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入国管理局の在留資格申請手続きをサポートする行政書士

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コラム

外国人宗教家(僧侶、神官、宣教師など)は、宗教法人の設立は可能か?

2016年1月26日 公開 / 2019年7月3日更新

テーマ:外国人宗教家

コラムカテゴリ:法律関連

宗教法人の設立

外国人宗教家(僧侶、神官、宣教師など)は、宗教法人の設立は可能か?

宗教法人ってそもそも何?ですが、
宗教法人法によって法人となった宗教団体をいいます。

(宗教団体が、礼拝施設その他の財産を所有し、これを維持運用し、
その他の目的達成のための業務及び事業を運営することに資するため、
宗教団体に法律上の能力を与えることが目的に制定されたのが、
宗教法人法です。
尚、日本国内では、宗教法人でなくても、宗教活動を行うことはできます)

では、宗教団体とは?ですが、
宗教の教義を広め、儀式行事を行い、
及び信者を強化育成することを主たる目的とする以下に掲げる団体です。
1 礼拝の施設を備える神社、寺院、教会、修道院その他これに類する団体
2 上記1に掲げる団体を包括する教派、宗派、教団、教会、修道院、司教区
 その他これに類する団体(包括宗教団体)

日本に滞在している外国人は、キリスト教信者、というイメージがありますが、
実は、仏教やイスラム教やヒンズー教などの宗教を信仰している人達もいます。
熱心に信仰している人は、礼拝に行きますし、
そこがコミュニケーションの場も兼ねていることもあります。
更に、外国人の宗教家が滞在し、そこを拠点として活動しています。
(この場合の在留資格は「宗教」になります。
外国人宗教家個人で拠点を持つことは難しいこともあるでしょうから、
宗教法人を設立して活動することも考えられます。)

例えば、カトリックの場合、日本に滞在している、フィリピン人やブラジル人、
ペルー人など多くの人達が信仰していて、日本国内のいくつものカトリック教会が拠点となっています。
しかし、仏教の場合、日本に滞在しているベトナム人、タイ人、ミャンマー人、
カンボジア人、ラオス人など多くの人達が信仰していますが、
彼ら/彼女らが集まる拠点は多くなさそうです。
ヒンズー教の場合も、日本に滞在しているインド人の多くの人達が信仰していますが、
やはり、彼ら/彼女らが集まる拠点は多くなさそうです。

上記の人達が、篤い信仰心があり、礼拝施設などに行きたいと思っていても、
拠点が少ない場合、本国から宗教家(僧侶、神官、宣教師など)に来日してもらい、
新たに日本に拠点を作り、皆でお金を拠出して共有財産にし、
管理・運営をしていくことが考えられます。
更に宗教法人を設立し、
代表者は、法人内で、宗教上の最高位にある者が就くことが多いので、
代表役員に就任してもらうこともあり得ます。
法人格のない団体の場合、
団体の資産が代表者の個人資産になる可能性があることから、
法人化しておけば、法人の資産が明確になります。
外国人宗教家の場合、日本への派遣期間が決まっていることもあり、
法人化しておけば、終了時における代表役員の引継ぎがスムーズです。

宗教法人は、その規則について所轄庁の認証後、登記をすることによって、
成立します。
尚、宗教法人を設立しようとするものは,所定の事項を記載した規則を作成し,
その規則について所轄庁の認証を受けなければなりません。
所轄庁への認証申請の少なくとも1か月前に,信者その他の利害関係人に対し,
規則の案の要旨を示して宗教法人を設立しようとする旨を公告しなければなりません。
なお,宗教法人は,所轄庁の規則の認証を得た後,
その主たる事務所の所在地において設立の登記をすることによって成立します。

宗教団体は(3年間の活動実績があることが必要)、
1 設立会議の決議 
2 規則の作成
3 公告 
4 所轄庁へ規則認証申請 
をします。
5 所轄庁で審査・規則認証・交付
されたら 
6法務局へ法人設立登記
7 登記完了後、所轄庁へ届出
をします。

宗教法人にすると面倒なので、外国人宗教家を中心とした宗教団体で良い、
という選択もあるかもしれません。
が、宗教法人にしなくても、一定の規律があったほうが良い、と思います。

宗教法人を目指す、或いは、目指さなくても宗教法人に近い運営をしたい場合、
・外国人宗教家は、在留資格「宗教」で、代表役員に就任できるのか?
法人格のない宗教団体の代表・運営者になれるか?
・運営をするにしても、そもそも、当初は、どうやって、外国人宗教家を
招へいするのか?
があります。

