シリーズ「正解のない時代にキャリアを創造する」【第2回】AI時代にキャリアを考え続ける理由

前回は、仕事選びの第一歩として、「仕事の地図を広げること」についてお話ししました。
その中で、
> 人は、知らないことに興味を持てない。
> 人は、知らない職業には就けない。
というお話をしています。
つまり仕事選びに困っているなら、まずは世の中にどんな仕事があるのかを知ることが大切になると言うことです。
でも、それだけではありません。
仕事を知ったら、併せて「自分を知ること」も必要になります。
「自分に向いている仕事」は分かりますか?
「自分には何が向いているんだろう?」
そう聞かれて、すぐに答えられる人はどれくらいいるでしょうか。
「好きなことは?」
「得意なことは?」
「仕事で大切にしたいことは?」
と聞かれても、意外と答えるのは難しいものです。
そんなときに役立つのが、厚生労働省の「job tag(ジョブタグ)」にある自己診断ツールです。
job tagで自分について考えてみる
job tagには、職業を調べるだけでなく、自分について考えるためのツールもあります。
例えば、
職業興味検査
どんな活動や仕事に興味を持ちやすいのかを考えるためのものです。
仕事価値観検査
仕事をするうえで、自分が何を大切にしたいのかを考えるきっかけになります。
職業適性テスト(Gテスト)
職業に関連する基礎的な能力について測定し、自分の得意・不得意を考える材料になります。
ポータブルスキル見える化ツール
これまでの仕事の経験を振り返り、業界や職場が変わっても活用できるスキルについて考えることができます。
こうしたツールを使うと、自分では気づいていなかったことに気づくきっかけになるかもしれません。
でも、診断結果が「答え」ではありません
ここは、とても大切なところです。
自己診断をすると、
「あなたに向いている仕事は○○です」
という答えを期待してしまうかもしれません。
でも、診断結果をそのまま「自分の適職」と考える必要はありません。
例えば、
「この結果は自分でも納得できる」
「これは意外だった」
「なぜ、この結果になったのだろう?」
と考えてみる。
つまり、診断を自分を知るための会話のきっかけとして使ってみるのです。
特に職業興味診断では具体的な職業名が列挙されますが、これらはあなたが興味のある仕事として挙げられたものであり、適正とは全く無関係であることに注意しましょう。
「仕事を知る」と「自分を知る」
前回紹介したjob tagの「イメージ検索(地図)」で、気になる仕事を見つけたとします。
その仕事について調べてみる。
すると、
「人と話すことが多い仕事なんだ」
「自分が大切にしたいことと近いかもしれない」
「思っていた仕事とは少し違うな」
など、いろいろな発見があるでしょう。
そこから、また自分について考えてみる。
そして、別の仕事を調べてみる。
このように、
仕事を知る → 自分を知る → また仕事を知る
と行ったり来たりしながら考えていけばいいのです。
自分を一つのタイプに決めなくてもいい
もう一つ大切なのは、診断結果をもとに、
「自分はこういう人間だ」
と決めつけないことです。
人の興味や価値観は、経験によって変わることがあります。
仕事を経験することで、新しい得意分野に気づくこともあります。
だから、「今の自分」を知ることはできても、それが「これからの自分」を決めるわけではありません。
自己理解は、自分の可能性を狭くするためではなく、**自分の可能性を広げるため**にも使えるのです。
そして、次に考えたいこと
ここまで考えると、
「仕事を知る」
「自分を知る」
という二つの視点が見えてきます。
では、その先には何があるのでしょうか。
「自分を知ったら、自分に一番合う仕事を探せばいい」
と思うかもしれません。
でも、私は必ずしもそう考えていません。
「自分にとって唯一の適職」を探し出す必要はない
と思っています。
無数にある職業の中から、唯一の適職を探すことよりも、自分ができることを増やす。
経験を積む。
今いる仕事の中で、自分の好きなことや得意なことをどう生かすか考える。
そんな方法もあります。
次回は、この「適職を一つ探さなくてもいい」という考え方について、もう少し考えてみたいと思います。
仕事選びは、答えを探すことだけではありません。
自分と仕事との関係を、少しずつつくっていくこと。
そんな見方をすると、仕事選びの景色も少し変わってくるかもしれません。


