平成30年(2018年)における留学生等の日本企業等への就職、メルマガ第186回、2020.2.1発行
国際結婚夫婦の子どもと施行予定の生殖補助医療、メルマガ第205回、2021.10.1発行
<2002年(平成14年)10月創刊>
行政書士の折本徹と申します。
新型コロナウィルス感染症対策で、都内では非常事態宣言が解除になりました。
宣言解除前後から今まで、予想以上に新規感染者は減少しているようです。
でも、安心しないで、感染対策はしっかり続けていきたいものです。
今年も、時期に関係なく(古くても)、新聞・雑誌・書籍に掲載された、
外国人にまつわる内容で、興味深い記事を紹介・簡単なコメントや、
このメルマガは、平成14年(2002年)の10月から発行しているので、
過去と現在は、どのように違ってきているのか、の視点で書きたい、
とも考えています。
感染拡大防止に伴う情報
外国人生活支援ポータルサイト
http://www.moj.go.jp/isa/support/portal/index.html
接種証明の受付が始まっていますが、利用可能な国は限定されています。
尚、外国の接種証明は、現時点で、日本での利用は認めていないです。
また、外国では、海外観光客の入国制限を緩和する動き出ているようですが、
日本はいつになるのでしょう。
新型コロナウィルス感染拡大防止に係る上陸拒否などについて
http://www.moj.go.jp/isa/hisho06_00099.html
新型コロナウィルス感染症に関する水際対策の強化に係る措置について
https://www.mofa.go.jp/mofaj/ca/fna/page4_005130.html
現在、動画配信のテストをしています。
10月に公開した動画
外国に住む日本人カップルや国際カップルは郵送で婚姻届は受付されるか
https://youtu.be/KJTcfIlFPS4
http://mbp-japan.com/tokyo/orimoto/column/5095437
9月に公開した動画
「日本語学校へ行こう!!」外国人の妻の本国に住む18-19歳以上の子どもの留学。
https://youtu.be/EqCLPYsNvpc
http://mbp-japan.com/tokyo/orimoto/column/5093172
令和2年12月14日に
「生殖補助医療の提供等及びこれより出生した子の親子関係に関する民法特例に関する法律」
が成立し、今年の12月11日から施行される予定です。
この日以降、生殖補助医療で出生した子に適用されます。
尚、同法は、基本理念や国の責務、医療関係者の責務、知識の普及等、相談体制の整備、
法制上の措置等が規定されています。
国際結婚した夫婦に認められ場合、夫婦と子どもに影響があるのか?考えたいと思います。
今まで、生殖補助医療については、許容されているケースと許容されていないケースが
ありました。
生殖補助医療により出生した子は存在しますが、それに関する法律は無いようでした。
実際の医療については、日本産婦人科学会のガイドライン、
法律については、現行の法律を前提としての解釈にゆだねられているようです。
例えば、人工授精では(精子を妻の胎内に注入し、受精を可能とする技術)
夫の精子による配偶者間人工授精については、人工授精により生まれた子は、
分娩者が母親なので、夫の嫡出子として解しているようです。
過去に、それを認めた裁判例もあるようです。
ちなみに、体外受精(人為的に妻の卵巣から採取した卵子を母体外で夫の精子と受精させ、
その受精卵や胚を妻の子宮内に移植し、着床・妊娠する技術とのこと)
は、妻以外の女性による卵子を利用することは禁止されている、とのことです。
それで、夫婦間であれば認められ、生まれた子どもは、夫の嫡出子になるらしいです。
また、代理懐胎ですが、いわゆる、代理母と呼ばれていますが、この実施は禁止されています。
しかし、現実として、代理母を認めている国はありますので、そこでは実施されています。
では、どのようなことが認められたのか?ですが、
1 女性が自己以外の卵子を用いた生殖補助医療により子を懐胎し、出産したときは、
その出産した女性をその子の母とする。
2 妻が、夫の同意を得て、夫以外の男性の精子を用いた生殖補助医療により懐胎した子に
ついては、夫は、民法第774条の規定にかかわらず、その子が嫡出であること否認する
ことができない
となっています。
簡単に書きますと、
1 は、第三者から卵子の提供を受けた場合、提供者ではなく出産した女性が母
2 は、夫の同意を得たうえで、第三者の精子を用いて妊娠した子は、夫が父となる
です。
民法第774条とは?ですが、嫡出子であると推定される子の否認、の条文なので、
否認することを認めない、との意味のようです。
離婚し、夫婦の間がこじれた場合でも、「父子関係を拒否したい」はできないのだろうか?がありますが、
父子関係はずっと続くことになりそうです。
尚、2年後を目途に、生殖補助医療に用いられる精子、卵子又は胚の提供又はあっせんに関する規制の在り方などなど検討し、その結果に基づいて法制上の装置等が講ぜられる、
としています。
さて、これは、日本の法律なので、日本人夫婦を想定していると推測されますが、
海外では、代理母を認めている国もあり、他国の人も利用しているので、
国によって、生殖補助医療の在り方や法律も様々だと思います。
そこで、施行された場合、国際結婚した夫婦とその子どもに影響があるのか?です。
国際結婚した夫婦が、日本国内で生殖補助医療を希望したときに、かなえられるのか?
