2023年都立高校入試/男女枠緩和2割の衝撃と小山台二次募集実施

小田原漂情

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テーマ:総合学習塾・言問学舎

 3月1日水曜日は、東京都立高校一般入試(一次・分割前期選抜)の合格発表日でした。長い間受験勉強をして来た受験生のみなさんと、支えて来られたご家族のみなさま、大変お疲れ様でした。

 言問学舎の最寄りの都立高校である向丘高校では、女子が121名の定員に対して143名の合格となり、男子は132名定員に対して111名合格という結果となりました。三田高校では女子の定員113名に対して141名合格(男子は定員124名に対して100名合格)と、さらに男女で定員との差が大きくなっています。1日発表の「令和5年度 都立高校 合格発表数」で確認すると、23区内の全日制普通科58校のうち26校で、女子の合格者が定員を10名以上上回っていました。女子の合格者が定員より20名以上多かった学校を列挙すると、豊多摩29、三田28、井草28、江戸川25、鷺宮25、桜町23、城東22、文京22、向丘22、日本橋22、竹早20、豊島20となっています。

 これは「男女間の調整」によるもので、ここ1、2年「都立高入試で女子が不利だ」というニュースが出ていたことをご記憶の方も多いと思いますが、そうした声を受け、都立高校では来年から男女別定員を廃止することが決まっています。そして「男女間の調整」は、2021年入試までは「男女枠緩和校」において10%を上限に行なわれていたのですが、2022年入試ではすべての高校で10%まで可能となり、今年はさらに上限が20%まで引き上げられたのです。

 そのため、男子・女子それぞれ得点上位から8割までは別々に合格者を決めますが、残りの合計2割については男女合わせて得点の高い人から合格者を選ぶ形になったことから、三田高校や向丘高校などで、20名以上女子の定員外の合格者が出る(男子の合格者が定員を下回る)結果となりました。特に向丘の男子は、1月に発表された校長会予備調査の段階では推薦を含む定員165名に対し志望者165名、ちょうど1.00倍で、2月9日発表の願書締め切り当初の倍率も1.23倍だったのですが、13日・14日の取り下げ・再提出で24名も志願者が増え、この時点で1.41倍に達していました。21日の受験本番では欠席者が17名いて169名の受験者でしたが、1日の合格発表では、合格者は定員を21名下回る111名で、実質倍率1.52倍という、きびしい結果となったのです。

 入試制度の過渡期にあたり、今回の向丘の男子のように大きな変化にさらされた受験生は、率直に言って気の毒だと思います。ただ、それは現在当事者である方だけでなく、かつては「女子が不利」とされる状況の中で涙を呑んだ女子の受験生もおりました。そしてもちろん一人、一人の受験生に即して考えれば、男/女と大きく分けるだけでなく、個人個人に大きな喜びと悲しみが存在するのです。

 今回残念な結果になってしまった方たちには、受けとめて、考えてほしいことがあります。まず、たとえば豊島高校など、2倍を超える高い倍率だった学校もありますし、その中で合格している人もいるのです。「勝負は時の運」だとは言いませんが、入試の合否は素質や努力の量だけで決まるものでもなければ、不合格となった場合でも、その人の人格が否定されているわけでもないのです。

 さらに、長い人生においては、一度の入試の成否よりも、もっとたくさん、そして大きな、成長の機会や勝負の時というものがあります。時間はかかるかも知れませんが結果を受け入れて、自分が進学する高校で、最善を尽くして下さい。勉強だけではありません。まずは新しい高校の新しい環境に慣れ、その中で楽しいことを見つけ、充実した高校生活を送ることを、考えて下さい。それができれば、3年後にはきっと大きな喜びに満ちた未来が、開けることでしょう。

 ところで、今日3月2日には、都立高校の二次・分割後期募集の人員が発表されました。その中で小山台高校が、1名の二次募集を出しています。進学指導重点校である小山台の二次募集ですから、都内全域から受験者が集まると予想されます。1名募集でも1名合格ということはなく、少なくとも2名は合格者を出すのではないかと思われますが、応募者数も、過去の青山や竹早の例から考えて、数十名から100名内外の人数にまで及ぶのではないかと考えられます。何としても都立!と考えてチャレンジする方たちには全力で頑張っていただきたいと思いますが、上位校の二次募集の過去の例を知る立場として、わずかな情報提供とさせていただきます。


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小田原漂情
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小田原漂情
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小田原漂情(学習塾塾長)

有限会社 言問学舎

自らが歌人・小説家です。小説、評論、詩歌、文法すべて、生徒が「わかる」指導をします。また「国語の楽しさ」を教えるプロです。みな国語が好きになります。歌集・小説等著書多数、詩の朗読も公開中です!

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