上陸拒否国の解除が始まる、メルマガ第191回、2020年7月1日発行
外国籍の子どもと高等教育(大学等)の就学支援制度
第204回 2021.9.1発行
<2002年(平成14年)10月創刊>
行政書士の折本徹と申します。
賛否両論があるなかで始まったオリンピックとパラリンピックが終わりました。
熱戦も多かったし、「感動をありがとう」「勇気をもらいました」
と感じた人も多い、と思います。
今後は、オリンピックとパラリンピックの決算と検証に入るようです。
商業主義になっている現状、この時期に北半球で開催してよいのか?
予想以上にかかった費用の負担はどうするのか?
という課題も出てくると思うので、注目する必要があるでしょう。
感染拡大防止に伴う情報
外国人生活支援ポータルサイト
http://www.moj.go.jp/isa/support/portal/index.html
現在、特段の事情がある人を除いて、外国人の上陸は拒否されています。
接種証明の受付が始まっていますが、利用可能な国は限定されています。
尚、外国の接種証明は、現時点で、日本での利用は認めていないです。
(日本の接種証明書の有効の国では、入国後の待機措置やPCR検査が免除される。
また、日本の接種証明に効力のない国でも、その国、独自の措置がとられている。
日本政府は、日本の接種証明を有効にしてもらうおうと、各国に交渉しているが、
出入国制限は、両国が同じ条件を課す相互主義が原則のため、
入国制限の緩和に慎重な日本との交渉はなかなか進まないとのこと)
詳細は、下記のURLからアクセスしてください。
新型コロナウィルス感染拡大防止に係る上陸拒否などについて
http://www.moj.go.jp/isa/hisho06_00099.html
新型コロナウィルス感染症に関する水際対策の強化に係る措置について
https://www.mofa.go.jp/mofaj/ca/fna/page4_005130.html
現在、動画配信のテストをしています。
9月に公開した動画
「日本語学校へ行こう!!」外国人の妻の本国に住む18-19歳以上の子どもの留学。
https://youtu.be/EqCLPYsNvpc
http://mbp-japan.com/tokyo/orimoto/column/5093172
8月に公開した動画
外国人配偶者の親を呼びたい。短期滞在ビザについて。
https://youtu.be/EPhCOffKnP8
http://mbp-japan.com/tokyo/orimoto/column/1344927
本題です。
8月に、日本経済新聞では、日本に住む外国籍の子どもの大学進学について、
報道していました。
今回のメルマガも関係しています。
昨年の令和2年からですが、高等教育(大学等)の就学支援制度、が始まりました。
「親の地位や収入によって、子どもの学歴に差があってはならない」
「教育を受ける機会に、格差があるのはどうか? 」
「高等教育の無償化しよう」という掛け声で始まりました。
尚、それとは別に、「私立高校の授業料の実質無償化」もあります。
「高等教育の就学支援制度は、外国籍の子どもに影響があるのか?」ですが、
恩恵を受ける「子ども」と言うより「学生」ですが、恩恵を受ける学生もいれば、
受けない学生もいます(日本では、2022年4月から、18歳は成年になります)。
対象となる学生は、在留資格で決まるようです。
高等教育機関で学んでいる1年生だと、年齢が18-20歳ぐらいです。
「この年齢ぐらいの学生の在留資格って何?」ですが、
考えられるのは、
永住者、
日本人の配偶者等(日本人の実子)、
定住者、
永住者の配偶者等(永住者の実子)
留学、
家族滞在、
です。
日本人の配偶者等(日本人の実子)と永住者の配偶者等(永住者の実子)を得ている外国人が、
18歳になるまで、「永住者」を得ていないのは考えにくいのですが、挙げておきます。
この高等教育の就学支援制度は、学生が、
永住者、
日本人の配偶者等(日本人の実子)、
定住者、
永住者の配偶者等(永住者の実子)
の在留資格を得ていれば、対象になるようです。
(尚、在留資格「定住者」を得ている場合は、将来、永住する意思のある人のみ、です)
下記のURLは、「外国人と在留資格による可否の一覧表」です。
https://www.mext.go.jp/content/20201111-mxt_gakushi01-1409388_08.pdf
また、「留学」の場合ですが、別途、留学生向けの奨学金が用意されているようです。
