「みんなで大家さん」大阪府が認定した「販売継続」の実態 賃料未収を把握しながら募っていた280人・6億4,300万円

安東隆司

安東隆司

テーマ:あまり報道されないニュース

7%といった高い配当をTVCM等でうたい、多数の個人投資家から出資を集めた不動産投資商品「みんなで大家さん」。 これまで配当停止、出資金返還の遅れ、集団訴訟、税金滞納による差押えなど、さまざまな問題が報道されてきました。

大阪府が2026年9月1日に公表した資料から読み解けるのは、「賃料未収を知りながら販売を継続していた」という論点です。
大阪府の資料は、テナントからの賃料が支払われていなかった時期においても9商品で販売が継続され、新たに280人の投資家から6億4,300万円が集められていたという具体的な事実を示しています。

大阪府が認定した「販売継続」の期間と対象商品


大阪府は2026年9月1日、不動産特定共同事業法に基づき、運営会社である都市綜研インベストファンド株式会社(大阪府吹田市)に対する許可取消しおよび指示処分を公表しました。
資料によれば、処分理由の核心として、2025年4月1日以降、賃料が未収状態であったにもかかわらず「みんなで大家さん成田13号」を含む9商品の販売を継続していた、と大阪府は認定しています。

「都市綜研インベストファンドは25年4月1日以降、『みんなで大家さん成田13号』などでテナント(グループ会社)からの賃料が支払われていないにもかかわらず、同ファンドを含む9商品の販売を継続した。」 (参考:日経不動産マーケット情報 2026年9月2日より)

大阪府公表資料の別紙では、この9商品の中に、償還遅延商品として記載された商品が含まれていることが示されています。

「賃料未収を把握しながら」募っていた280人・6億4,300万円

大阪府の資料で最も注目されるのは、資料が認定する販売継続期間中の新規出資の規模です。

「計280人の投資家が6億4300万円を新たに出資した。」 (参考:日経不動産マーケット情報 2026年9月2日より)

ここで焦点となるのは、行政と事業者側の認識の扱いです。
大阪府の認定:賃料が支払われていない事実を「認識しながら」販売を継続した、と府側は示している。
販売会社側の主張:2026年9月3日の公表文において「意図的に欺く目的で説明した事実はない」と販売会社側は述べている。
大阪府資料が認定する「事実の認識」と、販売会社側が否定する「意図的な欺罔性」は、評価の次元が異なる主張として並存している、と考えられます。

テナントは「グループ会社」と報道


賃料未払いの相手について、報道では「テナント(グループ会社)」と伝えられています。

「賃料が支払われていない」対象は、「テナント(グループ会社)」であると報じられている。 (参考:日経不動産マーケット情報 2026年9月2日より)

どの法人がグループ会社にあたるのか、いつから未払いだったのか等の詳細については、現時点の大阪府公表資料から確定させることは困難です。 そのため、本記事では断定を避け「報道で伝えられている事実」として整理しています。

「必要とされる償還額」と「手元資金」の圧倒的ギャップ


販売継続と同時に資料で示されているのが、償還規模と手元資金の落差です。

「26年6月末時点で、『みんなで大家さん34号』など9商品、188億円の償還が遅延。期日到来前の29商品、1724億円あまりとあわせて最大1912億円の償還が必要。同社の6月末時点の現預金残高は9241万円。」 (参考:日経不動産マーケット情報 2026年9月2日より)

数字を整理すると、以下の構図が浮かび上がります。

償還遅延中の額(9商品):188億円
期日到来前の額(29商品):1,724億円あまり
必要な償還総額(最大):1,912億円
手元の現預金残高(6月末時点):9,241万円
資料が示す範囲では、販売が継続されていた段階でも、手元流動性が極めて枯渇していたことが数値のうえから読み取れます。

2,881億円の債務超過:大阪府は財務基準違反も認定


大阪府による処分の柱は、(1)販売時の情報開示の不備(賃料未収の認識)と、(2)財務基準の不適合、という2つの軸で構成されている、と大阪府側は示しています。
大阪府別紙によると、2026年3月期決算で約2,881億円の債務超過となっており、不動産特定共同事業法が定める事業者の純資産要件を満たさなくなったことが、処分理由の一つに含まれています。

共生バンク側は聴聞会資料を自主公表

事業者側は、2026年8月18日に開かれた聴聞会の議事録や、45ページにおよぶ陳述書を自社ウェブサイト等で公開した、と報じられています。

「共生バンクグループ代表の栁瀨健一氏は、処分に先立って8月18日に開かれた聴聞会の議事録や45ページに上る陳述書をウェブサイトに掲載。」 (参考:日経不動産マーケット情報 2026年9月2日より)

行政手続の資料を事業者が自主公開するのは異例の対応ですが、これは行政の認定に対する事業者側の主張を直接確認できる一次資料となっています。
ただし、これによって行政処分が覆ったわけではなく、各資料の主張が対立している状況として整理する必要があります。

