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安澤武郎

組織変革コンサルタント・マネジメントコーチ

安澤武郎(やすざわたけろう) / 経営コンサルタント

ペネトラ・コンサルティング株式会社

コラム

営業マネジャーは営業同行の腕をどう磨けば良いか?(1/2)

2016年12月6日 公開 / 2020年4月30日更新

テーマ:マネジメント

コラムカテゴリ:ビジネス

目標を達成するためには、様々な問題を解決することが必要になりますが、
その問題解決の際に何をみて、何を解決すれば良いでしょうか?
見るべき視点は持てているでしょうか?

一つの事例で考えてみましょう。

営業マネジャーであれば、担当者に成功体験を積ませるべく
営業場面に同行・同席をして問題発見をすることがあるかと思います。
営業担当者から見た時に「問題発見」と聞くとどんな印象を持つでしょうか?
「あら探し」だと感じる人もいるかもしれませんね。
「あら探し」と「問題発見」はどう違うのでしょうか?

人が主体的に頑張るためには、自分が何をすれば良いか分かっていることが必要になります。
いかに魅力的な目的を持っていても、「全くできそうにない」ことに挑戦するのは難しいものです。
そのような時、「まだ自分がやりきれていないこと」が明らかになること、
「ここを変えればよい」という成長余地が見つかることが希望の光になります。

自分のことは自分で見えないものですので、客観的な第三者の目は必要なものです。
プロのスポーツ選手であってもコーチをつけます。
コーチが選手より上手くプレーできるわけではありませんが、
その選手をどうすればさらに伸ばせるのかという視点を持っています。
コーチが全て正しいわけではなく、選手はコーチのアドバイスやヒントを
自分なりに消化して取り入れていけば良いのです。
そういう意味で、「コーチング同行」は必須のマネジメントだったりします。


では、どうすれば上手く担当者の成長余地を発見できるでしょうか?
いくつかのポイントがあります。
最初のポイントは、「仮の答え(仮説)」を考えた上で同行をするということです。
「仮の答え(仮説)」を考えるという行為は、誰もが大なり小なりしていることです。
営業に行く際に、「どんなお客さんだろう?」ということを考えることは自然と行なっていると思います。
日常生活においても、出かける前に「今日は道路混んでいるかな?」とか、
服を買いに行く時に「どういう服が欲しいかな?」「どこに売っていそうかな?」
なんて考えているでしょう。それらは全て「仮の答え(仮説)」です。


誰もが自然にしていることなのですが、うまく考えられている人とそうでない人の差があります。
例えば、着眼点(考えるポイント)の整理度合いです。
整理が悪かったり、着眼点が欠如していると仮説を持って同行をしても、
成長余地が発見できなかったりします。
営業同行どういう着眼点が必要か3STEPで考えてみたいと思います。

【STEP1】
「仮の答え(仮説)」には、
「問題発見の仮説(こんな問題があるのではないか?)」と
「解決策の仮説(こうすれば解決するのではないか?)」
の2種類があります。

問題を間違えると的外れな解決策になってしまいますし、問題がしっかり特定できれば半分は解決できたも同然です。まずは、「問題発見の仮説」を考えることからです。

【STEP2】
 営業の場合は「問題発見の仮説」を2つに分けて考える必要があります。
「何故買ってくれないのだろうか?」という「顧客の状態」に関する仮説と
「何が足りないから買ってくれないのだろうか?」という「営業担当者」側の仮説です。
 この二つの仮説は表裏一体なのですが、
「成果を出す上で今の営業担当者にとって最も必要な行動は何か?」と、
「営業担当者」が自分で成果を出せるようにするには、
「営業担当者」側の課題を特定することが必要になります。

【STEP3】
ここで安心をしてはいけません。
さらに「なぜその行動が取れないのか?」という本質まで特定できると価値があります。
必要な行動を単にやらせるのではなく、「行動を取れない理由」から取り除いていくことで、
今までと違う成果を出していけるようになります。


先日、若手担当者のこんな事例があったという話を聞きました。
「何年も注文を頂いていなかった顧客から注文が入ったが、
その担当者はすぐにお礼に行かなかった。
その理由は『次回訪問の際にお礼を言おうと思った』であった」
ということです。

そのマネジャーからすると、
「(すぐにお礼に行くのが当たり前で、日にちを空けるなど考えられない」ということなのですが、
行動を取らない/取れないのには理由があります。
そこを解消するためには、「何故か?」を考え、担当者と対話をしないといけません。


できない理由として何が考えられるでしょうか? 少し想像してみて欲しいと思います。

「最近の若い人は」と世代のせいにしているだけでは解決しません。
時代の影響はどの世代にもあるものだと思います。
「最近の若い人の特徴」というものは存在すると思いますが、
その要因にまで目を向けて変えていかないとこの問題は解消しません。

例えば、人間の特徴として、
「自分が行ったことに対する結果」が得られれば大なり小なり嬉しいはずです。
「棚ぼたの成果(意図して働きかけていなかったのに来た注文)」なので
自分の出した成果だという実感に乏しいのかもしれません。
「自分が顧客だったらすぐにお礼に来なくても気にならない」と考えた判断だったのかもしれません。
その理由はわかりませんが、そこにメスを入れていかないと、
いつまでたっても同じパターンが繰り返されるということです。

【補足】
営業同行には様々な種類があり、「顧客の状態」をマネジャーの目で見て確認する同行もあります。
経験の浅い担当者の目では顧客の状態を見誤っていたり、
顧客の真意が捉えられていないこともあるので有効な同行です。
顧客の状態を解釈する目を鍛えることができれば営業の成功確率を高めることができますし、
担当者に「どうすれば良いか」をアドバイスもしやすくなります
(担当者自身で行う工夫も変わってきます)。

今回紹介したコーチング同行はそれとは違います。
担当者自身に成功体験を積ませるために、営業担当者側の足りない点に着目する同行です。
「顧客の状態評価を間違うのはなぜか?」も含めて、最終的に担当者が変えるべきことを見つけます。
そこを変えなければ成果は出ても成長はありません。
成長がなければ、頑張ったなりの成果は出ますが、爆発的な成果にはなりません。


このように見るべき視点を分解していく、区別していく、場合わけをしていくというスキルは
「問題解決」力を高める上で必須のものです。
レベルが上がれば上がるほどこの分解の精度を高めていく必要がありますが、
まずは今回のコラムのように3つくらいの分解から始めるのが良いでしょう。

明日は問題発見の際に重要な視点をもう一つ紹介させて頂きます。
楽しみにしていてください。

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ペネトラ・コンサルティング株式会社
代表取締役 安澤武郎
公式サイト:http://penetra.jp/
お問合せ:http://penetra.jp/84

著書:『壁をうち破る方法』はこちら
http://www.amazon.co.jp/dp/4799314378/
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