メルマガ第115回、2013,9,1発行、新聞等に掲載された外国人にまつわる記事の話7
隣で働いている外国人は、いくら給料をもらっているのか?
メルマガ第234回、2025.4.25発行
<2002年(平成14年)10月創刊>
風薫る5月と言われますが、もうすぐその5月なります。
近年、この時期は、夏日や真夏日が増えてきた感じもします。
熱中症に気を付けてお過ごしください。
今年も、時期に関係なく(古くても)、新聞・雑誌・書籍に掲載された、
外国人にまつわる内容で、興味深い記事を紹介・簡単なコメントや、
このメルマガは、平成14年(2002年)の10月から発行しているので、
過去と現在は、どのように違ってきているのか、の視点で書きたい、
とも考えています。
隣で働いている外国人はいくら給料をもらっているのか?
という下世話な話ですが、実はすでに発表されています。
厚生労働省の令和5年雇用実態調査や令和5年賃金構造基本統計調査です。
そして、内閣府や独立行政法人労働政策研究・研修機構が分析しています。
それらの数字を紹介します。
様々であることがわかりますし、
「安い賃金で働いている外国人ばかりでもない」
「日本人よりも稼いでいるのでは?」
ということもわかります。
令和5年雇用実態調査で在留資格別「決まって支給する支給する現金給与額」
下記の数字は、一般労働者で、短時間労働者は含んでいないです。
在留資格/ 現金給与額/ 賞与など /所定内実労働時間 /超過実労働時間
技術・人文知識 302千円 321千円 157,3時間 14,9時間
国際業務
特定技能 232千円 66千円 159,9時間 23,8時間
高度専門 600千円 1,097千円 151,9時間 7,5時間
技能実習 204千円 41千円 163,2時間 26,2時間
永住者 312千円 382千円 149,2時間 15,8時間
定住者 287千円 75千円 153,0時間 31,5時間
この数字は、一般労働者で、短時間労働者は含んでいないです。
「賞与など」は昨年1年間の賞与、期末手当等特別給与額です。
在留資格「技術・人文知識・国際業務」と「特定技能」の差は7万円です。
前者の場合、エンジニア、コンサルタントなど、「特定技能」では働かなさそうな分野も含まれたうえでの平均値だと思うので、差がついたのだと推測します。
「特定技能」「技能実習」は、在留年数に制限があるため仕事の習熟度に関係なく据え置き、賃上げやベースアップにもあまり関係なさそうだから給与額が低いのかな、
とも感じます。
また、制度上のみならず、事実上の転職制限(転職がしずらい)によって、給与額の高くなる機会を逃している可能性もあります。
職種別です。決まって支給する現金給与額/賞与など だけ記載します。
管理的職業 681千円 768千円
専門的・ 370千円 477千円
技術的職業
事務従事者 301千円 465千円
販売従事者 251千円 422千円
サービス職 234千円 214千円
農林漁業 204千円 41千円
生産工程 239千円 84千円
輸送・ 290千円 235千円
機械運転
建設・ 231千円 85千円
採掘
運搬・清掃 210千円 91千円
・包装等
現場の仕事は、給与額が低いことが推測されます。
このあたりは、日本人とかわらないと思います。
勤続年数別です。決まって支給する現金給与額/賞与など だけ記載します。
1年未満 234千円 9千円
1-3年未満 255千円 119千円
3-5年未満 271千円 281千円
5-10年未満 301千円 382千円
10-15年未満357千円 554千円
15年以上 369千円 1,046千円
年功制が色濃く残っているのがわかります。
私見では、年功制を否定はしていないので、勤続年数が長くなれば、
勤務先の仕事の習熟度が高まるから昇給するでしょうし、
また、下記のような役席者に就任する可能性も高くなり、
給与額に反映していることが考えられます。
役職別です。 決まって支給する現金給与額/賞与など だけ記載します。
部長級 783千円 1,267千円
課長級 457千円 713千円
係長級 423千円 734千円
その他 322千円 445千円
非役職 250千円 155千円
外国人に役職についてもらっていることがわかります。
部長職というのは、課長職より給与額や賞与などが多いので、
責任のある経営に近い立場なのだな、と推測します。
外国人の転職情報は、口コミ重視ですし、
「技術・人文知識・国際業務」は、
転職制限のある「特定技能」や「技能実習」に比べて転職しやすいので、
よりよい条件で(待遇面や仕事のやりがいなど)転職すれば給与額が高まっていることが推測できます。
「特定技能」「技能実習」については、
