不動産投資に必要な帳簿「個人資産」と「一部屋ごと」
今回は融資を受けやすい投資不動産の3つの特徴について解説いたします。
マイナス金利下で、金融機関も不動産投資に対する融資を積極的に行っていますが「すべての物件に対して」というわけではありません。
融資を受けやすい投資不動産の条件は3つあります。
低金利時代だからといってむやみに手をだすのではなく、物件の特徴と低金利で融資を受けやすい投資不動産を行うことが大切です。
マイナス金利下、融資を受けやすい3つの物件とは?
これまでご説明した理由により各金融機関は、マイナス金利政策の下で、不動産投資に対する融資も積極的に行っています。
地方銀行を中心とした金融機関が積極的に融資を行っているので、融資が受けやすい投資不動産の状況になっていて、住宅ローンに限らず、不動産投資ローンにも同じ動きが出ています。
またマイナス金利の影響を受けて、新築物件の着工数も伸びています。「不動産市場動向マンスリーレポート」(国土交通省2016年12月発表)によると、首都圏で10月に新設着工された住宅数は前年同月と比較して15.6%増加で2万8627戸と出ています。
こういった動きを見ると、融資の受けやすい投資不動産をするならマイナス金利の今がチャンスと言えますが、「マイナス金利を味方につけ1%台での融資を受けられるのは今だけ」のコラムでご説明したように安易な融資による焦げつきなどが生じた結果、金融機関がすべての物件に対して積極的に融資を受けやすい投資不動産を行っているかというと、そういうわけではありません。
金融機関が低金利で積極的に融資を行っている物件とは次の3つになります。
1 新築物件
2 融資額より物件評価が高い物件
3 築年の浅いRC(鉄筋コンクリート造)の中古物件
それでは3つの物件がなぜ、融資を受けやすい投資不動産なのでしょうか。
その特徴をそれぞれ詳しく見ていきましょう。
金融機関が融資を出しやすい新築物件
まず、融資を受けやすい投資不動産の対象としてあげられる新築物件について考えてみましょう。
そもそも新築物件は取引事例がないので、単純に土地の価格プラス建物の価格で融資額が決められるという点が融資を出しやすい物件であると言えます。また新築物件は建築物の築年数の問題がないため、建築物の評価がしやすく、その基準は最新の法令に準拠しているため、金融機関にとっても安心して融資できる物件です。
特に、建物が減価償却前なので、建物の価値が償却されておらず融資をつけやすい投資不動産であるという側面もあります。ですから新築物件の場合、建物価格を調整することで、売価に近い融資を受けることも可能です。
マンションの減価償却とは、実際に購入した不動産が将来的に経年劣化してしまうものだけを、毎年減価償却費として計上できることを指します。
マンションの不動産価値は大きく土地と建物の部分に分けられます。土地の部分に関しては、価格や相場は周辺状況の変化によって多少左右することは考えられますが、基本的な価値が劣化することはありません。ですから減価償却できるのは、年月とともに劣化が生じる建物部分だけということになります。
金融機関は長期間の融資ができれば収入を得ることができ、たとえ低金利でも長いスパンに渡って融資することによりメリットが生まれるのです。
融資額より物件評価が高い物件
つぎに融資を受けやすい投資不動産として考えられるのが、融資額より物件評価が高い物件です。
メガバンクや地方銀行が融資の際によく使う方法なのですが、たとえば5000万円相当の担保価値がある物件には、5000万円より少ない金額でなければ基本的に融資は行いません。
これは、金融機関が融資した不動産のオーナーが不動産投資に失敗してしまったとしても、融資を行った当該物件を回収し、売却すれば金融機関が損をすることはないという考え方にもとづいています。
金融機関にとっては、不動産のオーナーが投資に失敗しても痛みがないため、低金利での融資が可能になるというわけです。一般的にはプロパーローンと呼ばれているローンです。
築年の浅いRC(鉄筋コンクリート造)の中古物件
築年数がまだ浅いRC(鉄筋コンクリート造)の中古物件は、不動産投資への融資を長年行ってきた不動産融資を得意とする金融機関が、低金利で融資を出しやすい物件です。
RC(鉄筋コンクリート造)物件の法定耐用数は47年間ですが、金融機関によっては耐用年数55~65年と長めに設定している場合があります。築年数1~20年の物件は、この先の耐用年数がまだまだありますので、当然賃料が取れる期間も長くなり、安定した収益を維持しやすいという理由から、比較的低金利で融資を受けやすい投資不動産であると言えます。
しかし中古物件の場合、取引事例(過去においてどんな値段で取引されてきたのか等)もあるため、物件価格に対する融資額の面で事前審査が厳しくなるという一面があります。家賃は本当に適正であるといえるのか、価格は他物件や立地を考えて適正であるのか、といったことが審査され、厳選された物件だけが融資を受けることが可能です。
中古物件の場合、隣近所にどのような人が住んでいるのか、近隣同士のトラブルはないか、騒音や生活に支障をきたすようなことはないかなどの点を売主に確認することもあります。購入してから様々なトラブルが起こり、借り手がつかなくなって空き状況が続くといったことがあると困りますので、事前に全て確認できるということは中古物件のメリットとも言えます。
このようにして審査した結果、新築物件同様、融資の年数が比較的長期にわたる物件は、融資する金融機関にとってメリットがありますので、低金利での融資が行われます。
しかし、この場合、低金利の融資を受けやすい投資不動産の立地は、1都3県や大阪、名古屋などの大都市圏である必要があるので注意しましょう。
低金利ならすべてが良いわけではない
金融機関にとって、不動産融資は“商売”です。
だからこそ借入申込みする人の属性や年収・資金・資格や貸し倒れのリスクをしっかり考慮して、自分たちが融資する物件の金利を決定します。つまり、金融機関側の厳しい目線で評価し、リスクが低い物件には低金利で融資を行い、リスクが高い物件には高金利で融資を行うという“リスクヘッジ”を行います。だからこそ、1%台の低金利で融資を受けられるということは、不動産投資をするオーナーのプランそのものが低リスクで失敗しにくい融資の受けやすい投資不動産の証明となるのです。
逆に、超マイナス金利時代の現状下でも、3%、4%といった高金利で融資を受けているプランもあります。そういったケースのプランは、中古アパートや築20年以上(バブル期)のRC(鉄筋コンクリート造)マンションに多いのが特徴です。これらの不動産投資は人気もなく貸し倒れなどのリスクが生じる可能性が高いことから、金融機関は高い金利を設定して融資時に想定されるリスクに備えているということになります。
それでは、低金利で融資を受けやすい投資不動産なら想定通り利益が出る物件なのか?
残念ながら、低金利で融資をうけることができる物件が、すべて良い物件とは限りませんし、固定の収益が未来永劫続くわけではありません。新築物件は中古物件に比べてどうしても価格が割高になってしまいます。メガバンクや地銀から融資を受ける際も頭金が多く必要になってしまうこともあります。
これまでご説明してきましたように、マイナス金利は不動産投資に良い影響をもたらすことが多いと言えます。
不動産投資がほかの金融商品と大きく違う点は「融資を受けられる投資である」という点です。不動産という現物の資産を担保にして高額な融資を受けられる不動産投資はマイナス金利の影響を直に受けていると言えるでしょう。
ただし今のマイナス金利政策がずっと続く保証はありません。
融資を受けやすい投資不動産についての理解を深めて、これから不動産投資を行おうとお考えの方は、しっかりと先を見据えて対応・判断する必要があります。物件の特徴と低金利で融資を受けることの両面を考慮したうえで、不動産投資を行うことが大切です。