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”kamala IS brat" カマラこそ悪ガキだ
アメリカではZ世代が、次期大統領候補となった、カマラ・ハリス副大統領をSNS上で彼女を推していく流れが起きているとのこと。
そのキーセンテンスのひとつが、
”kamala IS brat"
(カマラこそブラットだ。)
若者に人気の英ポップ歌手チャーリーXCXがハリス副大統領に言及したこの言葉がネット上で拡散した。ハリス陣営もその流れを利用し、若い有権者にアピールしている。
bratとは、辞書によれば、「悪ガキ」「手に負えない、いまいましい子ども」
といった意味だ。
がしかし、それはもちろん、良い文脈で拡散しているのであり、カマラは、"a cool brat",いわば「かっこ良い悪ガキ」というニュアンスになる。
もう少し解釈を深めていこう。
デジタル・コミュニケーションが投票率に与える影響を研究している、米ノースイースタン大学のキャサリン・ヘンシェン教授は、BBCの取材で以下のように説明する。
Ms Haenschen said the term refers to women of contradictions who "can kind of choose their own path and they can kind of set their own agenda".
ヘンシェン教授によれば、「brat」とは、「自分の道を自分で選べたりする、自分の課題を自分で設定できたりする」、矛盾を抱えた女性を指すのだという。
自己決定ができる女性がなぜ「矛盾」を抱えるのか。
確かにこの不確実な時代に、自分らしくあろうとするだけ、矛盾を抱えることになるのかもしれない。
その謎は、元々このbratという言葉を広げたチャーリーがTic Tokでbratの意味を述べている下記のコメントで、更にリアルに見えて来る。
“You are just that girl who is a little messy and maybe says dumb things sometimes, who feels herself but then also maybe has a breakdown but parties through it. It is honest, blunt and a little bit volatile. That’s Brat.”
“少し面倒ではしゃぐのが好きな(パーティーが好きな)、時々くだらないことを言う女の子みたいな。自分の感情に正直だけど、ちょっと壊れたところもあるかもしれない。でも本当に率直で正直で、まるでそれを通してパーティをしている様な、ちょっと気まぐれな女の子。つまり【バカなことをする】。でもそれがブラット、悪ガキよ。”
この下りを読み、私は、腹落ちした。
まさに、bratな女の子の生きた事例が身近にいるからだ。
それは、中3からずっとカナダに留学、現在カナダの大学2年の娘である。
長期休暇で帰国し、短期のバイトを繰り返したり、アプリで知り合った男の子たちとデートしている彼女の口癖は、
Don't judge me!
(私を決めつけるな!)
である。
「パパとママだけじゃなく、バイト先の店長から男の子まで、とにかく日本人は、“きみは、こうだね。ああだね。こういう人だね。”と決めつけたがるけど、一から十まで私は私なんだよ!」
と何かと啖呵を切る。
「ほら、お互いある程度カテゴライズした方が、付き合いやすいっていうこもあるでしょ。特に日本の社会はそういうところあるから、慣れないとね。」
と諭すも、聞く耳を持たない。
自分は自分、まあ、それがうまくいけば良いのだが、何しろまだ若いし、経験が足りない。
そして、こういう人ほど不器用だったりするので、自分のやろうとすることがなかなかうまく行かず、度々しくじるのだ。
すると、
My life is shiiiiiiit!
(私の人生はクソだ~~~!!)
と叫んだりするので、本当に、チャーリーの言うように、壊れてしまいそうで、大丈夫かな?と思うのだが、大好きなホラー映画(それもかなりグロイ)などを1日みまくったりするとケロッとしてまた、自分のペースに戻ったりする。
こうした女の子が側にいると確かにmessy(やっかい)ではある。
だが、抱え込んだ自己撞着にもがきながらも、自分自身であろうとするその姿を見ていると、不思議と憎めないし、放っておけないのだ。
「親の欲目かねぇ。」
と私がつぶやくと、20代の頃、ニューヨークで知り合った夫が言った。
「おまえの若い頃にそっくりだぜ。血は争えねえなぁ。」
その言葉で、思い出した。
無茶も馬鹿もし、人に迷惑をかけまくりながら、無様にも地を這うように自分探しをしていた、あの頃の自分を。
(Sure! I was also definitely brat.)
しかし、だからこそ今があるのだと、改めて思う。
だからこそ、今は、messyな娘にも、いつかOKな日々が来ると信じたい。
だからこそ、カマラ・ハリスも、もしかしたら、米国史上初の女性でアジア系の大統領になることも、不可能ではないかもしれないと信じたい。
bratの意味をリアルに把握したところで、スティーブジョブスの名言を借りてこのコラムを締めくくり、娘とハリスにエールを送りたい。
Stay stupid. (馬鹿であれ。)
Stay brat.(悪ガキであれ。)