父母の国籍別にみた年次出生数/令和3,2年(いわゆるハーフの年次出生数)他,第227回、2024.4.1発行
メルマガ第187回
日本の食文化海外普及人材育成事業、街のパン屋さんやケーキ屋さんでの外国人調理師の実務研修
2020.3.1発行
<2002年(平成14年)10月創刊>
行政書士の折本徹と申します。
暖かい日々が続いています。
今、コロナウィルスの話題が、各マスコミで報道されています。
この時期は、花粉症、インフルエンザ、も流行っています。
それ以前、風疹が流行っていますよ、とも報じられていました。
うがいと手洗いを心がけて、健康に留意してお過ごしください。
農林水産省に
「日本の食文化海外普及人材育成事業」
があります。
どういうのか?と言うと、
「日本食や食文化を海外で発信する料理人の育成」
です。
実際は、日本食の調理実習です。
調理の専門学校へ通学している専門学校生が、
卒業後、日本料理などの飲食の提供事業者にて上限で5年間働けますよ、
という制度です。
なぜ、この制度ができたのか?ですが、
調理の専門学校を卒業しても、
調理の在留資格「技能」は得られないからです。
なぜか?ですが、
外国で考案された料理で、その料理の実務経験が10年必要だから、
です。
そうすると、調理の専門学校を卒業しても、
コックとして実務経験が詰むことはできません。
・受入機関として、
日本料理店、料亭、そば・うどん店、すし店、
お好み焼き、やきそば、たこやき店他の飲食店、
製菓・製パン小売業、旅館・ホテル・リゾート施設(たぶん、厨房)
街のパン屋さん、街のケーキ屋さん
などです。
・調理実習なので、実習計画を作ります。
どこが作るか?ですが、取組実施機関と受入機関で作ります。
・取組実施機関とは?ですが、調理師や製菓衛生師の養成施設などです。
調理の専門学校、製菓衛生師の製菓分野の課程を置く大学、短期大学などです。
・どういう人が対象?ですが、
調理師や製菓衛生師の資格を得た人など
なので、調理師や製菓衛生師の専門学校で卒業した人です。
・手順ですが、
1 取組実施機関と受入機関が作成した実習計画を農林水産省へ提出します。
2農林水産省が計画を認めます。
3 そうしたら、出入国管理在留管理局へ在留資格の申請をします。
4 OKがでたら、調理実習として、働くことができます。
5 実習計画が終了します。彼/彼女の本国又は他の国で、
日本食及び食文化の普及活動をします。
・シンプルな例
自分のお店でアルバイトをしている、調理の専門学校の留学生がいるとします。
卒業したら、3年ぐらい雇いたい、とします。
留学生の在籍している調理の専門学校と相談し、
この制度を利用し進めることになります。
在留資格「特定技能」外食分野と飲食料品製造業とかぶります。
・取組実施機関の要件は、
1 実習計画の策定・実施する人の人員体制
2 健全、安定的な経営状況
などがあげられています。
・受入機関の要件は、
1 実習計画を実施できる事業所
2 健全、安定的な経営状況
3 労働関係法令等の遵守
4 養成施設で実習した技術や知識を活用し、実習期間内に
下ごしらえから料理の完成に至るまでの一連の作業工程が実習可能
などがあげられています。
・実習する人
外国人調理師、外国人製菓衛生師など(留学生)
1 素行が善良
2 調理・製造の技術の修得・普及の意思・意欲
3 18歳以上
などがあげられています。
・実習計画の内容
1 日本料理などの知識及び技能の習得のための計画
及び施設に関する事項
2 日本料理などの知識及び技能に係る修得状況の評価に関する事項
3 在留中の住居の確保に関する事項
4 外国人調理師が母国に一時帰国可能な程度の休暇の取得に関する事項
5 日本料理などの指導員及び生活指導員の任命に関する事項
6 報酬及び労働・社会保険への加入等を担保する財産的基盤に関する事項
7 外国人調理師との面接及び外国人調理師からの生活・労働等に係る
相談への対応(苦情処理を含む。)並びに監査の実施に関する事項
8 外国人調理師の帰国旅費の確保その他の帰国担保措置に関する事項
9 特定調理師等料理活動の継続が不可能になった場合の措置に関する事項
・認定の要件
1 計画の内容が期間全体を通じて効果的な調理等の技能の向上が図られることが、
確実と認められること
2 外国人調理師等の調理等の技能を必要としない業務又は同一の作業の反復のみに
よって修得できる調理等の業務に従事させるものではないこと
3 調理等の知識及び技能に係る修得状況の評価について、
体制、方法、実施項目等が適切であると認められること
4 調理師免許又は製菓衛生士免許を有している外国人調理師等については、
