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間取り、構造別の不動産収益モデル

2016年10月31日 公開 / 2021年9月8日更新

テーマ:不動産投資コラム

コラムカテゴリ:住宅・建物

皆さんこんにちは。
和不動産の仲宗根です。
本日テーマは、【間取り、構造別の不動産収益モデル】についてです。

物件の間取りや構造によって異なる、投資成功への出口戦略

不動産投資によって収益を得る場合、さまざまな要素が関わりますが、とりわけ売却益を出す「出口戦略」と言うものは収益物件の種類により異なります。それに伴い不動産収益モデルも異なりますので注意が必要です。

投資対象をマンションに絞ると、その構造や間取りといった物件の特性により、購入時において留意すべきポイントが細分化されていきます。

効率良く売却益を得るために気をつけなければいけないポイントも、物件の特性に応じて異なります。
そのためこれらを考慮した不動産収益モデルを理解する必要があります。

投資用のマンションの間取りは主にワンルームとファミリータイプ、構造ではRC造・鉄骨造・木造という要素で区分されていきます。ここではまず、その区分の違いによる不動産収益モデルの差異を紹介していきます。

それぞれの区分の違いによって物件がどのような特性を持ち、また投資市場においてはどのような判断がなされるのか不動産収益モデルをあらかじめ知っておくことが、オーナー様を最終的な出口戦略で有利に運ぶことへとつながっていくのです。

投資用マンションの間取りは、どのように区別されるのか

家賃収入および売却による不動産収益を考えたとき、多くの場合においてその投資対象となるのは、いわゆる「戸建て」ではなく「マンション」となるのがほとんどでしょう。

一口に投資用マンションといっても、個々の物件が多種多様な特性を持ち、その特性は大きく「間取り」「構造」といった要素で区分されていきます。

投資用マンションを所有するにあたっては、まずはその要素によって不動産収入がどのような違いを生むのか、その不動産収益モデルを把握し、それぞれに期待できる収益のパターンが異なることを認識しておかなければなりません。

広さなどによって差異はあるにせよ、マンションは主に間取り(部屋数)によって1Kや1Rといった「ワンルームタイプ」と、それ以上の部屋数を持つ「ファミリータイプ」という2つに大別されます。この差異は、投資目的でマンションのオーナー様となる際にも、両者の不動産収益モデルを把握して、いかに効率良く収益を上げられるかの重要な判断材料ともなります。

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立地がワンルームマンションの利回りと売却益を左右する

では、ワンルームマンションの不動産収益モデルを確認しましょう。基本的にワンルームタイプのマンションは、入居者の入れ替わりが多いことを想定した物件です。そのため、自分が住むために購入する絶対数は少なく、購入者のほとんどが家賃収入を目当てとした不動産収益モデルであるといっても良いでしょう。投資家は、表面的な利回りを判断基準として購入を考えます。

そのため、物件売却という出口戦略から考えてみると、少しでも高い家賃を見込める物件こそが売却しやすい(=新たな買い手が見つかりやすい)物件、すなわちオーナー様にとっても効率良く収益を上げられる不動産収益モデルの物件であると考えられるのです。

ワンルームタイプのマンションの利回りを決める家賃の相場は、ほとんどが立地条件によって決まります。単純に、交通の便が良いなどの好条件によって、家賃を高く設定できるのです。つまり、将来的な売却を考慮すると、購入する時点で立地条件を厳密に判断することが、投資を成功に導くか否かの分岐点となるのです。立地条件の良い物件を購入できれば、出口戦略も成功に至るといっても過言ではありません。このような出口戦力について考慮した不動産収益モデルを構築する必要があります。

住宅ローン利用の有無で売りやすさが異なる

一方のファミリータイプは、出口戦略を考える上では、立地条件以外の点でもさまざまな条件を加味していく必要があります。

実際のところ、登記簿上の床面積が40平米以上の物件であれば住宅ローンを利用することができるため、売却時にも買い手がつきやすい傾向があります。従って投資物件として考えるときには、まず40平米以上の物件であることを必要最低条件であると考えましょう。

売却益を見込む、不動産投資における出口戦略を立てる際には、ファミリータイプのマンションではもう一つ気をつけなければいけない点があります。それは、入居者の存在です。不動産投資の不動産収益モデルにおいて入居者の存在を考慮することは最も大切なことの1つになります。

前述の通り、40平米以上の物件であれば住宅ローンを利用できるために、ファミリータイプのマンションを自宅用として購入する層(=実需層)への売却のしやすさが期待できます。
しかし、現時点で入居者がいる状態での物件の売買においては、住宅ローンを利用することができません。このような物件はオーナーチェンジ物件と呼ばれ、売却のしやすさというメリットが失われた状態になっていると言え、不動産収益モデルを十分に活用することができなくなります。

実需層の買い手になりにくいオーナーチェンジ物件は、必然的に投資家による売買が主となるのですが、資金力の乏しい投資家にとってはワンルームマンションほどのメリット(購入額が安い)がなく、逆に資金力のある投資家にとっては、より効率の良い一棟ものの不動産に目が向いてしまいます。

つまり、ファミリータイプのオーナーチェンジ物件は、多くの不動産投資家にとって中途半端な存在となってしまうのです。

しかしオーナーチェンジ物件は、その中途半端さゆえに、安価で取引されやすいという傾向もあります。効率の良い出口戦略をともなった不動産収益モデルを目論むのであれば、こうしたファミリータイプの物件を安価のうちに購入しておき、入居者がいなくなった時点でリフォームして売り出すという、実需層にとっても都合の良い戦略を組み立てることが可能なのです。

