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趣味と言う居場所を持つことについて考える

寺田淳

寺田淳

テーマ:最近の話題から

 

【はじめに】

 今日はコーヒーブレイク的な話です。
シニア世代になれば仕事も大事だが趣味を持つことも大事。

 よく言われることですが、
更に付け加えるとすれば「出来れば複数の趣味を嗜む。」
事を推奨します。

 家庭と職場と並ぶ第三の居場所である趣味について紹介します。

【趣味という居場所】

 60才を迎えて仕事の第一線から(不本意ながら)退いた時に
「仕事が趣味だった=無趣味」という方が一気に生活に張りを失くし
性格が一変してしまった。

 こういった話や事例は他人事ではないと思います。

 同様に趣味の世界でも
「生涯この趣味だけ」「人生をかけた趣味」というケースは
あくまでも個人的な見解ですが、あまりお勧めできません。

 以下はいずれも私が遭遇した友人知人の事例です。
その対照的な事例を紹介します。

 もともとは山歩きが趣味で
学生時代から時間があれば山に行くといった
アウトドア派の趣味の持ち主がいました。

 この方が60才を前に事故で腰を痛め、
山歩きが出来なくなったのです。

 当初はかなり気落ちしていたようで
日常生活の為のリハビリにも不熱心だったようです。

 ですがその方は山歩きの中で
「スケッチ」というもう一つの趣味を持っていました。

 私も見せてもらいましたが、
素人趣味とは言えないほどの腕前で、
その後個展を開くまでに至ったのです。

 命の次に好きだった山歩きは
不本意な結果によって出来なくなりましたが、
その次に打ち込める趣味を持っていたことで
時間はかかりましたが、立ち直ることが出来たのです。

 今では自宅周辺や自転車で遠出できる範囲で
気になった風景をスケッチすることが日課としているようです。

 もう一人は逆のパターンです。
18才で免許を取って以来運転をしなかった日はない、
というほどの「ドライブ&自動車マニア」の方でした。

 今話題の認知症や高齢による危険を避けるため、
免許返納を家族から強いられた訳ではなかったのですが、
不幸にも50代で眼病を患い運転が困難となり、愛車を手放し、
その後免許も返納したのです。

 まさにクルマ一筋、特にドライブが生きがいだったことで
失意の中、今更別の趣味を見つける気力もなかったのでしょうか
僅か1年半後には室内にはゴミの山が出来、その後引きこもりからの
認知症発症という坂道を転げ落ちてしまいました。

 似たような事例は他にもありまして
いわゆる「鉄ヲタ」「撮り鉄」だった友人が
糖尿病で歩行困難となり、近所への外出も困難になり
一時は自暴自棄になり家庭内離婚にまで発展したそうです。

 
 趣味を持つことは大いに推奨しますが、
これ一筋!という突き詰めた趣味ひとつというのは、
何かあった場合には諸刃の剣になる危険性を秘めています。

 ここに挙げたようなアクシデントで
唯一つの生きがいだった趣味を断念することになれば
その反動は予想以上に自身と周囲に影響を与えます。

 特に事例で紹介したようなアウトドア派の趣味の持ち主や
外交的で仲間との会話や集まりが趣味と言った活発だった方が
不慮の事故や疾病で今までのような生活が出来なくなった場合に
一気に生活が激変したというケースはかなり多いのです。

  
 趣味を持つということは
「家庭と職場に次く第三の居場所を持つ」
ことでもあるのです。

 60代、いや50代でも
人から褒められる場はどこにあるでしょうか?
会社員であればどちらかと言えば部下を褒める立場でしょう、
家庭であっても(私の主観ですが)褒められることは無縁では?

 それに対して、
趣味の世界では年齢に関係なく褒められる場面が出てきます。

作品を褒められる、
演技を褒められる、
試合中のファインプレーを褒められる、
同期会やOB会の主催としての活躍を褒められるなど等、
いろいろな場面で褒められるケースが少なくないのです。

 単に褒められる以上の「賞賛」を浴びることだって
全く無いとは言えません。

 趣味の世界は
社内の肩書や家庭人といった「枠」から抜け出た
新たな個性を発揮出来、評価される世界なのです。
 
 いつも同じ仮面を被っているより、
家庭、職場、趣味の3つの仮面を
場面に応じて付け替えることで
人生の幅は大きく変わるのではないでしょうか?

 多趣味の方が見た目も精神年齢も若く感じられるのは
こういった影響によるところが大、と私は考えています。

 少なくとも、最低でも「オン/オフ」の切り替えが
出来るようにはなっておきたいものです。 

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寺田淳
専門家

寺田淳(行政書士)

寺田淳行政書士事務所

 起業・独立や転職、再就職を考えるシニア世代に対して、現時点での再就職市場の動向や起業する際の最低限の心構えを始め、私自身が体験した早期退職から資格起業に至るまでの経験やノウハウを紹介します。

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