調理等の知識及び修得するための期間を5年以内としていること
5 本事業に従事する時点において製菓衛生師免許を取得していない外国人調理師等
については、調理等の知識及び修得するための期間を3年以内としていること
6 特定調理等活動を行う外国人調理師等の受入を行う事業所が明確となっており、
受け入れ人数を1事業所当たり3人以内としていること
7 外国人調理師等が特定調理活動に日本人が従事する場合に受ける同額以上の報酬を受けること
8 外国人調理師等が取組実施期間中において、取組実施機関及び受入機関から保証金等
を徴収されないこと及び労働契約の不履行に係る違約金を定める契約等が締結されていないこと
9 取組機関が、受入機関又は事業所に監査を行うが、監査を継続的に実施できる能力
及び体制を確保していること
・取組実施機関(調理の専門学校など)は、
受入機関(お店)への監査
実習する人(外国人調理師)への面接と評価、相談や苦情の受付
農林水産省への報告
・受入機関(お店)は、
取組実施機関(調理の専門学校など)への報告もあります。
人手不足への対応ではなく、
日本食・食文化の海外普及が目的です。
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ここから先は、
受入機関が書かなければならないと推測される項目を、記載します。
街のケーキ屋さんや街のパン屋さんが対象になるのかな、と思います。
受入機関の要件としては(前述より、少し付け加えると)
1 実習計画を実施できる事業所があること
外国人調理師等が調理等の知識及び技能を習得するため
2 健全、安定的な経営状況
3 労働関係法令等の遵守
・労働災害の防止及び安全衛生の管理に係る取組内容
・雇用保険等証明書
・過去三年間に外国人の受入の就労に係る不正行為を行ったことが無いも含みます
4 養成施設で実習した技術や知識を活用し、実習期間内に
下ごしらえから料理の完成に至るまでの一連の作業工程が実習可能
などがあげられています。
「実習計画の内容」
1 日本料理などの知識及び技能の習得のための計画
及び施設に関する事項
2 日本料理などの知識及び技能に係る修得状況の評価に関する事項
3 在留中の住居の確保に関する事項
4 外国人調理師が母国に一時帰国可能な程度の休暇の取得に関する事項
5 日本料理などの指導員及び生活指導員の任命に関する事項
6 報酬及び労働・社会保険への加入等を担保する財産的基盤に関する事項
7 外国人調理師との面接及び外国人調理師からの生活・労働等に係る
相談への対応(苦情処理を含む。)並びに監査の実施に関する事項
8 外国人調理師の帰国旅費の確保その他の帰国担保措置に関する事項
9 特定調理師活動の継続が不可能になった場合の措置に関する事項
が、求められます。
上記と重なりますが、
「実習計画の策定の主なもの」として、
1 調理等の知識及び技能を修得するための計画及び施設に関する事項
(1)最初に、受入機関が修得計画を作成。
段階的に従事する調理業務の内容及び目標とする技能レベルを記載。
仕事場でどのような調理業務をさせ、
技能レベルはどこまで達成することを目標にして、
達成までのプロセスを経るか、の視点で書くことになると考えます。
尚、下記の安全衛生教育の内容を全て網羅する
・調理器具、食料品加工機械等の安全な取扱い方法
・作業手順
・作業開始前点検に関する事項
・疾病の原因及び予防に関する事項
・整理、整頓及び清潔の保持に関する事項
・事項時における応急措置及び回避に関する事項
・その他安全及び衛生に関する対策等
です。
・雇入れ時及び定期健康診断の実施
なお、一部内容を新人研修等で集中的に実施する対応も可能
を網羅するようです。
「段階的に従事する調理業務の内容及び目標とする技能レベルを記載」
ですが、
例えば、ケーキ屋さん・パティシエの場合です。
前述の「認定の要件」を読むと、
1 計画の内容が期間全体を通じて効果的な調理等の技能の向上が図られることが、
確実と認められること
2 外国人調理師等の調理等の技能を必要としない業務又は同一の作業の反復のみに
よって修得できる調理等の業務に従事させるものではないこと
3 調理等の知識及び技能に係る修得状況の評価について、
体制、方法、実施項目等が適切であると認められること
と書かれています。
また、同時に、
養成施設で実習した技術や知識を活用し、
実習期間内に下ごしらえから料理の完成に至るまでの一連の作業工程が
実習可能などなど求められていますので、
熟練技能を身に着けるにあたっては、
同一の作業の反復継続は避けられないので、
どのように折り合うか?どのようにすれば、OKがでるのか?
