「戦略」と「戦術」~とくに受験において

小田原漂情

小田原漂情

テーマ:総合学習塾・言問学舎

 「戦略」と「戦術」という言葉の違いを、ご存じの方も多いことと思います。言葉の性質上、それは「いくさ」に由来することでありますが、ものごとを判断する上で重要なことであり、また日頃よくお伝えしている受験のことでも、私自身が「受験戦略」という言葉を用いるばかりか、受験を控えているみなさまにとって深い意味を有することですので、少しお話ししたいと思います。

 まず、もともとの「言葉の意味」からお話しします。

 「戦略」とは、簡単に言って、一つの、あるいは関連する複数の「作戦」を実行する上で、それが味方にどんな効果をもたらし、そのためにどこまで投資や犠牲がゆるされるのかという、「全体的な見通し、立案」のことです。

 そして「戦術」とは、「戦略」に基づき、一つ一つの戦いをどのように「勝つ」のか、そのための方策のことです。この違いは、特に受験に際しては、本人ではなく、サポートをされる保護者の方に、押さえておいていただきたいことであります。

 すなわち、受験における「戦略」とは、受験生本人の将来のために、目前に迫った受験の「最終目標」(「第一志望」とは異なります)をどこに見すえ、そのために、どのような「受験の仕方(志望校選び)」をして、結果としての「合格」を勝ちとるのか、ということになります。

 より具体的なこととして、以下の2例を示します。

①将来東大を狙いたい。そのために都立日比谷高校を第一志望とする。

 この時、「戦略」の志すところは、「将来東大に合格する」ことです。日比谷高校に合格することは、(失礼ながら)第一目標ではありません。ではそのための戦術として、何が考えられるのか。

 ア.第一志望は日比谷として、併願先に、東大合格を望める私立高校を受験する。進学先が私立になることを、十分見込んでおく。

 イ.都立進学を最優先とし、戸山、青山など、合格の可能性の高い高校に確実に合格し、その中でトップをねらう。

②明確な将来の目標はまだ決まっていないが、四年制大学進学が大前提である。そのための
 高校に進学したい。

 ウ.三田、北園クラスを目標とする。近年高倍率の続く両校だけに、出願後の取り下げ・再提出も、視野に入れておく。

 エ.あくまで「三田・北園等の志望校」にチャレンジする。私立進学の経済的リスクに対しては、「特待」を併願優遇で取る。

 ①②はあくまで典型的な例であり、一人一人に固有の「目標」に対してどのような「戦略」を立て、それを実現するためにア~エその他の戦術を組み合わせることが、受験のプロとしてお子さんたちをあずかる「塾の力量」だと言えます。

 もちろん、「戦術」として最も大事なことは生徒の「学力を上げる」ことですが、その上でベストの受験戦略を立て、一つ一つの戦術を確実に成功させて行くことに、「受験を成功させる秘訣」があるのです。

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小田原漂情
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小田原漂情(学習塾塾長)

有限会社 言問学舎

自らが歌人・小説家です。小説、評論、詩歌、文法すべて、生徒が「わかる」指導をします。また「国語の楽しさ」を教えるプロです。みな国語が好きになります。歌集・小説等著書多数、詩の朗読も公開中です!

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