投資家保護の観点から何が問われるか


今回の大阪府公表資料に示された事実関係は以下のように整理できます。

・賃料が入っていない状態で販売が継続されていた、と大阪府は認定している。
・その間に280人の投資家から6億4,300万円の新規出資があった、と府側は示している。
・最大1,912億円の償還が必要な中、6月末時点の手元資金は9,241万円だった。
・2026年3月期決算で2,881億円の債務超過により、財務基準を満たさなくなっていた。
・投資家保護の観点から見れば、大阪府の資料が認定した事実関係を踏まえると、投資家側の判断環境としては厳しい状況であったことを示している、といえそうです。

今後は、行政処分の認定内容、事業者側の主張、報道内容、司法判断の推移などを分けて注視していく必要があります。

※ 特定の会社や個人を誹謗中傷することを目的としたものではなく、公表資料や公表されている見解、報道内容をもとに、投資家保護の観点から論点を整理したものです。
※ 現時点で確認できる公表資料・報道ベースの情報をもとに記載しており、今後の調査、審査、司法判断、不服申立て、その他の事情により、評価が変わる可能性があります。
※ 特定の銘柄の分析や推奨、投資判断の勧誘を目的とするものではありません。

本コラムは信頼できると判断した情報をもとに作成しておりますが、正確性、完全性を保証するものではありません。 筆者や関係会社では、個別の出資判断、返還請求、訴訟対応等に関するお問い合わせにはお答えしておりません。 また、業務に無関係な問い合わせはご遠慮ください。

関連記事(新しい記事順)


・「みんなで大家さん」販売会社側は「虚偽説明」との報道を否定 東京都公表との違いはどこにあるのか https://mbp-japan.com/tokyo/ria-japan/column/
・「みんなで大家さん」東京都も販売会社の事業許可を取消し 問われる「販売時説明」の適切性 https://mbp-japan.com/tokyo/ria-japan/column/
・「みんなで大家さん」に許可取消し処分:差押え資産の状況が示す回収環境の厳しさ【後編】 https://mbp-japan.com/tokyo/ria-japan/column/5234616/
・「みんなで大家さん」大阪府が許可取消し処分、遅延188億円の返還問題はさらに重大局面へ【前編】 https://mbp-japan.com/tokyo/ria-japan/column/5234612/
・「みんなで大家さん」成田市が計画変更・廃止の検討要請、返還問題は新たな局面へ https://mbp-japan.com/tokyo/ria-japan/column/5226531/
・「みんなで大家さん」成田市議側に約10億円提供との報道。判決後も深まる資金の流れへの疑問 https://mbp-japan.com/tokyo/ria-japan/column/5224021/
・「みんなで大家さん」集団訴訟で初判決。全額返還を命じる判決も、決して簡単ではない資金返還の道 https://mbp-japan.com/tokyo/ria-japan/column/5219185/
・「みんなで大家さん」開発用地の貸付事業者が賃貸契約終了表明 https://mbp-japan.com/tokyo/ria-japan/column/5209518/
・4ヶ月連続分配金未払い「みんなで大家さん」 出資者約1200人が110億円あまりの返還を求め集団訴訟へ https://mbp-japan.com/tokyo/ria-japan/column/5207829/
・3ヶ月連続分配金未払い「みんなで大家さん」 不透明な解約提案に東京都・大阪府が行政指導実施 https://mbp-japan.com/tokyo/ria-japan/column/5205995/
・「みんなで大家さん」シリーズ3ヶ月連続で分配金停止 弁護士への相談人数は1000人超との報道 https://mbp-japan.com/tokyo/ria-japan/column/5204862/
・TVでも配当遅延話題の報道開始「みんなで大家さん」。資金確保の物件売却も実現疑問?販売者は都合の悪いことをわざわざ伝えない https://mbp-japan.com/tokyo/ria-japan/column/5202426/
・配当金遅延の事実の記事紹介の反響 RIA JAPANはお金をお預かりしません https://mbp-japan.com/tokyo/ria-japan/column/5200698/
・ついに配当遅延「みんなで大家さん」。資産運用にウマい話はない https://mbp-japan.com/tokyo/ria-japan/column/5200431/

\プロのサービスをここから予約・申込みできます/

安東隆司プロのサービスメニューを見る

リンクをコピーしました

Mybestpro Members

安東隆司
専門家

安東隆司(投資顧問)

おカネ学株式会社 Reliable Investment Advisors Japan Co.,Ltd(英文名称 略称 RIA JAPAN)

富裕層の資産の管理や運用、承継などを行う。売買手数料0などお客様と利益相反の少ないサービスを追求。また、海外ETFを中心とした資産形成の知識・経験が豊富。テーラーメードの投資助言を大切にしている。

関連するコラム

プロのおすすめするコラム

コラムテーマ

コラム一覧に戻る

プロのインタビューを読む

海外ETF・相続専門家の資産運用管理コンサル、RIA

  1. マイベストプロ TOP
  2. マイベストプロ東京
  3. 東京のお金・保険
  4. 東京の資産運用
  5. 安東隆司
  6. コラム一覧
  7. 「みんなで大家さん」大阪府が認定した「販売継続」の実態 賃料未収を把握しながら募っていた280人・6億4,300万円

安東隆司プロへの仕事の相談・依頼

仕事の相談・依頼