だと感じます。
パティシエに関するいくつかの書籍を読むと
パティシエとは、本来は生地そのものを作るスペシャリストを指しており、
綺麗にデコレーションしても、土台である生地がおいしくなくてはならない。
温度、湿度、材料の鮮度など厨房の環境は一定ではない。
しかしどんな条件でも、同じ仕上がりせねばならず、
そのためには臨機応変に対処する技術と判断力が必要となり、
機械化が進んだとしても、人間の感覚は欠かせない。
その感覚は経験によって身につくものである。
ようです。
ケーキ店では、
・パティシエ
(生地担当)
全ての製品の生地を作る重要なパート。キャリアと正確な技術が要求される
スポンジ生地、パイ生地、焼き菓子など菓子の要となる生地を担当
(オーブン担当)
生地を焼き上げるパート。製品が何十種類にも及ぶため、
全ての生地の性質、温度、焼き加減などを把握しなければならない
(仕上げ担当)
クリームなどを作り、それらと焼きあがった生地を使ってお菓子を
組み立て仕上げていく。
技術は勿論、デコレーションのセンスも必要とされる
・コンフィズール(ヌガー、キャラメルマシュマロなど砂糖が主原料となる菓子作り)
・グラシェ(アイスクリーム、シャーベット)
・ショコラティエ(チョコレート菓子)
・ヴィエノワズリー(デニッシュ生地ブリオッシュ生地パイ生地などを使ったパン作り)
・店舗運営管理 ターゲティング、集客・販売・顧客化
があるようです。
それで、一日の流れをある店舗を例にとると(共通しているわけではないと思います)
AM
仕込み・焼き上げ
それぞれの生地を仕込んで焼き上げる
⇒スポンジ、タルト、パイ生地、クッキー、マドレーヌの仕込みと釜入れ。
できあがったものを、包装し、販売
仕上げ
焼きあがった生地にデコレーションをしていく
⇒前日に焼き上げ、冷凍室の寝かせた食べごろの
スポンジ生地をデコレーションし、販売
その後
仕込み
それぞれの生地を仕込む
成形
仕込んだ生地を型に流し込んだり、パイ生地に折り込む
仕上げ
焼き上げられたそれぞれの生地にデコレーション
みたいです(すべての店舗が同じわけではない、です)。
最初はオーブン担当、その次は仕込み担当、のような感じでジョブローテーション
にして、
それぞれの担当ごとに必要な知識と技能をわかるようにして、
修得状況の評価を作っておいて、
テストなどで評価をしていく、になるのかな、と考えます。
・雇入れ時及び定期健康診断の実施
なお、一部内容を新人研修等で集中的に実施する対応も可能
「安全衛生教育」ですが、
下記のウェブサイトを参考に、受入機関の仕様に合わせることになるのかもしれません。
お菓子何でも情報館
http://www.zenkaren.net/_1300/_03
日本パン工業会
https://www.pankougyokai.or.jp/information/haccp.html
下記は一般的な衛生管理のようです(日本パン工業会のウェブサイトから)
ア 原材料の受け入れ
製品の製造に使用する原材料に問題ないことを確認。
冷蔵、冷凍原材料を受け取る際には、温度確認
イ 原材料等の保管
保管中に汚染しないようにする
各原材料の開封後使用期限をあらかじめ定め、開封後の原材料には使用期限を明記
ウ 冷蔵庫、冷凍庫の温度確認
使用している温度計が正確な温度を表示していることを確認し、記録
エ 微生物の二次汚染、交差汚染対策
生卵等から他の食品へ有害微生物の汚染が広がることを防止
オ アレルゲンの交差汚染対策
アレルゲンである卵や乳製品等がそれらを含まない製品へ混入することを防止
カ 適正表示の実施
表示が必要とされる場合は、法律に則って表示
プライスカード、POP、口頭などでも提供できるよう努める
キ 施設の管理
製品施設の環境を整え、保守・点検を行う
ク 使用する設備と器具の保全
使用する設備の内部を定期的に点検、清掃
ケ 機械や器具等の洗浄、殺菌
製造に使用する機械や器具を衛生的に維持し、製品の安全性を確保
コ トイレの完備
トイレはウィルスや有害微生物の汚染源なので、清潔に管理
サ 衛生的な手洗いの実施
作業者の手指によって製品が有害微生物等の汚染されることを防止
シ 従業員の健康管理、衛生的な作業着の着用等の実施
作業者に起因する製品汚染などを防止
ス 使用水管理の実施
使用水による製品汚染を防止
セ 有害生物等対策の実施
ネズミ、ゴキブリ等の有害生物と貯殻害虫等の昆虫の活動を防止
ソ 化学薬剤の管理
化学薬剤によって食品が汚染されることを防止
