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定年後の社会との接点の確保

寺田淳

寺田淳

テーマ:50歳からの人生


【はじめに】

 タイトルでは「定年後」としていますが、
社会との接点を持つ意味というのは早期退職でも雇用延長後の退職でも
共通する課題ですので、新たな社会との関係性を築く場合の注意点について
簡単に紹介したいと思います。

【社会との接点=居場所を持つということ】

 人の人生を左右するのは、家庭、職場(仕事)、そして職場以外の社会と繋がりのある場所、
この3つの場所に繋がりを持つことで、大げさでなく人生が変わります。

 シニア世代に限らず、人間が孤立したり孤絶した結果、
ひきこもりや早期の認知症になる、これは老若男女を問わずに遭遇する
重要問題だそうです。

 家族がいれば、最低限の人間の繋がりや
家族を通しての社会との繋がりが期待出来ます。
仕事があれば、家庭と職場の2か所で社会とつながりを持つことになります。

 私のような「おひとり様」であっても
仕事のおかげで色々な繋がりを持つことが出来ています。

 さらに幅のある、仕事以外の繋がりとなる趣味や社会貢献といった分野で
居場所を設ければ、社会にに3つの居場所を持つことが出来るのです。

 多くの異なる居場所を持つことは、それぞれの分野でしか味わえない、
知ることが出来ないような貴重な経験や、出会うことのなかったような人脈を見出せます。

 いくら老後資金は潤沢で働かなくても悠々自適という方でも、
リタイア後早ければ1年以内に、再就職活動を始めたり、ボランティアやNPO活動を始める、
等など、何かしらのアクションを起こすケースは決して少なくはないのです。

 逆に老後資金は十分でも、
何もやる気が起こらない、したくない、といった傾向が強い場合、
先に述べたような孤絶の中で生涯を終えたり、健康に重大な疾患を生じさせてしまいます。

 居場所を持つことは、生きる意義というよりも心身の健康の為でもあり、
社会との接点を持つことで好奇心や関心、注意力を維持・拡大させることが出来ます。

【繋がりを持つことの意味】

 特に60才前後のシニア世代の場合、
人生経験が豊富な方ほど、新たな感動とは疎遠になりがちです。
「以前行ったことがあるし」「もう何度も食べた事がある」「昔やっていたから」
等といった、ネガティブな見方をしがちになるようです。

 ですが、昔の経験だけで頭の中でダメ出しをしていては一歩も前には進めません。
ボケ防止とまでは言いませんが、「昔と今ではどこが違っているかな?」「今も同じ味かな?」
「今の道具はどこまで進化したのかな?」といった好奇心や探求心、注意力を持てば、
間違いなく心身ともに活性化を図ることに繋がる良性の刺激と言えるでしょう。

 好奇心や物事への関心は年齢は関係ありません! 
却って今までの経験と比較検討するという
若手にはない「アドバンテージ」を持っていることを自覚して欲しいのです。

 仮に趣味の集まりや社会活動の中に異性が存在すれば、どうでしょう?
人によってはオシャレや会話の為の話題探しに大きな関心を持つことでしょう。
ある意味、より迅速な行動開始の後押しとなるのではないでしょうか?

【求められる第三の居場所とは?】

 自宅や家族が第一の居場所とするならば、
サラリーマンの場合では就職した会社の職場が、第二の居場所となるでしょう。

 現役の会社員の場合、
自宅と職場(会社)だけでも社会との接点としては十分と思えますが、
文字通りの会社人間で毎日自宅と会社の往復で休日は自宅でごろ寝、
これでは問題ありでしょう。

 いずれはマンネリ化するのは必至です。
社外に人脈もなく、これといった趣味もない仕事人間。
このケースでは何かの(悪い)きっかけで簡単に酒やギャンブルに嵌りこみます。

 今はそれでも会社内で同僚や上司などと世間話をすることも可能ですが、
退職後はどうでしょうか? 

 同じ会社に再雇用となっても部署が変われば「未知の異郷の場」となります。

 当然社会との接点が先細りになるので、業界の動向や求人情報などの入手も先細ります。
そのまま定年を迎えれば何の事前情報もないまま、会社を離れることになり、
退職してから初めて一から行動を起こす羽目になるのです。

 仮に、社外に居場所があるならば、高校や大学のOB会でも、県人会のような繋がりでも
同じ趣味のサークルのメンバーなどがいれば、自分一人では見出せないような情報や人脈を
紹介してもらえる可能性が出てきます。

 実際に、OB会のおかげで再就職先が即座に決まって新たな仕事に就けたというケース、
私の取り扱った中だけでも10件はありました。 社外の人脈、侮るべからずです。

 出来れば、
在職中のうちにこの手の集まりを把握して、自身の選択で参加・不参加を決める方が
納得も出来ますし、定年後に慌てて動き回るよりは余裕をもって行動が出来るはずです。

 定年後に唐突にOB会に初参加して、その場で職探しの相談をしても(出来ればの話ですが)
いい反応を得ることはまず無理でしょう。 

 長年の会の中でのやり取りで築き上げた人脈だからこそ
仕事面に限らず私生活の相談でも期待が出来るようになるのです。

 自分が逆の立場であれば、
そんな厚かましい新入りに近づきたくはないと思うのではないでしょうか?

