研鑽と進化を
北陸新幹線の金沢開業が、いよいよ近づいて来ました。鉄道をテーマもしくはモチーフとして小説や紀行文を書いているわたくしとしても、感無量です。自身が旅をした「信越本線」(金沢直通の代表列車『白山』)、そして「上越線」(同『はくたか』)の思い出もさることながら、このたびの北陸新幹線開業に17年と半年ほど先立つ「長野新幹線」開業の際、小説を執筆し(公刊したのは2000年3月)、ふかい思いを抱いているからです。
その関連のことどもをお話しする前に、「北陸新幹線」の名称について、わたくしが承知している範囲での、1997年長野開業当時の実情をお伝えしましょう。
1998年2月に、ジャンプ団体で金メダルを取るなど日本中が沸いた、長野オリンピックが開催されました。これに先立つ前年の1997年10月1日に、今回金沢まで延伸される北陸新幹線の、長野までの開業が果たされたのです。現在たびたび報道される通り、東京から長野‐富山‐金沢‐福井を経由して、やがて大阪へと至る、「北陸新幹線」の一部分の、先行開業としてのスタートです。
しかしその当時、今回の金沢延伸(開業)についても、その先行きは不透明なものでした。残念ながら今回廃止となる北越急行(ほくほく線)経由のスーパー特急※『はくたか』が、同じ年の3月に運行開始されたほどでしたから(北陸新幹線が開通すれば不要になることがわかっていながら)。
そして「長野」をめざす新幹線の「線名」は、当時さかんに議論されたのです(今回の最終決定に至る際の、「長野」側の主張のもとになる部分です)。かいつまんで言いますと、以下の2つの案について、地元の自治体の思惑を主として、激しい議論がたたかわされたようです。
Ⅰ.長野行の新幹線は、「長野新幹線」とするのがふさわしい。
Ⅱ.当初の計画通り「北陸新幹線」とするべきだ。
Ⅰ.に対する反対意見としては、「長野新幹線」では、「この新幹線は(山形新幹線、秋
田新幹線のように)長野止まりという印象を持たれてしまう。
Ⅱ.の場合は、「北陸新幹線」では、越後湯沢からほくほく線を経由して富山、金沢へ
速達している『はくたか』との誤乗(乗り間違い)を、東京口で起こすおそれがある、。
結局、当時は、東京口(東京駅・上野駅/大宮は未確認)では「長野“行”新幹線」(行の字を小さく)という表示をすることで、長野へ向かう新幹線の「名称問題」におさまりがつきました。そしてまた、長野側では、「長野新幹線」と表示されているのを、興味深く眺めた記憶がよみがえってきます。
※厳密には、「スーパー特急」は、新幹線の開発方式の一種類で、狭軌(1,067mm軌間)で160㎞運転をするものを指します。現在、実際に存在する線区はありません。ただ、北越急行経由の『はくたか』は、一部区間で160㎞運転を行なっています。
国語力に定評がある文京区の総合学習塾教師
小田原漂情
文京区の総合学習塾・言問学舎HP
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