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RC造マンションの特徴

投資用となる物件の種類にはもう一つ、建物自体の「構造」による区分もあります。大きく分けると、RC造・鉄骨造・木造の3種類があります。それぞれの構造によって、出口戦略も大きく異なることを認識しておきましょう。

不動産投資を目的としたマンション売買においては、供給量の多いRC造が主な対象となります。
RC造とは、鉄筋コンクリートによる工法を用いた建物で、耐震性・耐火性に優れているという特徴を持ちます。

鉄筋コンクリートを主な素材としており非常に丈夫な構造であるため、法定耐用年数(税法上で規定された、利用に耐えうると考えられる年数の目安)が他の構造に比べて長いのが特徴です。木造が22年、鉄骨造が34年・27年・19年(素材によって異なる)のところ、RC造は47年と定められています。

不動産投資においては、この47年という長い年月をさらに細分化して、それぞれの年数に応じた出口戦略を講じることが不可欠となってきます。ここでは、47年を初期・中期・後期と三等分して考えてみることにします。

築浅の「初期」物件

RC造物件の新築から築16年程度の期間は、その耐用年数における「初期」と位置づけられます。当然のことながら、築年数が浅いほど物件価格は高くなります。さらに新築に近い物件であれば、売り出し時の広告宣伝費や人件費など、俗に「新築プレミアム」という付加価値が上乗せされることとなります。

しかし、この新築プレミアムの部分は、年数が経てば自然と薄れていきます。一般的には、築10〜20年までの間には消滅すると考えられています。不動産投資用として、この新築プレミアムが存在した状態で物件を購入したとしましょう。売却までには必然的にある程度の年数が経つこととなり、その間に新築プレミアムが消滅してしまいます。その分だけ、売却損が発生することになります。

具体的な数字を当てはめてみましょう。建築原価1000万円の物件に、新築プレミアム分として500万円分が上乗せされ、都合1500万円で購入したとします。この物件を築10年で売却するとき、付加価値であった新築プレミアム分が消滅していれば、その物件の価値は原価である1000万円まで資産価値が下がってしまうのです。

新築プレミアムを上回る資産価値の向上が確実視される物件においては、この限りではありません。また、その物件を自宅として利用する(オーナー様自身が住む)場合においては、新築プレミアム分を自身が享受できることとなり、実質的な損益は少ないと考えられます。

しかし単なる投資用として考えると、築年数の浅い「初期」のRC造物件は、利益を生み出すことが難しいと言わざるを得ません。

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不動産投資に適した「中期」物件の売却タイミング

築16〜32年程度の「中期」RC造物件は、どのような損益が想定されるのでしょうか。この時期の物件は、先述した新築プレミアムという付加価値がおおむね消滅した状態です。
逆に言えば、これ以降の物件価格の下落は、単純に建物そのものの経年変化によるものにのみ起因し、比較的ゆるやかに進む傾向にあります。

確かに「中期」の物件は相応の汚れや痛み、劣化が生じてしまうことが否めません。しかし、適材適所のリフォームを行うことで、新たな付加価値を加えることが可能になります。

「初期」物件に比べれば購入時の価格を抑えることができるので、その分をリフォーム費用に回し、新たな付加価値によって月々の家賃収入増を目指すことができます。つまり「中期」物件は、オーナー様の工夫によって利回りを高めやすい性質を持つと言えます。

このように家賃での高利回りを見込みながら物件を所有しておき、耐用年数がかさんできたら、さらなる老朽化による大規模修繕などのリスクを避けるのが得策です。

「後期」物件への投資には、気を遣う点が多くなる

築32年を経過した「後期」のRC造物件においては、法定耐用年数の限界が近づいてきており、その役割を終えるタイミングが迫ってきます。そのため、投資用として考える際にはさまざまな面での気づかいが必要となります。

「後期」物件を購入する際にはまず、当該物件の周辺にあるより築年数を経た物件が、どの程度の価値を保っているのかを確認しなければいけません。これは、近い将来における当該物件の価格の参考とするためです。相場よりも大きく値崩れしていなければ、当該物件の価値も下がりにくいと推測されるのです。

また、法定耐用年数の残りが少なくなってきているため、大きな出費を伴う大規模修繕や建替え計画の現状にも気を配っておく必要があります。

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状態によってタイミングを見極めるべき、木造・鉄骨造物件

ここまで見てきたRC造以外の鉄骨造および木造物件にも、それぞれに投資成功に至るための戦略があります。

木造の物件は耐用年数が22年とRC造に比べて短いため、投資用としても賞味期限が短い商品です。当然、耐用年数の限度が近づいてくると、買い手が付きにくくなってしまいます。従って売却益・家賃収入の双方を考慮し、築年数の浅い物件、可能であれば新築の状態で購入するのが原則となります。

仮に法定耐用年数の限度が近い、もしくは過ぎてしまっている物件を購入する際においては、更地に戻して売却しても収益を得られるかを見定める必要があります。

RC造と木造の中間な存在である鉄骨造は、その素材によって重量鉄骨造(34年)・中量鉄骨造(27年)・軽量鉄骨造(19年)と、さらに法定耐用年数が分けられます。

このうち、比較的耐用年数が長い重量鉄骨造および中量鉄骨造の物件は、RC造の「中期」にあたる築20年以内での売却を望むのが得策です。軽量鉄骨造においては、木造物件よりも耐用年数は短くなります。投資用として購入する際には、木造物件と同等の扱いで出口戦略を立てることがベターであると言えます。

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今回のコラムは、ここまでです。最後までお付き合い頂きましてありがとうございます。次回のコラムもお楽しみに!
和不動産 仲宗根和徳

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仲宗根和徳

アフターフォローで評判の不動産投資アドバイザー

仲宗根和徳(株式会社和不動産)

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