リフォーム会社への外注費用カットのコツと依頼する際の注意点
皆さんこんにちは。
和不動産の仲宗根です。
本日のテーマは、【金融機関が融資したくなる投資家になるには?】についてです。
金融機関から好まれる貸借対照表(B/S)と損益計算書(P/L
金融機関が融資をする際に最もチェックしたいものは、オーナー様の資産表(試算表)です。これは金融機関の調査での必須書類です。資産表は、資産、負債及び資本の財政状態を示す貸借対照表(B/S)と損益計算書(P/L)で構成されています。日々の取引記録の残高を、科目ごとに一定のルールに従って集計した表です。しかし、単純な計算表だと捉えてはいけません。
銀行にとっては何よりも着目している重要データなので、金融機関から信用を勝ち取り融資を借り入れるために魅力的な資産表を作成する必要があります。試算表が気に入られたら、銀行は投資に前向きになります。
今回は、金融機関から融資を借り入れる際に好まれる資産表づくりについて解説いたします。
貸借対照表(B/S)は金融機関が最も気にする重要書類
貸借対照表(B/S)と損益計算書(P/L)は、オーナー様にとっていわば成績表のようなものです。好条件で融資を借り入れするために、力を注いできっちり作成したいところです。そのための戦略的な方法について順を追って記述したいと思います。
まず貸借対照表(B/S)についてご説明します。貸借対照表は、一定の時点での資産と負債の状態を表しています。
左側に資金の運用形態である資産、右側にその調達源泉である負債と資本が記載されています。左右の合計金額が釣り合うような仕組みなので、「バランスシート=B/S」とも呼ばれています。この場合の資産とは、具体的な物や権利のことを指します。普通預金、定期預金、有価証券、持ち家等の不動産物件や投資用物件、自動車などの金額を時価で記述します。
資産には、流動資産、固定資産、繰延資産といった種類があります。流動資産というのは、1年以内に現金化されるものや回収予定の債権等を含みます。固定資産は、建物や土地といった有形の不動産、電話加入権や借地権といった無形固定資産、投資有価証券や長期貸付金といった投資等の3つがあります。
繰延資産とは、開発費や賃借物件を借りる際に支払った保証金など、将来的に支出の効果が表れる繰延額です。
右側には、借入金などの負債について記載します。負債には、流動負債と固定負債があります。流動負債は、1年以内に返済すべきものとされています。固定負債は、1年を超えても返済を継続するローン等の借金ということになります。不動産投資用ローン、自動車の返済ローン、カード会社からの借入金なども右側に書く負債です。長期の借入が多いので固定負債となると思われますがよく確認して記載してください。
借入金は貸借対照表日の翌日から起算して1年以内の支払いの期限になる債務が流動負債であり、それ以外の負債を固定負債と言います。短期借入より長期借入の方が、貸口が多いより少ない方が毎月の返済額が少なくなるので、資金繰りが良くなります。一般的には流動負債の比率が固定負債の比率より高くなるほど、1年以内に支払う負債が多いため財務の安定性が低くなります。一方で、流動負債より固定負債の比率が高くなれば、支払いがまだ先の負債が多い事になり、財務の安定性が高くなります。
これらの点をふまえて借入金に計上することも考慮しておく必要があります。
そしてラストに「総資産-負債=純資産」が算出され、貸借対照表の左右合計額は必ず一致する仕組みになっています。
貸借対照表を作成することは、金融機関からの評価のためにというのはもちろんですが、オーナー様のマネープランが計画通りになっているか、貯金は目標に達しているか、負債は多すぎないか…など財政状態を確認することができる指標にもなります。
自己資本比率を高めることで銀行からの信頼性も高まる
貸借対照表は決算日の時点での財政状態を表した計算書となるため、純資産の割合が多いほど金融機関からの評価も高くなります。貸借対照表は銀行が融資審査をする上で、最も重視すると言われています。どのように記帳すれば好まれるのか、解説していきましょう。
貸借対照表は、3カ月に一度、新しく更新することが大切です。3カ月ごとにマネープランを見直すことで資産の変化もわかります。金融機関も最新の情報を求めています。
どうすれば銀行から融資を受けるために好まれるような資産表になるのかについてですが、まずは「収益が多い」「純資産が多い」とアピールすることです。
アピールする方法ですが、投資家の経験によっても異なります。まだ経験が浅い不動産投資家は、できるだけ利益を多く残すようにすることです。経費をなるべく抑え、黒字を維持することをおすすめします。
また、すでにいくつかの物件を保有しているオーナー様は、純利益の高さという基本要素は同じですが、数字と共に内容にも注意が必要です。物件がいかに優良かどうかが鍵を握ります。物件事態の魅力を伝えるとベターですので、貸借対照表の中身を重視しましょう。
次に損益計算書(P/L)についてご説明します。損益計算書は、損失と収益の計算書で、1年間の支出と収入を示したものです。この場合の収入は家賃となり、それに対して支出は、保険料、管理費、固定死資産税、減価償却費などすべての必要経費が該当します。