入国管理局から在留資格「宗教」得られた人ができる活動は、
「外国の宗教団体により日本に派遣され、
日本において布教活動等を行うことを目的とする宗教家の活動」です。
そして、基本的な活動として
「宗教の布教、伝道及び法会、式典などの祭式の執行、その他の宗教活動」
とされています。
更に、
・外国の宗教団体から派遣されること
或いは、日本に本部のある宗教団体から招かれても、外国の宗教団体に所属していて
(日本の宗教団体と直接関係があるか、どうかは問わない)
その団体から派遣状又は推薦状を受けている者
が要件です。

ですので、宗教活動しかできないので、
宗教法人の代表役員に就任し、管理・運営はできないのではないか?
との疑問が生じます。
しかし、
公益事業(教育などの公益を目的とした事業:幼稚園など)
公益事業以外の事業(宗教活動などの目的達成に資するための収益事業:
駐車場などの貸地、土産物店などの賃貸、貸家など)
で、特に公益事業を経営するような場合、
在留資格は「経営・管理」になるのではないか?と考えます。

「在留資格「経営・管理」の許可要件
本邦において、貿易その他の事業の経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動で、
1 申請に係る事業を営むための事業所が本邦に存在すること。
 ただし、当該事業が開始されていない場合にあっては、
当該事業を営むための事業所として使用する施設が本邦に確保されていること

2 申請に係る事業の規模が次のいずれかに該当していること
イ その経営又は管理に従事する者以外に本邦に居住する二人以上の常勤の職員
(法別表第一の上欄の在留資格をもって在留するものを除く)が従事して営まれるものであること
ロ 資本の金額又は出資の総額が500万円以上であること
ハ イ又はロに準ずる規模であると認められるものであること」


そもそも、当初は、どうやって、外国人宗教家を招へいするのか?ですが、
日本側に受け入れる場合、外国の宗教団体の支部や、関係宗教団体の存在が
申請手続きで必要になります。
在留資格認定証明書交付申請の場合、上記の団体の職員が申請代理人になりますし、
入国後の活動先は上記の団体になるからです。
尚、短期滞在ビザを在外の日本大使館で申請をする場合にも、
上記の人は、招へい人兼身元保証人になります
(査証免除国・地域の人は、短期滞在ビザの申請は不要です)。
ですので、関連する宗教団体に招へいしてもらい、
入国後、宗教法人設立までの間、関係宗教団体を作り、
在留資格「宗教」を目指すことになります。
得られないときは、その都度、「短期滞在」ビザでの招へい手続きになると考えます。
宗教法人を設立するために、下記のことを決めたり、事前に活動したり、書類を作成し、
保存しておく必要があります。

宗教法人の設立を進めるにあたって
宗教法人の機関で、必置機関として、
・責任役員(法人の事務に関しての審議をし、意思決定行う。3人以上。)
・代表役員(通常、責任役員から選ばれ、法人を代表し、事務を総理する)
それと、置いておきたいのが、代務者・仮代表役員・仮責任役員・監事
必要なのが、信者のうち、総代のような、檀徒や氏子や信徒を代表する人達です。

宗教団体として証明するものとして

1 宗教団体の概要書
・宗教団体名、団体の所在地、電話番号
・代表者名、代表者の住所、電話番号
・意思決定機関と役員
・主神、本尊
・教義の大要
・由緒、沿革(創始年月日、創始場所、創始者、主な変遷)

2 宗教活動に関する書類
・宗教行事の実績一覧表(過去3年間)
・宗教行事中の写真(刊行物、儀式行事の連絡文書など)
・活動地域
・信者、宗教教師の一覧表(住所の記載のあるもの)

3 宗教団体としての実体に関する書類
・当該団体の組織、意思決定方法、財産の管理等に関する規約
 (目的、名称、事務所所在地、代表に関する事項、議事に関する事項、
 議決機関に関する事項、予算・決算等の財務に関する事項、財産の管理、
 処分に関する事項等の記載のあるもの)
・規約制定時の会議録の写し
・会議録の写し(過去3年間)
・収支予算書、収支計算書、財産目録(過去3年間)
・団体名義の預金通帳の写し(過去3年間)
・現金出納簿の写し(過去3年間)
・借り入れがある場合は、返済計画書(金融機関発行のもの)
・境内地明細書(土地の登記簿謄本、公図の写し、測量図又は境界杭の写真)
・境内建物明細書(建物の登記簿謄本、建物平面図、建物配置図、外観写真
 {2方向以上}、建物内部写真{風呂、便所を除き各部屋1枚})
・寄附証書又は賃貸借契約書等の写し

 上記によって、教義の存在、それを信奉する信者の存在、
礼拝施設の存在を確認、
規約、意思決定機関の議事録、収支計算書、財産目録等により、
過去3年間の宗教団体としての活動実績の確認を、当局にしてもらうことになります。
 尚、境内建物を所有している場合は財産目録、
賃借している場合は境内建物に関する書類
を作成することになります(マンションの一部屋を借りているような場合です)。

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