【保育業界】保育士の離職をなくす組織づくり 専門コンサルが語る勝ちパターン
目次
「介護職員がなかなか採用できない…」「介護職員がなかなか定着しない…」「採用してもすぐに辞めてしまう…」
多くの介護施設経営者様が、このような人材に関する課題に頭を悩ませているのではないでしょうか。
「人手不足」が慢性化し、既存の介護職員への負担が増え、疲弊している施設も少なくありません。
介護業界の人手不足に関する現状と離職率の関係
2025年には約32万人もの介護職員が不足すると言われており、介護業界の「人手不足」は深刻な経営課題です。
この人手不足の大きな要因として、離職率が影響していることは無視できません。
私たちが実施した調査でも、介護職員の離職率は全国平均で約13.1%と、全産業平均の15.4%と比較すると低い水準です。
近年の介護業界では、離職率が改善傾向にあり、働きやすい職場環境の整備や国の処遇改善策の推進などが背景にあると考えられます。
ただし、事業所間では離職率のばらつきが大きく、10%未満の事業所がある一方で、20%を超える事業所も存在する状況です。
さらに、29歳以下の若い世代の離職率も課題となっており、高卒就職者の37.0%、大卒就職者の32.3%が離職しているというデータもあります。
せっかく時間やコストをかけて採用・育成した若手人材が、早期に辞めてしまう現状に頭を抱えている経営者様も多いのではないでしょうか。
そのため、これらの平均よりも高い離職率の介護施設こそ、改善の余地が大きいと言えます。
私たちは、成果創出型の日系総合経営コンサルティング会社として、介護施設(訪問介護等を含む)経営者様の課題解決を支援してきました。
その経験から、介護職員の離職率低下と組織力強化を実現するための「企業ブランド構築プロジェクト」の概要をご紹介します。
離職がもたらす「見えないコスト」
介護職員の離職は、単に人員が減るだけでなく、組織に大きなコストを強いることになります。
- 業績直結コスト : 経験豊富なベテラン介護職員が辞めることで、介護サービスの質が低下し、利用者様やご家族からの信頼を損なう可能性があります。
- 採用・教育コスト : 欠員を補充するための採用コスト(求人広告費や採用担当者の工数)や、新人介護職員を一人前に育てるための教育コストが再度発生します。
- 組織風土コスト : 離職が続くと、残った介護職員の負担が増え、疲弊や人間関係の悪化を招くなど、組織全体の負の空気が生まれてしまいます。
これらのコストを削減し、強固な組織を築くためには、離職の根本的な原因を特定し、体系的な対策を講じることが不可欠です。
離職要因を深く掘り下げる「4つの要素」
なぜ、介護職員は離職してしまうのでしょうか。
私たちは、離職率に影響を与える組織文化を以下の4つの要素に分解して分析します。
1. 会社への信頼・共感
- 理念・戦略 : 施設の理念やビジョンが明確で、利用者様やご家族、地域からの信頼を得られるブランドイメージを築けているか。
- 会社の体制 : 労働環境のルールやシステムが整備され、施設の情報が適切に共有されているか。
- マネジメントスタイル : スピード感やチャレンジに積極的なリーダーシップが発揮されているか。
2. 他者の存在
- 職場の人間関係 : 上司や同僚との関係が良好で、協力意識や尊敬の念が持てているか。
- 利用者様・ご家族との関係性 : 利用者様やご家族から感謝される機会があるなど、良好な関係性の中で仕事ができているか。
3. 外発的動機付け
- 労働条件 : 労働時間、給与、福利厚生など、働きやすい環境が整っているか。
- 報酬待遇 : 成果に基づいた適正な報酬・評価が行われているか。
4. 内発的動機付け
- 達成・称賛 : 仕事の達成感や、結果だけでなくプロセスも評価・承認されているか。
- 仕事内容 : 介護職員としての仕事に裁量権があり、やりがいを感じられるか。
- 成長・学習 : スキルやマインドの成長を実感でき、研修機会が提供されているか。
これらの要素を深く分析することで、離職の真因を特定し、本当に必要な対策を見つけ出します。
離職防止を実現する3ステップ
私たちは、この離職要因の分析に基づき、以下の3ステップで「企業ブランド構築PJ」を進めます。
ステップ1:現状分析と戦略立案