収入から支出を差し引くと利益が出ます。損益計算書では損失を費用と呼びます。確定申告の際にも損益計算書を作りますが、日常の賃貸経営の状況を把握しておく必要があるので、毎月作成しましょう。利益の状態が良いほど金融機関には好印象です。
さて、その上で金融機関から好まれる資産表づくりのポイントを確認していきます。損益計算書は1年ごとにリセットされますが貸借対照表は継続して業績が反映されます。オーナー様のこれまでの実績を表すのが貸借対照表なのです。だからこそ、貸借対照表を戦略的に作成することが大切です。
どうすれば良いかというと、まずは、銀行評価額を高めることで、そのためには、自己資本比率をあげる必要があります。この比率がよければ、銀行格付けもよくなり、借入れも受けやすくなります。
自己資本比率は貸借対照表において、「総資産に占める純資産=自己資金」の割合を表します。返済不要の自己資本が全体の資本調達の何%あるかを示す数値として、以下の数式で算出できます。
自己資本比率=純資産÷総資産×100
数値が低いほど信用が得られません。自己資本比率を高めることが望まれます。そのためには、安全で上向きな経営をすることが大切です。一般に自己資本比率が40%以上なら倒産しにくい企業と言われています。銀行から融資を受けたいなら、20%以下にならないように注意しましょう。
有利子負債平均利率を下げよう
また、金融機関から信頼度を上げるためには、有利子負債平均利率を下げることも大切です。有利子負債は、利子を伴って返済しなければならない負債の合計のことです。
有利子負債平均利率は、決算時に1年間の支払利息を年度の始めと終わりの有利子負債額の平均で割って求めます。
資金調達金利を平均的に示す指標として、経済面での安全性を判断します。利子率が低いほど、経営破たんの可能性が低く信頼度が上がり評価されます。
有利子負債平均利率が高いと他の金融機関から高い金利で融資されており、他行からの評価が低いと見なされ「うちも融資はやめよう」という結果になってしまいます。これらを回避するためには、高い金利でローンを組まないことが先決ですが、すでに高い金利でローンを組んでしまっているなら、金利交渉をするなど策を講じる必要があります。あるいは、借り換えしてでも金利を低くすることが大切です。
意外と知らない方が多いのですが、金利はローンを組んだ後からでも交渉ができるのです。債務者であるこちらから銀行に、現状を報告したい、その他に相談事項もあると申し出れば、担当者はノーとは言えません。
ぜひ、1年に1度は銀行の担当者と交渉の時間を持ちましょう。この交渉での注意点は、下げてほしい金利の数値をはっきりと伝えること、自身の利点だけでなくお互いのメリットを考慮することです。たとえば、銀行で積立て預金キャンペーンなどをしているなら、ぜひ作りましょう。ギブ&テイクの精神こそスマートなビジネススタイルです。それを忘れないでください。
信頼を勝ち取るために、債務償還年数は10年が目安
そして次に重要な事は、債務償還年数についてです。債務償還年数とは、債務者の返済能力を判断する財務指標の一つです。有利子負債の返済にかかる年数を示す指標です。 金融機関側は、融資先となる企業の全額返済までの期間によってランク付けを行い、そのための調査を実施します。以下の数値で算出します。
債務償還年数=有利子負債÷経営利益
算出年数は10年を目安とし、大きく越えるようなら危険だとみなされてしまいます。債務償還年数を10年以内におさめるためには、以下の3点に気をつけましょう。
「借入金を減らすこと」「利益を増やすこと」「減価償却費を減らすこと」…です。
では、金融機関に好まれる資産表を作成するためのポイントをおさらいしましょう。
・ 自己資本比率を高める。
・ 有利子負債平均利率を下げる。
・ 債務償還年数は10年を目安とする。
以上の3つが肝となります。
これらを重点に資産表を作ることで「金融機関が融資したくなる不動産投資家」になれる可能性がぐっと高まります。融資が受けやすくなれば、不動産に関する優良情報も次々と入手できるようになり、物件を品定めしやすくなります。
したがって、賃貸経営までの道のりがスピーディになります。それに伴って、金融機関の判断材料のひとつであった「社会的特性」が向上し、理想の物件が見つかりやすくなるという良い循環が生まれます。そうなると、金融機関からの融資も難関ではなくスムーズなこととなるはずです。
不動産投資は闇雲に始めるのではなく、勉強し知識をたくわえた後、自分自身の属性を磨くことから始めます。
信頼性を高めるのは資産表という書類上だけでは、不十分です。書類も人間としても両方のブラッシュアップが大切でしょう。書類面も十分に改善され、社会人としての「社会的特性」もランクアップすることで金融機関の担当者との信頼関係も築けます。
そうすることで、初めて良い物件がみつかる、良い縁を引き寄せることができる、と考えています。
今回のコラムは、ここまでです。最後までお付き合い頂きましてありがとうございます。次回のコラムもお楽しみに!
和不動産 仲宗根和徳