はわかりません(日本に住む、同じ国籍の夫婦や、異国籍の夫婦も)。
もし、かなえられ、子どもが生まれた場合、子どもの嫡出子親子関係の法律の準拠法はどこか?考えてみます。
日本国内で実施された場合、日本で認めるのだから、もう片方の親の国でもそのまま認める可能性はあります。
子どもの嫡出子親子関係に関する法律ですが、
法の適用に関する通則法の第28条1項に規定されています。
「夫婦の一方の本国法で子の出生の当時におけるものにより子が嫡出となるべきときは
、その子は嫡出である子とする」と規定されているので、
夫婦それぞれの本国法のいずれかで、嫡出子として認めていれば、
日本においては、嫡出子親子関係が成立したものとして取り扱われています
(ただし、外国籍の親の法律で、日本の公序良俗に反する結果を導く場合は、適用排除になることはあります)
この場合、父又は母のどちらかが、日本人なるため、嫡出子となります。
もう片方の親の国に関係なく、「日本では」ですので、日本で将来生活するのであれば、
問題ないと思います
(子ども本人が、何かのきっかけで知り、僕/私のルーツが知りたい、と望まないかぎり、と推測します)
しかし、子どもが長じてきた場合、国籍との兼ね合いになるように思います。
日本は父母両血統主義なので、子どもは日本国籍も得られる可能性はあります。
もう片方の親の国が、父母両血統主義の場合は、その親の国籍を得られる可能性もあり
生まれたときに重国籍になることはあり得ます
(ロシアや中国のように、状況によっては、親の国籍が得られないこともあります)。
重国籍でも、子どもが日本国籍を得ていれば(日本に住んでいる)、日本の法律が準拠法ですし、
日本国籍を選択したら、当然、日本の法律が準拠法です。
しかし、日本国籍ではなく、もう片方の親の国籍を選択し、その国に住みたい場合、
生殖補助医療で生まれたことが、その国の官憲に何等かの形で伝わったら(出生時のときもそうですが)、
その国で嫡出子として認めてもらえるのか?が問われる可能性があるかもしれません。
そして、
「この生殖補助医療は、我が国では認めていない」「我が国の法律では嫡出子ではない」
「我が国の法律では親子関係はない」「我が国の国籍は付与しない」
との考え方になるのか、どうか?です。
以前、逆のパターンがあったようで、
日本領事館に、オーストラリア夫の死亡から300日経過した後に、
同人の凍結精子を用いて人工施術により日本国籍の母の出産した子の嫡出子としての出生届の提出があり、
受理しないが相当、
とした事例があるようです。
オーストラリア夫は死亡しているので、夫婦関係はないため、子は嫡出子ではないから?
死亡後300日経過後の出生なので、嫡出子推定ができなかったのか?理由はわかりません。
一方で、オーストラリアの家族法では、嫡出子として認められるようです。
ですので、いまのところ、
国際結婚で生まれた子どもがどうなるか?は、当該国の法律次第でしょう。
日本人男性・外国人女性の夫婦の場合は、出産するのが妻である外国人女性なので
子どもは、おそらく、母である外国人女性の国の国籍は付与されるでしょう
(多くの国では、出産した女性が実母と解釈している可能性があることから。
しかし、卵子提供され出産した場合は、国により違いがあるかもしれません)。
日本人男性の父については、母の国の制度では、嫡出子か、どうか?
生物学上の父か、どうか?があるかもしれません。
一方、日本人女性・外国人男性の夫婦の場合は、出産するのが日本人女性なので、
子どもは日本国籍を付与される可能性はありますが、
外国人男性の国がどのような生殖補助医療を認めているのか?だと思います。
日本人の夫-----------外国人の妻
|
こども 第三者の卵子又は精子の提供を受けて、外国人の妻が出産。
日本では認めるので、父子関係は嫡出子。
日本国籍は付与される可能性はあります。
妻の国では、生殖補助医療を認めているのか?
認めているとしたら、どこまで?父子関係の成立は?
卵子が提供された場合の母子関係は?
日本人の妻-----------外国人の夫
|
こども 第三者の卵子又は精子の提供を受けて、日本人の妻が出産。
日本では認めるので、母子関係は嫡出子。
日本国籍は付与される可能性はあります。
夫の国では、生殖補助医療を認めているのか?
認めているとしたら、どこまで?父子関係の成立と国籍は?
(前提として、子どもが生殖補助医療で生まれたことが、相手の国の官憲に伝わった場合)
尚、法律が施行されれば、国ごとの生殖補助医療を知る機会もでてくると思います。
私は行政書士でありますので、
国際結婚しているご夫婦から相談を受けた時、どのように助言するのか?もあるので考えてみました。
ただ、答えはでていないです。
今回のメルマガですが、見当違いの可能性もあること、何とぞご了承ください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
このメルマガも、平成14年(2002年)の10月から発行していて、
何気に、19年目に入りますので、今後も引き続きよろしくお願いします。
このメルマガは、まぐまぐを利用して発行しています。
解除は
http://www.mag2.com/m/0000097197.htm
よりできます。
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