現状の課題を客観的に把握するため、まずは施設長や現場スタッフへのインタビュー、アンケート調査、組織の定量データ分析を行います。
これにより、「現状の離職率(例えば25%)」と「業界平均の離職率(約11%)」のギャップを特定します。
ステップ2:組織文化・体制の構築
分析結果に基づき、離職の真因を解決するための具体的な施策を設計します。
- 理念浸透とエンゲージメント向上 : 施設の理念や行動指針を明確化し、スタッフが自分ごととして捉えられるワークショップを実施します。
- 評価・育成体制の再構築 : スタッフ一人ひとりの頑張りが正当に評価される仕組みや、成長を支援する育成プログラムを構築します。
- コミュニケーションの改善 : 上司と部下の1on1ミーティングや、チームでの課題解決ワークを通じて、円滑なコミュニケーションを促します。
ステップ3:採用体制の強化
離職防止と並行して、新たな人材を獲得するための採用体制を構築します。
- インナーブランディング : 施設の魅力や価値観を言語化し、スタッフが「この施設で働けてよかった」と思えるような組織文化を醸成します。
- 採用コンセプトの設計 : 施設の強みや他社との差別化ポイントを明確にし、ターゲットとなる介護職員に響く採用メッセージを設計します。
- リファーラル採用の仕組み化 : スタッフが自発的に友人・知人を紹介したくなるような制度を構築します。
介護業界における離職率要因とニーズ(参考データ)
私たちが実施した介護職員の実態調査や、業界の公的データを分析することで、離職要因と再就職時の希望条件が見えてきます。
離職の主な要因を「4つの要素」で整理する
複数の調査データを基に、離職の主な要因をまとめました。
外発的動機付けに関する課題
- 給与・待遇への不満: 給料が仕事内容に見合わない、残業代が支払われない、評価が不明確で昇給が見込めないといった理由が挙げられます。ある調査では、41.0%の職員がこの点を離職理由に挙げています。
- 仕事の負担・ストレス: 慢性的な人手不足による業務過多、体力的な負担、精神的な負担が離職につながっています。
- 結婚・出産・育児: 特に女性職員に多い離職理由で、ライフステージの変化に伴うものです。身体的負担の大きさや夜勤があること、産休や育休が取得しにくい現状も影響しています。
他者の存在に関する課題
- 職場の人間関係: 複数の調査で最も多い離職理由として挙げられています。ある調査では、介護職員の46.6%がこの理由を挙げています。上司とのコミュニケーション不足や指導方法への不満などが影響しています。
内発的動機付けに関する課題
- 将来の見込みが立たない: スキルアップやキャリア形成が描きづらく、仕事がルーティン作業の繰り返しであると感じ、将来への不安から転職を考えるケースがあります。
- 仕事の負担・ストレス(スキル不足): ある調査では、29.2%の職員が「自分の介護技術が追いつかず、力不足を感じた」と回答しており、内発的動機付けの課題も含まれています。
会社への信頼・共感に関する課題
- 法人の理念や運営への不満: 掲げられた理念と実際の現場の運営が一致していないことや、残業・休日出勤が多い過重労働、人手不足などが要因となります。
介護業界の離職率に関する現状
- 介護業界の離職率は、他の産業と比較して著しく高いわけではありません。平成29年度の「介護労働実態調査」では、介護職の離職率は16.2%でした。
- 令和5年度の調査では、離職率は過去最低の13.1%となりました。
- ただし、年代別に見ると、29歳以下の若い世代の離職率が特に高く、高卒就職者の37.0%、大卒就職者の32.3%が離職しています。
これらのデータを踏まえると、介護業界では、給与だけでなく、働きやすい環境づくりや人間関係の改善、個々のライフステージに合わせた柔軟な働き方の提案、そして各職員への教育(スキルアップ、マネジメント手法の研修など)が、離職防止の鍵となります。
まとめ
介護職員の離職は、介護施設運営を妨げる深刻な課題です。
しかし、離職要因を深く分析し、施設の理念や文化に基づいた「企業ブランド」を構築することで、離職率を下げ、優秀な人材が集まる強固な組織へと生まれ変わることができます。
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