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AIは魔法ではない。間違いとどう付き合うか【経営者にとって「今さら聞けない」AIの話5】

橋本貢

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テーマ:経営者にとって「今さら聞けない」AIの話


ここまでの連載で、

・AIとは何か
・何ができて、何ができないのか
・なぜ経営者自身が使うべきなのか

について整理してきました。

今回は、その前提を踏まえた上で、「AIの限界と、どう付き合うべきか」

というテーマに踏み込みます。

■ AIは“平然と間違える”


まず、最も重要な前提からお伝えします。

AIは、間違えます。
しかも、かなり自然に、もっともらしく間違えます。

たとえば、ChatGPTの回答は、一見すると非常に整っています。

文章は流暢で、論理も通っているように見えます。
そのため、「正しそうだ」と感じてしまいます。

しかし実際には、

・存在しない情報をそれらしく語る
・事実と異なる内容を断定する
・前提がずれたまま話を展開する

といったことが、普通に起こります。

これはバグではありません。

仕組み上、当然のことです。

■ なぜ間違えるのか


前回まででも触れてきましたが、AIは「正しい答えを出すための仕組み」ではありません。

「それらしい答えを出すための仕組み」です。

膨大なデータをもとに、「この文脈なら、この答えが続く確率が高い」という予測を繰り返しています。

つまり、“真実かどうか”ではなく、“自然に見えるかどうか”で出力されているのです。

この違いは、極めて重要です。

■ 「使えない」と感じるか、「危険だ」と感じるか


AIのこの特性に触れたとき、多くの人は次のどちらかに振れます。

「こんなに間違えるなら使えない」
「便利だからそのまま使ってしまう」

しかし、どちらも極端です。

前者は機会損失です。
後者はリスクです。

重要なのは、「間違える前提で使う」というスタンスです。

■ 人間も同じように間違えている


ここで一つ、視点を変えてみます。

AIが間違えることに対して、私たちは敏感になります。
しかし、人間はどうでしょうか。

・思い込みで判断する
・過去の経験に引きずられる
・都合のよい情報だけを拾う

こうした誤りは、日常的に起きています。

むしろ、AIの特徴は、「間違いが表に出る」という点です。

人間の思考はブラックボックスですが、AIは出力として可視化されます。

つまり、“扱い方が明確になる分、対処しやすい”とも言えます。

■ 経営者としての正しい距離感


では、どう付き合えばよいのか。

ポイントはシンプルです。

「最終判断は絶対に委ねない」

これが大前提です。

その上で、

・アイデア出し
・論点整理
・下書き作成
・仮説の列挙

といった、「思考の素材」を得る用途に使います。

そして、

・事実確認をする
・自分の判断基準で精査する
・必要に応じて修正する

というプロセスを必ず挟む。

この使い方であれば、AIは極めて有効なツールになります。

■ “間違い”を活かすという発想


さらに一歩踏み込むと、AIの間違いは「価値」にもなります。

なぜなら、

・自分の理解が曖昧な部分が見える
・前提のズレに気づく
・説明の不足が浮き彫りになる

といった形で、“思考の穴”が可視化されるからです。

これは、人間同士の会話ではなかなか起きません。

ある意味でAIは、「遠慮のない壁打ち相手」として機能します。

■ リスクは“使わないこと”にもある


ここまで読んでいただくと、「やはり扱いが難しい」と感じるかもしれません。

しかし、ここで考えるべきはもう一つのリスクです。

それは、「使わないことによるリスク」です。

AIを使う企業は、

・試行回数を増やし
・意思決定を早め
・アウトプットの量を増やしています

一方で使わない場合、この差はそのまま蓄積されていきます。

つまり、リスクは「使うこと」にだけあるのではなく、「使わないこと」にも存在するということです。

■ 魔法ではないが、無視できない存在


AIは魔法ではありません。

万能でもなければ、完全でもありません。

しかし同時に、無視できる存在でもなくなっています。

重要なのは、

・過信しない
・過小評価しない
・正しく距離を取る

この3点です。

■ 次回に向けて


ここまでで、「AIの限界と付き合い方」については整理できたかと思います。

次回は、「経営者の仕事はAIでどこまで置き換わるのか」というテーマに進みます。

不安と期待が入り混じるこの論点を、現実的な視点で整理していきます。

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橋本貢
専門家

橋本貢(経営コンサルタント)

しずおか経営サポート

表面的な課題ではなく、売上・組織・戦略の根本構造を見極め、本質的な打ち手を実行まで伴走支援します。経営者の意思決定に寄り添い、成果に直結する改善を行います。

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