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今年の6月から、YouTubeを利用して「詩の朗読」をつづけて来ておりますが、前回の「犀川」(室生犀星)の中でも予告した通り、すこし趣向を変えて、室生犀星の散文をご紹介することとしました(犀星の小説作品ではありません)。
本日は、堀辰雄や三好達治、中原中也、立原道造らが拠った詩誌『四季』の第47号「立原道造追悼号」に、室生犀星が寄せた「立原道造を哭す」という追悼文です。立原道造は、犀星の家で子どもたちにも「わ!」と呼ばれて親しまれ、もちろん犀星にたいそうかわいがられていました(「わ!」については、動画の中で紹介しています)。
前回、前々回にご紹介した「犀川」や「小景異情 その二」は、『抒情小曲集』におさめられた犀星の青年期の作品で、感傷的と言っていいほど抒情性の高いものでしたが、立原道造が亡くなった昭和14年(1939年)には年齢も五十を超えた大家であり、夭折した立原を惜しむ気持ちが、犀星らしい語り口で、ほとばしるように表されています。
詩作品以外に、こうした文章からうかがい知ることのできる詩人の人間像というものは、といも興味深いものです。室生犀星は、そうしたものをも明らかに残してくれた詩人のひとりですから、もう少し、散文から犀星を追う試みを、つづけてみたいと思います。
なお動画中でも紹介しておりますが、朗読に使った詩誌『四季』の立原道造追悼号は、昭和50年代の後半(1980年代の前半)に買ったものですが、辻野久憲、中原中也、立原道造、萩原朔太郎の追悼号4冊をまとめて復刻した中の一冊です。すばらしい出版物を手にしておいて、本当によかったと思いますし、「本」のありがたみというものを、改めて深く心に刻みました。立原道造追悼号には、立原の若すぎる最晩年の恋人の追悼文も、載っています。
「立原道造を哭す」 室生犀星