(下記は、目を通すだけでも大変かもしれません)
https://www.studyinjapan.go.jp/ja/planning/by-style/pamphlet/
「家族滞在」の場合ですが、残念ながら対象にならないようです。
ちなみに、「家族滞在」得ている子どもはどのような子どもなのか?ですが、
典型的な例では、働く在留資格「技術・人文知識・国際業務」「技能」などの
働く在留資格を得ている外国人の扶養を受ける子ども、です。
働く在留資格「技術・人文知識・国際業務」「技能」
などの働く在留資格を得ている外国人とは、「親子」になります。
上記の外国人の親が、「永住者」を希望しても、まだ、得ていない場合もあります。
そうすると、親が永住者を得ていないので、子どもも永住者を得ていないです。
もっとも、そのような子どもは、日本の高等教育機関にこだわらないで、
本国の高等教育機関へ進学する子どももいると思います。
ですが、親の状況で進学できずに諦めるのであれば、かわいそうだな、と思います。
(なお、日本で就職を希望すれば、
日本の小・中・高の卒業は「定住者」、
日本の中・高を卒業、または、高校に1年生の4月に入学し卒業は「特定活動」
日本の高校に編入し卒業・日本語がN2レベルであれば「特定活動」
へ、風俗関連以外の仕事であれば、
「家族滞在」からの在留資格は変更可能になっています)
それでは、高等教育の就学支援制度の内容を見てみましょう。
対象内容となる学校は「大学」「短期大学」「高等専門学校」「専門学校」です。
支援は、2つあります。
1つは、授業料減免制度の創設
1つは、給付型奨学金の支給の拡充
です。
支援対象となる学生は、
「住民税非課税世帯」の学生と「それに準ずる世帯」の学生
です。
支援については、
1 授業料減免制度の創設ですが、
「各大学等」が、定められている金額の上限額まで、授業料等の減免を実施。
減免に要する費用を公費から支出する。
例えば、住民税非課税世帯では
国公立の大学 入学金の上限が約28万円 授業料の上限が約54万円
私立の大学 入学金の上限が約26万円 授業料の上限が約70万円
私立の専門学校 入学金の上限が約16万円 授業料の上限が約59万円
など、となっているようです。
「大学等」についても、国また自治体による要件確認を受けた大学等が対象、
とのことで、全部が対象ではないです。
高等教育機関によっては、この制度以上の授業料減免制度があるかもしれません。
2 給付型奨学金ですが、
将来、返済が不要、ということなのでしょう。
・日本学生支援機構が支給
・学生が学業に専念できるように、学生生活を送るのに必要な学生生活費を賄える
のようです。
例えば、住民税非課税世帯では
国公立の大学、短期大学、専門学校は、自宅生が約35万円、自宅外生が約80万円
私立の大学、短期大学、専門学校は、自宅生が約46万円、自宅外生が約91万円
のようです。
「住民税非課税世帯」や「それに準ずる世帯」ですが、
世帯年収と家族構成によって、
「住民税非課税世帯」や「それに準ずる世帯」
に該当するか、どうか、違ってきます。
例えば、「住民税非課税世帯」「それに準ずる世帯」ですが、
両親・対象の学生・中学生の弟妹の家族4人の構成と仮定して、
A 世帯年収が、約270万円未満までが、「住民税非課税世帯」
B 世帯収入が、約270万円-約300万円未満が「それに準ずる世帯」で、
支援の金額は、「住民税非課税世帯」の3分の2
C 世帯収入が、約300万円-約380万円未満が「それに準ずる世帯」で
支援の金額は、「住民税非課税世帯」の3分の1
のようです。
支援金額が、多いのか、少ないのか、
対象が、「住民税非課税世帯」と「それに準ずる世帯」の分けかたは、
適正だったのか?は、何年か続けてみないとわかりません。
私としては、勉強意欲のある在留資格「家族滞在」の学生も対象にすればよいのに、
と思います。
尚、もともと、日本に住む外国籍の子どもの進学、特に大学への進学は、
かなり厳しいようです(ゆえに、本国の高等教育機関に進学する学生もいます)。
日本語をあまり習得していない外国籍の高校生は、
日本語で出題される入学試験の問題を解くのは、ハードルが高いので、
断念してしまうみたいです。
だったら
「外国人なのだから、留学生として入学させれば良いのでは?」
と思いがちですが、
留学枠は、日本の高校卒ではなく、出身校の高校卒などの条件が多いようです。
要するに、日本の高校を卒業する・卒業した、在留資格が
永住者、
日本人の配偶者等(日本人の実子)、
定住者、
永住者の配偶者等(永住者の実子)
家族滞在