転職しやすい、仕事の環境ややりがい、給与額にこだわる傾向が高まってくれば、
「技術・人文知識・国際業務」と同じように、
転職によって給与額が高まる傾向になると予測します。
尚、2027(令和9)年4月から始まる「育成就労」は、
制限がありますが、転職を認めるようです。
ただ、埼玉・千葉・東京・神奈川・愛知・大阪・兵庫の8つの都府県は、
在籍する育成就労の外国人のうち、転職者の割合は6分の1以下に制限する方向みたいです
(6つの都府県でも人口の少ない市町村と他の39道県は、転職者の割合は3分の1以下
の方向)。
入国しては転職してしまう、という傾向は避けたいようですが、
現実はどうなってしまうのか?は追跡調査をしないとわからないでしょう。
話は変わりますが、最近、日本経済新聞で報道された
外国人の国民健康保険の納付率が63%(日本人も含めた全体の納付率は93%)は、
低いなぁ、と感じました。
世帯主が外国人の場合を抜き出して集計できる
150市区町村の集計で、厚生労働省が調査したとのことです。
国民健康保険制度を知らないのか(国籍国では同様な制度がないのか)、
外国人世帯主で留学生が占める割合が多いからなのか(経済的に納付する余裕がない)
家族数の多さの割に収入が低いので納付しないのか、
逆に収入が多いと国民健康保険の金額も大きくなるので納付しないのか、
最初から納付する気がないのか(納付しなくても診療してもらえる可能性があるから)、
医者にかからないでドラッグストア・薬局で薬を買えばよいと考えているのか、
理由はわからないけど、ずっと健康でいられるわけではないので、心配です。
収入に関係しているかもしれないので、記載いたしました。
2024年3月27日に厚生労働省から公表された「令和5年賃金構造基本統計調査」
の数字も参考までに紹介します。
2023年の外国人労働者計の賃金は23万2,600円(年齢33.0歳、勤続年数3.2年)。
在留資格区分別にみると
「専門的・技術的分野(特定技能を除く)」が29万6,700円(年齢31.8歳、勤続年数3.0年)、
「特定技能」が19万8,000円(同28.9歳、同2.4年)、
「身分に基づくもの」が26万4,800円(同44.7歳、同5.7年)、
「技能実習」が18万1,700円(同26.2歳、同1.7年)、
「その他(特定活動及び留学以外の資格外活動)」が23万1,300円(同30.8歳、同2.5年)。
また、産業別にみると
「建設業」が22万6,900円(同29.3歳、同2.3年)、
「製造業」が19万2,600円(同32.0歳、同3.2年)、
「宿泊業,飲食サービス業」が21万6,700円(同31.9歳、同3.1年)、
「生活関連サービス業,娯楽業」が19万7,200円(同39.9歳、同4.6年)、
「医療,福祉」が21万6,300円(同29.7歳、同2.1年)、
「サービス業(他に分類されないもの)」が25万1,500円(同37.8歳、同2.9年)。
注
1 外国人労働者の賃金について
調査実施年6月分の所定内給与額の平均。
「所定内給与額」は、
労働契約等であらかじめ定められている支給条件、
算定方法により6月分として支給された現金給与額
(きまって支給する現金給与額)のうち、
超過労働給与額(①時間外勤務手当、②深夜勤務手当、③休日出勤手当、
④宿日直手当、⑤交替手当として支給される給与をいう。)
を差し引いた額で、所得税等を控除する前の額。
2 在留資格について
「専門的・技術的分野(特定技能を除く)」:教授、芸術、宗教、報道、高度専門職、経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、介護、興業、技能
「特定技能」:特定技能1号、特定技能2号
「身分に基づくもの」:永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者
「技能実習」:技能実習
「留学(資格外活動)」:留学
「その他(特定活動及び留学以外の資格外活動)」:文化活動、短期滞在、研修、家族滞在、特定活動
詳細は下記のウェブサイトから
https://www.jil.go.jp/kokunai/blt/backnumber/2024/06/c_01.html
独立行政法人労働政策研究・研修機構 法人番号 9011605001191
〒177-8502東京都練馬区上石神井4-8-23
最後まで読んていただきどうもありがとうございました。
このメルマガも、平成14年(2002年)の10月から発行していて、
何気に、24年目に入りましたので、今後も引き続きよろしくお願いします。
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