投資用ワンルームマンションの管理を遠隔でするコツ
キレイな新築マンションは、賃貸需要も高く投資家にとって大変魅力的に感じるのは理解できますが、投資用不動産で考えた場合、そこに自分が住むわけではないので月々の収支ありきで考える必要があります。
実際にセミナー後の個別相談では、新築ワンルームマンションを購入された方からのご相談も多くいただいておりますので、今回は実際にいただいたご相談内容をもとに、新築ワンルームマンション経営の知識を深めるべく、メリットやリスクなどについて詳しく解説していきます。
【目次】
・新築ワンルームマンションは売却時の資産価値が急減
・価格のつけ方が異なる新築と中古のワンルームマンション
・家賃が2割下がっても収支がプラスになる物件を
・新築ワンルームマンションを長期ローンで購入する際のリスク
・投資額に対する借入金は投資額の40%以内が目安
・家賃の下落リスクを考慮した頭金を用意できることが条件
新築ワンルームマンションは売却時の資産価値が急減
結論から先に述べると、新築ワンルームマンションはメリットも沢山ありますが、リスクもしっかり把握しておかないと後々痛い目を見る可能性が高いです。
節税と生命保険の代わりに新築ワンルームマンションを購入して不動産投資を始められた方のケースでは、最初の数年は税金の還付を考えると毎年の収支は黒字だったので、節税効果も感じられ投資としては成功している状態でしたが、ここ最近では節税効果がなくなってしまい、毎月の収支は家賃収入から毎月のローンの返済や修繕積立金・管理費などの費用などを差し引くと2万程度の赤字が続いているそうです。毎月の持ち出しを考えると、売却した方がいいのではと考えて査定してもらった所、査定評価価格は購入時から400万円も下落、これでは売却したとしても残債を完済することはできず、結局は売却をあきらめて毎月の収支が黒字になるよう繰り上げ返済するしかない状況になっているとのことです。
価格のつけ方が異なる新築と中古のワンルームマンション
新築のワンルームマンションは、売却価格を決めるさいに原価法という方法を用います。
この原価法とは原価を積み上げていく方式なので、土地がいくら、建築費がいくら、販売利益がいくら、販売促進費がいくらと価格を一通り積み上げていくため、でき上がった物件のコストは市場価値と比較すると膨らんでいく傾向にあります。このように収支をベースに価格が決められていない所に問題が隠れているので要注意です。
また、「頭金0円フルローンでワンルームマンション投資ができます」という事業用のセールストークを繰り広げている会社が多いことから、特定の金融機関がどれだけ融資できるかという金額がそのまま価格に反映されているケースも発生しているように思えます。
新築のワンルームマンションを購入しているオーナー様は収支がよくて若干プラスか、人によっては毎月数千~数万円のローンを払いながら所有している方も多いのが実情ですが、
新築の状態で賃貸に出されたワンルームマンションは、新築プレミアムという家賃が一番高い状態で賃貸に出されているため、数年経ったあとには、家賃の下落が間違いなく起こることを計算しておかなければ、収支がマイナスになってしまうことがありますので注意が必要です。
家賃が2割下がっても収支がプラスになる物件を
一般的にワンルームマンションは、どんなに人気が高い立地の物件だとしても、年間1%ずつ賃料が下落していくと言われています。築3年~築10年までは年下落率は約2.2%ですので、この時点で購入していれば家賃の下落は数%以内に抑えられます。
築年数が10年~20年になると年下落率が約0.9%となり、20年以降は年下落率が約0.7%と家賃の下落が落ち着いていきます。
新築ワンルームマンションを購入すると、築年数が増えるに従って家賃の下落幅が大きくなって収益が悪化するので、家賃が2割下がった状態でも、収支が回るような運用が必要なのです。
新築ワンルームマンションを長期ローンで購入する際のリスク
不動産投資最大のリスクはローン(借金)です。もちろん、不動産投資をされる多くの方がローンを組まれますが、ローンでの失敗は、生活の破たんに繋がる可能性が高いと言っても過言ではありません。そのリスクレベルは、「空室が埋まらない」や「修繕費などのトラブル」などの予想外の出費があった場合をはるかに超えます。
バブル景気全盛期の不動産投資は、値上がりを目的としてローンを組んでマンションを購入し、価格が上昇した際に売却益を得るという投資手法が主流でしたが、その後、バブル崩壊による不動産価格の急落に伴い、手元に莫大な借金だけが残ったローン破綻者が続出したのです。
例えばある方は、都心の平成元年築のあるワンルームマンションを当時3800万円で購入されていましたが、現在では約1100万円程度の価格になっており、差額の2700万円が損失となってオーナー様の負担になっています。
また、意外にも忘れがちなのが、ローンを長期で組んだ場合、最初は新築ワンルームマンションであっても、ローンを払い終わる30年後に残るのは、築30年の中古ワンルームマンションになるということです。
もしローンの期間中、所有している部屋の近くに同じタイプのマンションが建ってしまったら家賃が下がることは免れません。
このように長期投資であるがゆえのリスクがあるのです。
投資額に対する借入金は投資額の40%以内が目安
新築のワンルームマンション経営で破綻しないために、投資額に対する借入金の目安は自身の投資金額の40%以内です。借入割合を40%に保つことができれば、たとえ金利が倍になったとしても家賃収入だけで、ローンを返済していくことが可能です。
例えば、1500万円(手取り家賃収入は1戸あたり7万円)のマンションを3戸購入したとします。そのうち、2戸のマンションは現金で購入。もう1戸のマンションは1,500万円分全額ローン(金利3%)を利用した場合。
3戸目のマンションを購入する際のローンは、3戸分の手取り家賃収入の合計21万円で返済します。すると、1500万円のローンは6年7カ月で完済することができます。この場合の総投資額に占める借入割合は、およそ33%です。
仮にローンの金利が3%~6%に上がったとしても、3戸目のローンは7年5カ月で完済できます。これが8%に上がったとしても、完済までの期間はわずか8年2カ月です。
すぐに金利が急上昇することは考えにくいですが、およそ40%が金利上昇に負けない借入割合になるのです。
このように借入金を40%以内に抑えようと思ったら、ある程度の原資が必要になりますのでサラリーマンがフルローンで始めるのはおすすめできません。
家賃の下落リスクを考慮した頭金を用意できることが条件
新築ワンルームマンションは、相続税対策や高額納税者が節税のメリットを受けること以外にメリットは少なく、一般のサラリーマンがメリットを受けるには2割ほど家賃が下がってもメリットある運用ができるように、頭金を最初に入れることができる方に限られるのが現状です。
新築で購入しても入居者が一度入れ替われば中古物件になります。新築の場合は相場よりも高い賃料を計算できますが、それ以降は中古の家賃相場に合わせないと入居者を確保することは容易ではありません。賃料を下げずに募集をしても、入居者が決まらなければ確実に利回りは低下してしまいます。
「家賃の下落というリスクにどう対処するのか?」を安易に考えて後悔されている方が多数いるのが現状です。この点を踏まえて新築ワンルームマンションの購入を考えておかないと将来後悔することになりかねませんので注意が必要です。