記憶に残った起業・開業相談 その1
【はじめに】
だいぶ遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。
今年もシニアの起業や独立への支援を中心としたコラムを紹介していく予定ですので
これからも宜しくお願い致します。
起業・独立を目指すシニアは、
まずは背後の備えを固めてこそ
新たな夢に向かって全力を発揮することが出来るのです。
2023年最初のコラムでは。このテーマから始めたいと思います。
【3点確保の重要性】
これまで何度もこのコラムで起業・独立を目指す場合、
何故その仕事を選んだのか? やりたい仕事だから、出来る仕事だから?
得意な仕事だから?、好きな仕事だから?を見極める事。
さらに、今の時代にその仕事に生活を託せるだけの需要があるかどうか?
あったとしても競合の存在は、既に過剰供給になっていないか?
需要がある場所での開業が可能なのかそうか?
など等、あらゆる角度から「成功に繋がる要素」を絞り込むことを奨めてきました。
ですが、実はそれ以前に起業・独立を目指す場合、意識しておくべき
「3点確保」という課題があるのです。
では3点確保とは何を指すのでしょうか?
もともとは登山、特にフリークライミングで使われる言葉で、
登攀の際に移動の為に片手を離す場合には、残る片手と両足はしっかりと
安定した場所を確保しておく、片足を移動の際は両手と片足でしっかりと支える
という動作の基本中の基本を指します。
これは起業にも同じことが言えると私は感じています。
起業の際に求められる「3点確保」については
- 家族の理解と協力
- 自身の体力と健康
- 当面の生活を支える資力
と私は考えます。
独立・開業の計画書、事業計画、資金計画以前の課題です。
当然これらは年齢に関係なく必須のものと言えます。
ですがまだ若いうちの起業に関しては、まだ登攀直後の比較的安全な高さからの
スタートと言えます。
仮に準備不足で3点確保がうまく行かずに「滑落=失敗、挫折」した場合でも
致命傷にはなり難く、やり直すための時間も体力も残されています。
~精神的な挫折感からの気力喪失は別ですが…
これがシニア起業となると、スタート時点がかなりの高度からのスタートであり、
滑落=致命傷という前提からのスタートと考えるべきです。
加えて多くの場合は家族という貴重な存在をも背負っての登攀になるのです。
若い時には十分余力のあった体力や時間的猶予も
シニア世代には決して多くは残されていません。
いわば、シニア起業は失敗が許されない一発勝負の登攀、
と考えておく方が適当と言えます。
先に述べた3点の確保があってこそ
新たな一歩を後顧の憂いなく進めることが出来るのです。
【終活と共通する備えとは?】
ここで挙げた健康と資力に関してはほかでもない自分自身で棚卸しをして
正確な実態を把握出来るものです。
そしてこの2点はそのまま終活にも繋がる案件でもあるのです。
自身の既往歴や常用薬やかかりつけ医の一覧の作成
起業時点での自分名義の財産目録の用意(負の財産も明記)
自身の個人情報(SNSの使用状況や各種の契約、取引先や交友関係の一覧等)
新たなスタートを切ることと、上記のような終活の準備が繋がる?
一見すると矛盾する内容とも見えますが、足元を固めるということは
新たな出発の場合、特に重要な意味を持つものなのです。
例えば、健康面で不安があれば個人事業での起業は最初から不安要因ありきです。
病気以外でも外傷(腰痛や捻挫、ひざ痛等)があれば立ち仕事(飲食や物販等)は
かなりの負担になりますし、営業を自ら行う場合は下手をすれば車の運転にも支障が出てきます。
万が一アクシデントが生じた場合に
家族や仕事仲間に迷惑をかけないことは最低限のマナーです。
さらに、最初に紹介した家族の理解や協力なしのまま、
独断でまたは拙速に起業をスタートさせてしまえば
当初から内紛の芽を抱え込んでのスタートになってしまいます。
シニアになれば、より個人起業は一発勝負となります。
二度三度の挑戦も出来ない訳ではありませんが、若手と比べれば
相当な負荷を覚悟しなくてはいけません。
終活の一環として自身の棚卸しや財産目録の作成は
事業計画を徹底する事に匹敵する起業前行動として捉えること。
やり直しの時間に十分な余裕のないシニアこそ、
足元を固めることを疎かにしてはいけないのです。
【補足】
今回は起業に関係する終活について少々触れましたが、
昨年末に私のブログ「新・先憂後楽」を全面リニューアルをして
終活に特化した内容で公開しました。
特におひとり様のシニアにとっては、
いつか必ず遭遇する課題が満載ですので
興味のある方は以下のリンクから参照して下さい。
新・先憂後楽 おひとり様の終活支援