【やってはいけない行動とは?】

 これは現在すでに社外の集まりの参加中の方にも当てはまる注意点です。
60歳前後で新しい仕事に就く場合、会社員の多くは元管理職というケースが多いです。
全員がそうとは言いませんが、未だにかなりの人数が元管理職の意識が抜けないままなのです。

 基本的には、ボランティアを始めとして、趣味のサークル活動などの場合、
基本的には誰がリーダーというような縦社会、縦の繋がりではありません。
同じ趣味の下、皆平等に横並びという水平の繋がりの場合が多いのです。

 自身が発起人や主宰であれば別ですが、一番の後輩、新入会員であるのに
先輩面をしてしまってはNGなのは言うまでもないことです。

 いくらその趣味の造詣が深くとも、経験年数が長くても
いきなりの歳上目線での物言いや、豊富な知識をひけらかす様な横柄な態度では
早々に嫌われ、敬遠され、最後は排除されるだけです。

 この反対のケースもいささか問題ありで、
年下だけど会の中では大先輩といったメンバーがいた場合に
必要以上にへりくだったり、気を使ってしまうのもNGです。

 お互いが楽しくなくなれば遠からず足は遠のきます。
それだけでなく「あいつがいなければ」のように
特定の誰かに対して妬みや嫉み、恨みを持つようではまさに本末転倒です。

 これは再就職や転職、起業・独立の場合でも言えることです。
元の職場ではこうだった、前のやり方の方がいい、私の経験を尊重しなさい…

 当然、中には貴重な経験談であったり、適切な業務の進め方というケースもあるでしょう。
だとしても、あくまでも年上の新人であるという立ち位置を十分意識して欲しいのです。

【まずは仕事の居場所を確保して】

 もう死ぬまでの生活費にお釣りがくるほどの資産を形成した、
今更働く必要はなく、その気もない、だけど社会とは繋がっていたいし認めてもらたい。

 こういうごく少数派を除けば、定年後も仕事を続けることが大前提の筈です。

 在職中も含めて、まず確保に動かなくてはいけないものは「第二の職場=仕事」です。
趣味や社会活動を心置きなく続けるためには、「日々の生活に支障が出ない範囲でなら」
という前提が必ずついて回ります。

 再就職活動をそっちのけで趣味や社会活動だけに専念するのでは生活が破綻するのは必至です。
おひとり様でなければ、第一の居場所である家庭すら失うほどの危険性を伴うのです。

 人間、楽しいことをしていると時間とお金は思った以上に速いスピードで通り過ぎていきます。
気が付いた時には老後資金が枯渇、そして家庭崩壊となっては社会貢献どころの話ではないのです。

  シニアの居場所について、
まずは仕事の場という居場所を考えることを優先させ、
次に生きがいや社会貢献を目指すような居場所を考えるというステップを意識したいものです。

【定年後の25年】

  2022年9月末時点で日本の高齢化率は29,1%に達したそうです。

 国連の定義では全人口の中で65才以上の高齢者が占める割合が

 7%を超えたら高齢化社会
 14%を超えれば高齢社会、
 21%を超えたら超高齢社会だそうです。

 既に3割に達しようとする日本は、
今は定義を超える老齢社会と言えるでしょう。

 仮に60才で定年退職し、85才で亡くなるとしても25年間は生きていくのです。
新社会人として社会に出て25年後といえば大卒ならば50才手前までの時間が
再び巡ってくるのです。

 今振り返れば、入社から50手前までもあっという間と思えるかもしれませんが
なんもしない、毎日同じことの繰り返しで過ごす25年は大きく異なります。

 現役の頃でも仕事がある場合、「もうこんな時間か!」でしたが
退職後には、「まだこんな時間だ」という生活になって戸惑っている。

 こう話す方はリタイア後にやることが見出せなかった方ほど高い比率でした。

 新たに迎えることになる定年後からの25年という時間、
自分はどうやって社会との接点を維持し、存在意義を見出すか?
その為にはどう過ごせばいいかを考えるのは50代の今がラストチャンス、

 あくまでも既に経験済みの私個人の考えですが、貴方はどう考えますか?

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寺田淳
専門家

寺田淳(行政書士)

寺田淳行政書士事務所

 起業・独立や転職、再就職を考えるシニア世代に対して、現時点での再就職市場の動向や起業する際の最低限の心構えを始め、私自身が体験した早期退職から資格起業に至るまでの経験やノウハウを紹介します。

寺田淳プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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