この二つを明確に分けて言語化し、顧客に伝達することが重要です。
差別化が「どこにあるのか」を整理することで、営業活動全体を逆算的に設計でき、成果の再現性が高まります。
これにより、サービスが「どの金融機関からでも受けられる」から「この担当者だから頼みたい」に変わります。

2. 差別化を整理・言語化・仕組み化する具体的手法

差別化を実現するためには、以下のプロセスが有効です。

整理(自社の強みを洗い出す)

自社の商品ラインナップ、サービス提供領域、強みと弱みを洗い出します。
その際に「競合比較表」を用いると効果的です。

  • 例えば、成長支援、業界知見、組織文化といった観点ごとに、自社と競合を比較評価します。
  • 単一の強みでは劣勢でも、複数の要素を掛け合わせることで相対的な優位性が見える場合があります。

こうして「自社が強みを発揮できる領域」を特定します。
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言語化(顧客に伝わる言葉に変換する)

調査結果を顧客に伝わる言葉に置き換えます。
その際には、以下の4つのポイントを意識します。

比較材料提示:

  • 「一般的には〇〇ですが、当金庫は△△という特徴があります」のように、他社との違いを明確にします。

メリット訴求:

  • 「当金庫の〇〇という特徴は、御社にとって□□のような良い点があります」と、顧客にとっての具体的なメリットを伝えます。

パッケージ化・事例:

  • 「当金庫は“○○”の5ステップで課題解決を支援します」のように、一言で伝わるテーマでサービスをまとめ、具体的な事例を交えて話します。

根拠明確化:

  • 「当金庫の〇〇という特徴によって、皆様にご満足いただいておりますが、実際に、『〇〇』という調査結果も出ています」と、客観的なデータで信憑性を高めます。

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仕組み化(営業プロセスへの組み込み)

初回アプローチで差別化要素を提示するトークスクリプト、ヒアリング時に差別化要素に紐づく質問を設定する、提案書フォーマットに差別化メッセージを必ず盛り込む、など、実際の営業活動の中で「汎用性があり、自然に表現される仕組み」として定着させます。
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3. 成果を安定させる「セールスフロー」の基本構造

成果を安定的に生み出すためには、営業活動をフローとして仕組み化する必要があります。
セールスフローを「見える化」し、標準プロセスに落とし込むことが不可欠です。
トップセールスマンであっても、以下のときには以下の要素が抜けてしまい、成果が出ない...ということも起きているかと思います。
組織として、改めて、営業活動のフローを言語化していくことが重要になってきます。
【↓全国の地方銀行・信用金庫のトップセールスの勝ちパターンを言語化事例)】

  • 会話承諾 : 雑談を交え、良好な会話ができる状態をつくる。
  • 相談承諾 : 業界のプロとして相談される関係性を築く。
  • 問題点共有 : 顧客課題を深掘りし、顧客自身が気づいていない課題も共有する。
  • ハードル共有 : 意思決定に向けた障害や懸念点を顧客と共に明確化する。
  • フレーミング : 顧客の価値観を変え、優位性を納得してもらえるよう視点を転換させる。
  • 差別化 : 競合との違いや自社の強みを伝え、顧客に「この金融機関だから」と思わせる。
  • 成果共有 : 導入後の成果や将来得られる効果をイメージさせる。
  • 実行共有 : 導入後の実施プロセスやサポート体制を顧客と共有し、安心感を与える。
  • ハードル解除 : 最終的に意思決定の障害を取り除き、契約へと導く。

この9ステップにおいて、具体的に何を行うのかを標準化し、全員が共通の言語で営業を進められるようにすることが、成果の再現性を高めるポイントです。
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まとめ:セールスフローと差別化が第一歩

重点顧客にリソースを集中するだけでは十分ではありません。
具体的に何をすればよいかを明確にするうえで、「標準化されたセールスフロー」「差別化された提案姿勢」の言語化によって、初めて成果の再現性と持続性が生まれます。

次回は「営業スキル②:ヒアリング力強化とプロの立場」を取り上げ、顧客理解を深めることで信頼を勝ち取る方法を解説します。

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弥左大志
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弥左大志(経営コンサルタント)

株式会社バリュー・コア・コンサルティング

企業にあわせた「勝ちパターン」を見出し、誰でも再現できる仕組みを構築。研修を起点に、現場での実行までサポートします。120%以上の売り上げアップの実績を誇り、金融機関やファンド会社からの依頼も多数。

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