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安澤武郎

組織変革コンサルタント・マネジメントコーチ

安澤武郎(やすざわたけろう) / 経営コンサルタント

ペネトラ・コンサルティング株式会社

コラム

儲かった時こそ考えよう(お金の使い方パート2)

2021年9月15日

テーマ:経営者向け

コラムカテゴリ:ビジネス

コラムキーワード: 組織マネジメント人事評価制度組織開発

前回のコラムでは、『お金の使い方こそ難しい』というテーマで「無形資産投資」という観点を紹介させていただきました。今回は、稼いだお金の使い方に関して、一つの事例を紹介してみたいと思います。


(1)給与水準を変えない会社


任天堂は皆さんもご存知でしょう。
ゲーム業界ではヒット商品が出ると大きく儲けが出ます。
しかし、いつもヒット商品が出るとは限りませんし、失敗すると1,000億円、2,000億円という単位での失敗になります。
そういうこともあるのでキャッシュはかなり厚めにしておく必要があります。

儲けが出ると社員に大きく還元をしていく会社もありますが、
任天堂は大きくは変えません。
人間は大きなお金が入ると生活レベルを上げてしまいますが、
浮き沈みのある会社では毎年高い給与を支払うことはできませんので、
逆に社員を苦しめることになったり、
社員への還元をしすぎてキャッシュが減り、
不況の時に会社を潰してしまえば、皆を不幸にしてしまいます。
株式市場では、株主に還元することを求められますが、
これに対しても任天堂は一貫して方針は変えていません。


ゲーム業界の年収




この任天堂、離職率はかなり低いそうです。
他社から高い給与で引き抜きの話が来ても出ていかないとか。
なぜかというと、「好きなゲーム作りを思いっきりできるから」というのが一つの理由です。
稼いだお金は社員の給与を上げることより研究開発費の方に大きく振り向けられています。
社員の給与は業界平均より高くし、安心して生活できる状況は作っています。
そこに還元をしていくことも大事ですが、
給与を高くするだけで社員の真の幸せを実現できるかというとそうではないというのが任天堂の考え方でしょう。


任天堂の研究開発費



(2)企業の幸せの形


幸せの形は人によって様々です。
その考えを他人に押し付けることはできませんが、
「うちの会社で働くときの幸せな姿はこうだ」
という考え方を持ち、その考え方に賛同する人を集めるというのが正しい経営の姿だと私は考えています。
「多様性」という言葉はよく使われますが、根本的な考え方が違っていては一つの方向に向いて活動を進めることはできません。

企業規模が大きくなり、執行を担う責任の大きな役員に大きく還元することはすべきでしょうし、社員の平均給与を業界平均より高くしたいということは自然な考えでしょう。

当たり前の話ですが、世間の相場を外れた給与を支払うことは持続性を考えた際に難しいものです。
多くの消費財では世間の相場は一定の認識のもとに存在し、それ以上に高く売ることや大きく稼ぐことはできません。
産業財においても、購入する企業の目はシビアです。
他の企業よりブランド力をつけ、市場占有率を高め、プライスリーダーの立場を取れば、そこから浮上していけますが、同業他社を上回る価値を発揮できなければ、
社員の給与だけ高くすることはできません。

業界平均の収益性しか出せていないのに高い給与を求める人がいたら、それは入る会社を間違えているのだと思います。
稼げる業界に行って一山当てれば良いでしょう。

(3)他人を幸せにする力を高めた人がより幸せになれる


話を元に戻します。
社員の給与水準を高めたければ、何に投資をしていくべきでしょうか?

私の答えは、「社員の存在価値を高める」投資です。
社員で心を合わせて企業の存在価値を高めていくこと(業績を伸ばすこと)。
独自性や持続的な優位性を磨くこと(ファンを増やすこと)。
その結果、ブランド力をつけ、利益を得られるようになれば給与が増やせます。

このような当たり前の話を書くのは、人事評価制度の話をしていると時折間違った考えに出会うことがあるからです。
「業績評価項目に入っていないからやりません。(給与をもらったらやります)」
という考えです。
世の中の原則は、「貢献が先」です。
貢献をした結果、対価(給与)を得られます。
中には貢献することを約束し、お金をいただいてからサービスを提供するビジネスもありますが、対価を増やしたければ、貢献する力を高める以外ないことは理解できるでしょう。
社員の価値、組織の価値を高めるための投資こそ社員の給与を高めることに繋がります。

経営の立場で考えるべきは、社員個々の力量を高める以上に、同じ力量の社員でもより付加価値の高いサービスを提供できる組織、個々の総和以上の力を発揮するレバレッジの効いた組織を作り上げることです。

次回からは、そんな組織の育み方について書いていきたいと思います。楽しみにしてくださいね。

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この記事を書いたプロ

安澤武郎

組織変革コンサルタント・マネジメントコーチ

安澤武郎(ペネトラ・コンサルティング株式会社)

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