マンション管理組合の合意形成に必要な「論理プラス感情」
マンション管理組合の事業で植栽保守業者の比較検討を実施
先日、当社(メルすみごこち事務所)が顧問契約させて頂いている横浜市の大規模マンション「ライオンズマンションセントワーフ横濱」管理組合で、理事会のワーキンググループの皆さんとともに「植栽業者のヒアリング」を行いました。
※植栽業者の提案見積募集のお知らせ!はこちら
現行の植栽保守業者を含めて3社で、提案力の比較コンペをご提案したものです。
マンション植栽の改良を検討するに至った経緯
こちらのマンションは、前面道路からエントランス棟(館内入口)までの40m位の通路と、館内中庭(建物に囲まれてオートロックの内側のスペース)、そして敷地周りの大きく3つのエリアに植栽が配置されていて、全体的に他のマンションと比べて植栽の生育は良好で、樹木の数はかなり多い状況です。
植栽業者は、新築時からしばらくの間、管理会社から紹介を受けた造園業者に委託していましたが、4年前に現在の造園業者へ変更し、今日に至っています。日常の保守は良好で、特に毎週~隔週で作業員が巡回点検・軽作業に来るシステムのおかげで、他の多くのマンションのような「樹木がどんどん劣化している」「生育が悪い」「荒れていく」というクレームはほとんどありません。
一方で、館内中庭部分は、新築時には芝生が生えた公園のようなイメージだったのが、元気いっぱいの子供が遊んで踏みつけたり(仕方のないことですね)、そもそも日当たりが良くない環境であったため、ほとんど剥げてしまい、樹木の根っこが土から露出して足を引っ掛けそうになったり、芝生が根付かないので土砂が流れてしまい、益々ひどい状態になってしまいました。
このような状態のなか、500戸近くの大規模マンションゆえに、中庭のあり方については居住者のなかで「子供の遊び場にしたい」「大人の憩いの場に」「賑やかな場所に」「静かなスペースに」と考え方はさまざまで、理事の中でもさまざまな意見がぶつかりあいました。
そして足掛け2年、2期の理事会活動を通じて、中庭のあり方を「子供(幼稚園~小学生)が安心して遊べる場所」と定義付けして、具体的な改善の検討に入りました。
理事の任期を2年にして半数改選にしたことや、新旧理事会の入れ替わり時の工夫などで、理事会が少しずつ一体となっていることが、このような植栽のあり方の継続的な議論へと結びつきました。
まだ築10年強で、子供が多いマンションです。まずは子供にとっての場を提供しようと。
その代わり、エントランス棟を含めた館内は静かにしてもらおうと。
そして将来、居住者の年齢層の移ろいをみながら、時代に合わせた改良をしようと。
欲しかったのは植栽保守に加え「改良の提案力と実現性」
上記のような経緯から、植栽業者に求めたのは、改良(庭のリノベーション)に関する「提案力」と「実現性(具体性)」でした。
ただ剪定するだけの保守費の見積なら、単に『伸びたら切る』10分1,000円の床屋(私の髪の毛)と同じ扱いで良いかもしれません。価格勝負になリがちです。
そうでなくて、植栽を「居住者の住み心地とマンションの資産価値(私は敢えて『不動産価値』と言っています)を高めるための重要なツール」として捉え、現状維持ではなく改善・改良の要素の強い提案を求めました。
5年後、10年後にどんな庭になるの?
どう心地良くなるの?快適になるの?
資産価値があがるの?
今回ワーキンググループの皆さんが選んだ植栽業者は、改良提案が最も明確で、具体性がありました。
さらに加えて、居住者間のコミュニティ活動を『植栽=彼らの本業』を通じて提供する、というスタンスやその内容も、メンバーの皆さんには好評でした。
今後、理事会で植栽業者の変更と予算の内定を得、総会で住民の皆さんの承認を得て、本格的なカイゼン活動がスタートすることになります。
管理会社が間に入るとムリ!植栽改良
はっきり言って、植栽保守に管理会社が何らか関与すると、植栽のカイゼン・改良はまずムリです。
今回の各社のような未来志向の提案を管理組合へ届けることはほとんど不可能です。
なぜなら、管理会社はコンサルではないからです。
管理会社は日々のマンションを守るのがそもそもの本分であり、未来に向けて逆算して考えるということは業務に含まれていません。私だって、管理会社時代(特に2社目の小規模管理会社時代)は、日々に追われてそんな長期的な視点に立つなど、とてもできませんでした。マンションの将来を考えるというマインドが育ちにくいのも、管理会社の現状ではないでしょうか?(マンション管理士もマインドは似たり寄ったりかも、、、)
ムダなお金は削減して節約し、必要なものに投資する。短期ではなく長期で捉える、という経営的な発想は、どうしても管理会社には育ちにくいです。いや、理事が単年度制で全員が入れ替わるような継続性に乏しい多くのマンション管理組合の側にも同じことが言えます。
しかも多くの管理会社は、専門業者の保守費から中間マージンを取るか、管理組合と植栽業者との直接契約を提案しつつ、植栽業者にキックバックを求めます。お金をかけて緑を良くしなければならないのに、ムダなお金がかかってしまい、緑のことを詳しく知らない管理組合(区分所有者)から「植栽費、高くない?」「緑いらなくない?」と厄介者扱いされることもあるくらいです。
植栽カイゼンには管理会社を関与させないくらいがちょうど良い、と思うのは私だけでしょうか。
管理会社でもカイゼン提案できないのか?に挑戦する
管理組合が、マンション「そのもの」を長期的にみてどうする?と考えることができると、植栽も「単年」ではなく「長期的」な視点で、どうする?と考えられるようになります。
植栽が住み心地や不動産価値に与えるインパクトは絶大です。
とは言え、、、一つのマンション管理コンサルタントとして個別のマンションへ啓蒙し、カイゼンを促していくにも限界があります。
で、コンサル的な機能とマインドを持った管理会社を創ったほうが早いのではないか?とクローバーコミュニティを立ち上げたわけです。
が、植栽カイゼンのような取り組みを管理組合へ提案してゆくには、フロント担当者へのマインドの注入と「あまり忙しくなりすぎないこと」または「提案者をフロント担当者とは別のスタッフにする」と分けて考えるか、、、言うだけ言って提案ないやんけ!と言われないように頑張らねば。
提案力を持つ管理会社(目指し中!)クローバーコミュニティ