人材採用は投資、失敗はコスト ~ ハーレー社労士の採用戦略
SNS全盛時代、企業の就職面接の様子が外部に筒抜けになることも珍しくありません。中には企業の面接官の意図とは異なった文脈で面接中のやりとりが拡散し、大手メディアにとり上げられるなど、いわゆる「炎上」するケースに発展することもあります。人材獲得競争が厳しくなる中で、企業のイメージ悪化は避けたいものであることから、今回は採用面接時によく見受けられる不適切な質問とその理由について、具体的事例で確認します。
【不適切な質問1】
「あなたの家庭はどんな雰囲気ですか」
「あなたのお父さんはどの会社に勤めていますか」
不適切な理由:応募者の適性・能力を中心とした選考を行うのではなく、本人の責任でない事柄で判断しようとしているとみなされます。
【不適切な質問2】
「あなたは、いまの社会をどう思いますか」
「尊敬する人物を言ってください。」
不適切な理由:憲法で保障されている個人の自由権に属することがらであり、それを採用選考の場で持ち出すことは、基本的人権の侵害にあたると判断されます。
【不適切な質問3】
「結婚、出産しても働き続けられますか」
不適切な理由:女性に限定しての質問は、男女雇用機会均等法の趣旨に違反する採用選考につながります。
面接時以外にも、採用内定後、応募者の自宅を見に行き、家業について質問した事例が労働局に報告されており、これに対して労働局が公正な採用選考についての啓発・指導を行っています。ポイントは、本人に責任のない事柄や本来自由であるべきものを採用条件とすることは、応募者の基本的人権を侵害するものだということです。たとえ面接官側が差別を意図していなくても、このような質問をしてはならないとされています。
過去には、当たり前のように面接の場でされていたような質問も、不適切だと判断される可能性があります。「いままでもそのように質問してきたから」「差別するつもりはないから」といった判断で、そのままにしておくことは不適切な質問に該当している危険性があります。自社の選考において問題はないか、今一度確認しましょう。そして、面接マニュアルのアップデートや面接官へのガイダンス・トレーニングの実施等を十分に行っておきたいところです。
※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。