小説『遠つ世の声』を刊行(電子書籍/Kindle)しました!
例年8月6日に言問学舎ホームページの塾長ブログに書き、転載させていただいている8月6日の記事を、7日になりましたが転載させていただきます。昨日は身内(同居家族ではありません)の緊急入院という事態が出来したため、6日中に転載できず申し訳ありません(もとの塾長ブログは6日にアップしました)。
「戦後80年」の報道になるべく目を通しているが、70年、60年の時にくらべて、報道の件数は少ないように感じられる(件数を精査したわけではない)。今日の広島の平和記念式典(広島市原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式)で読み上げられた、この1年間で新たに原爆死没者名簿に書き加えられた方の数は4,940人、これまでの総数は349,246人になったという。またこども代表の「平和への誓い」は、「いつかはおとずれる、被爆者のいない世界」という言葉からはじめられた。
「被爆者のいない世界」とは、核兵器が廃絶されて、今後(戦争で)被爆する人が一切出ない世界のことではあるまい。80年前に実際に被爆して、生き延びて来られ、原爆の実相を語りつづけて来て下さった、「原爆の被害を直接知る方々」が、お一人も残っていない世界のことを指すのだろう。現在いらっしゃる「被爆者」の平均年齢が86歳を超えたということだから、たしかにその日がいつかは訪れることを、考える必要は大きいのだと思う。
戦後80年という歳月を考えれば、「戦後80年」の報道が少ないと感じられるのも、やがて「被爆者のいない世界」が訪れることも、避けることのできない事実であるようにも思われる。しかし、いっぽうで決してわすれてはならないことがある。今日の広島市の式典のNHKの放送でもっとも心に刺さったのは、2021年に他界された坪井直さんの、次のお言葉である。
どんなことがあっても、ネバーギブアップ!
このお言葉とお心とを、私たちはずっと受け継いでいかねばならない。そして、ものごとをまっすぐ、正しく受けとめることのできる子どもたちに、80年前の広島と長崎で何があったかを、伝えつづけることが肝要である。今年の夏休みは、『つるにのって』を読書感想文に選んだ子が親御さんと折ってくれた鶴と、私自身が去年から折って来た鶴をあわせて、広島市へ送らせていただく。「原爆の子の像」に捧げていただけるということだから、佐々木禎子さんのお心にも、いくばくかはかなうものになるかも知れない。
また、毎年公開する「長崎の鐘・新しき」を、今年も8月3日からYouTubeで公開している。「微力ではあるが無力ではない」、平和を愛し守る意思をあらわす者のつとめとして、ひきつづきなしうることをなすのみである。
原爆の子の像
小田原漂情歌 長崎の鐘・新しき
令和7(2025)年8月6日
小田原漂情