タ ガラスの管理
ガラスの破片が食品に混入することを防止
チ 製品の回収
健康被害の拡大を防止
ツ 食品取扱者の教育
食品衛生への意識を高め、食品事故を防止できる職場を作る
テ 廃棄物・排水の取り扱い
ト 売り場の衛生管理
労働災害について(厚生労働省の過去のウェブサイトからです)
留意すべき点
A 「はさまれ、巻き込まれ」による災害
ア 機械の点検、掃除、修理等、非定常作業を行う場合には、機械を止め、
確実に停止したことを確認してから作業を行うこと。
イ 機械に生地や包装紙等が付着したような場合に、
これを除去する作業(以下「除去等作業」という。)は、
通常の作業中に発生するケースもあり、
特にそういうケースにおいては機械を止めずに作業を行ってしまいがちである。
しかしながら、本来、除去等作業は機械を止めてから行うべき作業であるため、
機械を止め、確実に停止したことを確認してから作業を行うこと。
B「転倒」による災害
4S(整理、整頓、清掃、清潔)の徹底により、
床面の濡れや通路に置いた荷物等、転倒災害につながるリスクを極力排除・低減すること。
C 「高温・低温の物との接触」による災害
ア 作業に当たっては十分な耐熱性能を有する手袋、長靴、エプロン等、
身体を保護できるものを着用することが望ましいこと。
イ 熱した原材料、生地等を直接触れるような行為は避けること。
D その他
現在行っている作業についてのリスクアセスメントを実施すること。
特に、機械を使用する作業について、使用する機械等のリスクアセスメントを実施し、
その作業におけるリスクを特定し災害防止対策を講じること。
仕事場では、どのような衛生管理や労災防止の教育をして、
実施しているのか?
の視点で書くことになると考えます。
(2)施設。事業所の従業員数、面積、客席数及び厨房の概要等を記載し、
店舗内部及び厨房の図面、写真、メニュー表などを貼付
(3)誓約書の提出 取組機関と連名で
・外国人調理師等を雇用契約に基づく労働者として受入、
日本の文化の普及人材として取組実施機関で修得した技術や知識を活用し、
実習期間内に下ごしらえから料理の完成に至るまでの一連の作業工程を実習することが可能であること
・風俗営業法第2条第3項に規定する「接待」を行わせないこと
・ホテル、旅館又はリゾートクラブについては、
特定調理等活動を行わせる場合にあっては、外国人調理師等に調理等以外の業務に従事させないこと
(1)(2)(3) 以上、
1 調理等の知識及び技能を修得するための計画及び施設に関する事項
でした。
2 調理等の知識及び技能に係る修得状況の評価に関する事項
評価予定時期、評価実施場所、評価担当者、技能評価基準、評価方法を記載。
取組実施機関が、受入機関の協力を得て実施
3 受入期間
4 在留中の住居の確保に関する事項
在留カードと同一又は居住予定の住所
あるいは
賃貸物件又は自社所有建物等の住所及び概要を記載
5 外国人調理師等が母国に一時帰国可能な程度の取得に関する事項
6 調理等の指導員及び生活指導員の任命に関する事項
調理の指導員は、勤務する会社及び事業所名、調理等に関する経験等を記載
生活指導員は、勤務する会社及び事業所名、人事管理等に関する経験等を記載
7 報酬及び労働・社会保険への加入等を担保する財産的基盤に関する事項
調理師等に支払う予定の報酬額が、日本人と同額以上である根拠を記載
受入機関の日本人向け求人票
外国人調理師等との雇用契約書
直近の決算が黒字であること、又は、3年間経営が安定していることを証する財務諸表等を添付
8 外国人調理師等との面接及び外国人調理師等からの生活・労働などに係る
相談への対応(苦情処理を含む)並びに監査の実施に関する事項
相談対応と監査の実施は取組実施機関
9 外国人調理師等の特定調理活動に係る経費の確保担保措置に関する事項
外国人調理師等の帰国旅費や製菓衛生師の免許を取得するための経費
原則 受入機関の負担 でも可能
10 特定調理等活動が不可能となった場合の措置に関する事項
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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何気に、15年目に入りましたので、今後も引き続きよろしくお願いします。
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