9月の入塾は、特にこんな方たちに向いています!
平成24年度の都立高校全日制普通科全体の実質倍率は、1.42倍となりました。過去でもっとも、厳しい入試結果と言えるようです。とりわけ、1000点満点の「合格の目安」が700点以上の高校は、軒並み高倍率で、1.5倍超~2倍前後となった学校がほとんどでした。
さらに、その中での受験者層にも大きく変化がみられました。
平成21年の小石川、旧都立大附属の高校募集停止のほか、その前年の白鷗にはじまる併設型中高一貫校設置校の学級減のために、750点以上の高校の総定員は大きく減っています。年度による学級増減(対象年度の中学卒業予定者数を、都立高の総定員にある程度反映させます)でも、増えることがあるのは概ね700点未満の学校です。
加えてリーマンショック以降、昨春の大震災の影響でより深刻さの増した不況のために、都立志向、安全志向がはっきり強くなっています(このことは日比谷や西の当日欠席者が減少した点からも、みてとれます)。
したがって、830(自校作成)→800(共通問題)、800→770、750→720、700→660などのように、より手堅い受験校を選ぶ傾向が、強くなっているのです。
従来、我々が経験的に有しているデータでは、800点ラインでマイナス10~20点、750~700点ラインではマイナス20~30点、700~650点ラインでマイナス30~40点ていど、「目安」から下へ、実際のボーダーラインとの間の「幅」が存在しましたが(当然、学校・年度によって動くものです)、現在のような高倍率、かつ下ぶれ気味の受験傾向のもとにあっては、この「幅」はきわめて小さくなっているものとみる必要があります。すなわち、志望校の決め方、勉強の仕方も、それに合わせる必要があるということです。
合わせる、とはどういうことでしょう。従来の「目安」と実際のボーダーとの「幅」を見こんでの受験を、「チャレンジ型」とします。そして手堅く行く方向を「安全型」とする時に、去年、今年の中堅校~上位校の合格者は、「安全型」が多いと考えられるため、そのことを織り込んで、受験戦略、勉強の作戦を立てるということです。
では、「チャレンジ型」の受験は、やめた方が良いのでしょうか。その最終的な判断は、もちろん本人と家庭で、なすべきことです。けれども受験生を預かっている以上、ここで塾としての姿勢を問われることを、避けるわけには行きません。私の考えは(これは創業以来、終始一貫していることでもありますが)、あくまで本人の意思を尊重する、ということです。ただ、そのためには私立の併願対策はもちろん、場合によっては都立の分割後期も視野に入れて計画を立てますし、想定しうるすべての可能性を示し、本人(とご家庭)が十分納得した上で、チャレンジするのならチャレンジさせるということです。
そして、これが何よりも重要ですが、チャレンジ型であれ安全型であれ、基礎の勉強を怠って、現在の厳しい状況下で合格を勝ちとることはできないということです。都立共通問題の数学では、大問2に「みんなで考えた問題」のような、決まった形でなくちょっと頭を使って解く問題が出題されます。ここでは過去問にない形の問題が出るわけですから、様々なパターンの解き方を知っていて、それを柔軟に応用して解く力が求められるのですが(難問ではなく、基本のパターンを応用して使うものです)、これに対応する力は、3年1学期の因数分解や二次方程式の応用問題あたりでかなり、養われます。この時期の勉強をどこまで頑張れるかが、後で大きく影響するのです。
また社会では、年が明けてから地理や歴史の基礎事項の確認をしているようでは、高得点を取るのは難しいです。特にこれから一層、「問題を読み解く能力」が求められる方向に進むと考えられるので、最低限押さえておくべき基礎知識は、やはり夏休みには身につけなければなりません(基礎知識用の用語問題集の渡し方、目標設定を、年々前倒しして来ましたが、今年はさらに強化する予定です)。
教える側が変化に対応するのはもちろんですが、とかく勉強というものは、勉強する本人の意識がしっかり目標を見すえて集中していないと、当然やるべき、もしくはできて当然のことがらでも、なかなか身につきません。だから言問学舎として、中3受験生は国数社の3教科を、私が直に教えているのですが、受験生自身にも、意識を強く持つよう呼びかける(または誘導する)ことを、さらに工夫して進めて行くことを計画しています。追って今年の新機軸として、改めて発表する折りがあると思います。
塾というもの、当然、合格させるのが一番の仕事です。しかしながら、本人や家庭の意思を曲げさせてまで、安全策を取らせたり、逆に無理に上位校を狙わせたりしたことは、これまでに一度もありません。今後も断じて、しないつもりです。それは教育者のすることではないと考えますし、信念を曲げた教育者に、子どもを預かる資格はないと思うのです。
(本年度データについては、各社発表を参考としました。)
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