を得ている学生は、留学枠の対象にならないみたいです。
だったら、
「一般入試枠とは別枠を設ければ?」
となりますが、
別枠を設けているのが、
国公立では宇都宮大学、私立では東洋大学など一部らしいです。
尚、一般枠で受験することになるので、
外国籍の学生向けの受験をサポートしている予備校が設立されているようです
(日本語学校に留学している学生も、通うことがあるようです)。
この高等教育の就学支援制度を外国籍の学生に活用してもらうためには、
多くの高等教育機関に一般入試枠とは別枠を作ってもらうか、
既存枠があれば、更に緩和することになりますが、
大学など各高等教育機関の方針次第です。
現状、日本語教育や受験指導については、
高校でも、進学指導の先生などが中心になり、
日本語学校や日本語講師と連携・活用して、課外授業として学習時間を設けるなど、
すでに実施しているようで、
挫けさせないように励ましながら、入試に備えているようです。
また、日本には、200校以上のインターナショナルスクールなどの
外国人学校があるらしいです。
学校法人になっている外国人学校もあれば、
学校法人になっていない外国人学校もあり、
自治体や文部科学省が実態を把握していない外国人学校もあるようです。
更に、そのなかには、
外国の高等学校相当として指定した外国人学校
(我が国において、高等学校相当として指定した外国人学校一覧に掲載)
がありますし、
国際バカロレア認定校、または、認定を目指している学校もあると思います。
外国人学校も通学している学生も多数いますので、こちらも無視できないです。
さてさて、これからは、外国から連れてくることばかりを考えるのではなく、
日本国内に住んでいる外国籍の子どもは、
「日本で育成しよう」
が必要だと感じますが、皆さんはどう考えますか。
高等教育の就学支援制度の詳細は、下記の文部科学省のウェブサイトをどうぞ。
https://www.mext.go.jp/kyufu/index.htm
参考までに、国が行う、私立高校の実質無償化(就学支援金制度の拡充)の紹介です。
対象となる世帯を、年収が590万円未満に広げ、
私立の授業料の平均相当額の39万6千円まで引き上げました
(想定している家族構成。両親・高校生・中学生の4人家族で、両親の一方が働いている。
年収590万円未満と仮定)。
公立高校では、すでに、年収910万円未満の世帯の授業料が無償化されていますが、
私立高校の実質無償化も、都道府県によって、国の年収590万円以上の世帯に対して、
就学支援金に上乗せする形で、実質無償化する対象世帯を広げているそうです。
都道府県によって、ばらつきがでていて、学生の県外の流出もあるようです。
詳しくは、法務省や文部科学省のウェブサイトをどうぞ。
http://www.moj.go.jp/content/001332247.pdf
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/1342674.htm
国際バカロレアとは?
国際バカロレア機構が提供する“国際的な教育プログラム”のことを指します。
1968年にチャレンジに満ちた総合的な教育プログラムとして
下記のような目的で創設されました。
・子どもたちが世界の複雑さを理解し、それに対処できるよう育成する。
・未来に対して責任ある行動をとるための態度、及びスキルを、
子どもたちに身に付けさせる。
・国際的に通用する大学入学資格(国際バカロレア資格)を与え、
大学進学へのルートを確保する。
「国際バカロレアに認定されている学校・スクール」下記をご覧ください。
https://awesome-ars-academia.net/baccalaureate-in-japan/
「国際バカロレアが使える大学はどこ?」下記をご覧ください。
https://studystudio.jp/contents/archives/42830
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
このメルマガも、平成14年(2002年)の10月から発行していて、
何気に、19年目に入りますので、今後も引き続きよろしくお願いします。
このメルマガは、まぐまぐを利用して発行しています。
解除は
http://www.mag2.com/m/0000097197.htm
よりできます。
VISA・在留資格研究会
行政書士 折本徹事務所
http://mbp-japan.com/tokyo/orimoto/column
http://www.toruoriboo.com