平成26年都立高校入試の内容分析‐国語は「百人一首」関連が出題されました

小田原漂情

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テーマ:総合学習塾・言問学舎

 2月24日に実施された東京都立高校「前期」入学試験の内容について、直接受験指導を受け持ち、毎年解いてもいる国語・数学・社会の3教科の試験問題を解き終えましたので、気のついたところを何点かご報告致します。

 まず国語ですが、例年通りの出題形式の中で、大問五の「古典を引用した文章」において、百人一首に関する、歌人馬場あき子氏と水原紫苑氏の対談の文章が使用されました。印象的なのは、(馬場氏の言葉を受けて)「(水原)それが気持ちいいんですよ。その歌を声に出して音声として、女が自分のなかで反芻すると、ふうっと心地よい気持ちになってしまうと思うんです。」という水原さんの言葉です。

 これまでどちらかというと、「学者」的な立場の方の対談が主に使われて来た大問五で、こうした詩歌の実作者の感性あふれる表現が、設問(問2)にまで用いられたことは、注目に値すると思われます。きちんとした国語の勉強をしておくことが、都立高校の入試でも求められることが明確になり、そうした指導も見直されることが望めるからです。

 また「百人一首」自体、言問学舎の国語指導の一角に重要な位置を占めています。「かるた取り」としてだけ扱っているわけではありませんので、中学3年間を通い続けた受験生には、大きな力になったことと思います。

 なお、この大問五の出題歴を古文・漢文で分類すると、平成21年から、漢‐古‐古‐漢‐古‐古となりました。だからと言って来年必ず漢文になるわけではないことをお断りした上で、一応お伝えしておきます。

 数学では、入試当日にもお伝えした通り、2次方程式の「解の公式」、資料の散らばりと代表値(啓林館版教科書の章名)の中から「中間値」、作図で「回転移動」が出題されましたが、全体の難易度としては、これまでと比べて特に難しいということはないようです。5月ごろ公表される平均点が目立って下がる場合、全体の難易度というよりは「受験生の新課程への対応」の方に、原因があると思われます。

 社会についても、出題内容はオーソドックスなものでした。ただ、記述がやはり4問出題されたことと、選択肢の問題でも、「問題文の脈絡」を読みとることで正解が見つけられるタイプの問題が、増えています。もちろんそれだけではなく、例えば大問2の問3では資料や説明文をしっかり読みとった上で、「マラッカ」という地名から地図上の「マレーシア」を選ぶという、基礎的な知識も要求される問題が出ています。いずれにせよ、資料や文章を読みとる力をつけておくことが、1問ごとの配点が高い(5点)社会で失敗しないための、勉強のポイントです。

☆本日、都立高校の二次募集・分割後期募集の合格者の入学手続きが行なわれました。「手続き状況」の発表を待ち、明日、田園調布高校をはじめとする各高校の合格状況について、分析結果をお伝えする予定です。

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小田原漂情
専門家

小田原漂情(学習塾塾長)

有限会社 言問学舎

自らが歌人・小説家です。小説、評論、詩歌、文法すべて、生徒が「わかる」指導をします。また「国語の楽しさ」を教えるプロです。みな国語が好きになります。歌集・小説等著書多数、詩の朗読も公開中です!

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