日本に住んでいる外国人向けの介護ヘルパーは足りているか?メルマガ第238回、2025.11.13発行

折本徹

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テーマ:過去のメルマガ、85号から

日本に住んでいる外国人向けの介護ヘルパーは足りているか?
メルマガ第238回
2025.11.13発行
<2002年(平成14年)10月創刊>

東京都内では、ここ1ケ月、晴れていた日が少なく、寒さを感じます。
例年の日照時間の半分強だとか。
また、インフルエンザが流行っているようですが、
うがいと手洗いを欠かさないようにしましょう。

今年も、時期に関係なく(古くても)、新聞・雑誌・書籍に掲載された、
外国人にまつわる内容で、興味深い記事を紹介・簡単なコメントや、
このメルマガは、平成14年(2002年)の10月から発行しているので、
過去と現在は、どのように違ってきているのか、の視点で書きたい、
とも考えています。

日本に住んでいる外国人向けの介護ヘルパーは足りているか?


日本に住んでいる外国人向けの介護ヘルパーは足りているか?

随分前になりますが、日本経済新聞に
「高齢外国人23万人 介護の壁」
という記事が掲載されました。
言葉の問題もあり、支援がする人も足りないし、体制も整っていない、
とのことです。

高齢外国人は、65歳以上の人たちなので、
本人たちが20代から30代にかけて日本に入国したと仮定すれば、
昭和から平成にかけての入国、と推測できます。

個人的な感覚として、まだ、外国人の数が少ない時代ですし、
働く在留資格を得た外国人よりも、国際結婚した人、特別永住者、南米日系人、
中国残留婦人・孤児、インドシナ難民の方達とその血縁や身分関係のある人達、
というイメージがあります。

ちなみに平成10年前後だと、上記の人たちと、今より少ないながら留学生、
研修生などが在留していました。
なお、当時は不法滞在者が30万人以上いると言われていました。
色々な問題や摩擦もありましたが、スポーツ、芸能、芸術以外の外国人については、
さほど注目されることもなく、今ほどではない、と記憶しています。


記事の紹介をしますと
加齢や認知症のため日本語を忘れてしまう「母語がえり」が見られるなど
言葉の壁や食習慣の違いから介護には特有の難しさがある、
施設の場合、職員や他の利用者と意思疎通ができず、いらだちをつのらせたり、
孤立したりする。
国内に頼れる家族がいない場合もあり、介護保険制度に関する正しい情報が届かず、
施設入所や適切なケアにつながらないケースもあるとのこと。

また、介護通訳者や、外国人対応の研修を受けたケアワーカーも足りていないので、
介護の受け皿不足になっているようです。
国内にはNPO法人 神戸定住外国人支援センター、在日韓国人福祉会、
個人で(南米日系2世の女性)、スペイン語圏出身者向けの介護予防教室の開催している、
と記事では支援している団体や個人を紹介していますが、
高齢の外国人支援体制は整っている、とは言えないようです。
現時点でこのような状態です。

平成の後半からコロナ禍明けの令和にかけて、経済団体などから
「人手不足だから外国人労働者を入国させて」との要望で、入国させていますけど、
老後も外国人労働者が日本にとどまった場合、現在の23万人以上になると推測します。

その人たち向けの介護施設の運営や、介護従事者を今から計画的に育成しておかないと
介護難民が増加していく感じがします。
例えば、国籍に応じて、在留者の数%は介護従事者になってもらう等。
今、日本に介護で入国し在留している外国人は、主に日本人向けの介護従事者です。

もし、適正な在留資格で日本で働いている外国人が高齢になったとき、帰国を促すのであれば、
年金受給年齢になったとき、本国でも受給しやすい手続きにする必要があると思います。

しかし、働くことを通じて、公租公課を納付するなど日本の経済に貢献している、
定住志向がある外国人たちが多いのも認識する必要はあります。
長く住んでいれば、日本に生活の基盤ができますから。

以前、メルマガで紹介しました
イスラム教をはじめとする土葬の習慣のある人達向けの墓地の造営もそうですけど、
賛否があると思いますが、外国人の高齢化に関して、
地域の人たちに協力してもらうこともでてくるでしょうね。
一部の人たち(政治家、官僚、有識者、経済団体など)で、
外国人政策は決められない雰囲気になっていますし。

その介護のことですが、気がかりなことが検討されているようです。
まず、在留資格「介護」ですが、出入国在留管理庁の案内では、

「本邦の公私の機関との契約に基づいて介護福祉士の資格を有する者が
介護又は介護の指導を行う業務に従事する活動。該当例としては、介護福祉士。
※ 令和2年4月1日に在留資格「介護」の上陸基準省令が改正され、
介護福祉士の資格を取得したルートにかかわらず、
在留資格「介護」が認められることとなりました。

令和8年度までに介護福祉士養成施設を卒業する留学生が、
社会福祉士及び介護福祉士法の一部を改正する法律(平成19年法律第125号)の附則第6条の3の適用を受けて、
介護福祉士の国家試験に合格することなく介護福祉士となる資格を取得するためには、
介護福祉士養成施設を卒業した年度の翌年度の4月1日から5年間継続して
社会福祉士及び介護福祉士法第2条第2項に規定する介護等の業務に従事する必要があります。
 
一方、在留資格「介護」への変更許可を受けるためには介護福祉士の登録を受ける必要があるところ、
介護福祉士登録証が交付されるのは4月1日以降になる可能性が高く、
同日までに「介護」への在留資格の変更が許可されず、
上記附則の適用を受けられない留学生が発生することが判明しています。

そのため、
卒業した年度の翌年度の4月1日から介護施設等において介護等の業務に従事する場合は、
介護福祉士登録証を受領するまでの間、「特定活動」の在留資格により、
介護等の業務に従事することを認めることとしました。」


検討されているのが、
介護福祉士の養成施設を卒業した人が、
国家資格不合格でも有資格者として働くことができる仕組みを続けるか、どうか、
とのことです。

2016年度まで養成施設の卒業者は国家資格を受けずに介護福祉士になれた。
⇒2017年度からは試験合格が必要とするものの、
21年度の卒業生までは、不合格や受験をしなくても、
5年間は有資格者として働くことかできる措置をもうけている。
5年間、継続的に介護業務で働いた後は、受験せずに介護福祉士として働ける。
現在は、26年度の卒業者まで延長している。
この措置のよって、8,956人が働いているとのことです(2025.4.15まで)。

留学生にとっては試験合格のハードルが高いので、
この措置によって留学生も介護施設も助かっていることは容易に想像ができます。
2025年の介護養成施設の入学者は、留学生が半分以上を占めているそうですが
(入学者7,970人のうち留学生は4,532人)、
この措置を続けるのか、どうか、だそうです。

日本人の介護従事者が減少していて増えそうもないし、人手不足倒産の懸念もあるので、
介護の質の確保は重要とはいえ、打ち切る選択肢はあるの?と思いますが。
将来、介護の担い手を増やしていかなくてはならないなかでの、
来年の1月に外国人の受け入れなどの政策方針がでるようだから、
これらのことも触れるかもしれませんね。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

このメルマガも、平成14年(2002年)の10月から発行していて、
何気に、24年目に入りましたので、今後も引き続きよろしくお願いします。

過去のメルマガが読めます(85号から)
https://mbp-japan.com/tokyo/orimoto/column/?jid=1300156

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日本に住んでいるフィリピン人コミュニティを開拓し、相談を受ける事からスタートしました。その後、中国人、ネパール人、ベトナム人などの外国人、取扱う分野を拡げ、経験を積み、20年以上になります。

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