内省習慣化のすすめ― 朝日新聞「耕論」から考えるアイデンティティの話 ―

「好き嫌いを言ってはいけない。」
私たちは子どもの頃から、そんなことを教えられてきました。
- 好き嫌いせずに食べなさい。
- わがままを言ってはいけません。
- 自分の好きなことばかり選んではいけません。
そのため、「好き嫌い」という言葉には、どこかネガティブな印象があるのではないでしょうか。
もちろん、仕事は責任を伴います。
社会人として働く以上、自分の好きなことだけをしていれば良いわけではありません。
しかし、キャリアコンサルタントとして多くの働く人の相談に関わる中で感じることがあります。
それは、自分の「好き嫌い」をまったく意識せずに働き続けることも、苦しさにつながる場合があるということです。
条件は悪くない。でも、何か違う
相談に来られる方の中には、決して恵まれていないわけではない人もいます。
給与にも大きな不満はない。
職場の人間関係も悪くない。
仕事もそれなりに評価されている。
それでも、「このままで良いのだろうか」と悩んでいます。
話をじっくり聴いていくと、自分が何を大切にしたいのか、どんな仕事にやりがいを感じるのかが、少しずつ見えてくることがあります。
「人と関わる仕事が好きだった。」
「新しいことを考える時間が楽しかった。」
「誰かの成長を支えることに喜びを感じていた。」
そんな気づきが、その後のキャリアを考える大切な手がかりになることは少なくありません。
好きなことだけでは働けない。でも…
もちろん、「好きなことだけを仕事にしましょう」という話ではありません。
現実には、組織の役割もありますし、その役割を果たすからこそ、生活のために収入を得ることができます。
一方で、条件や評価だけを基準に働き続けると、自分自身が置き去りになってしまうこともあります。
大切なのは、「好きなことだけ」でも、「我慢だけ」でもないということ。
仕事の中で、自分の好きなことや大切にしたいことが少しでも発揮できる場面があると、人は前向きに働きやすくなるのではないでしょうか。
あなたの「好き」は何ですか?
私たちは、「良い会社」や「良い仕事」について考える機会はあっても、「自分は何が好きなのか」を考える機会は意外と少ないものです。
だからこそ、一度立ち止まって自分に問いかけてみてください。
「私は、どんな仕事をしているときに夢中になれるのだろう。」
その答えは、すぐには見つからないかもしれません。
しかし、その問いを持つことが、自分らしいキャリアを考える第一歩になるはずです。
私はキャリアコンサルタントとして、働く人一人ひとりが自分らしい働き方を見つけられるよう、日々支援を続けています。
次回は、「人には好き嫌いというコンパスがある」というテーマで、仕事選びやキャリア形成において、自分らしさを支える「好き嫌い」の役割について考えてみたいと思います。
本コラムの内容について、さらに詳しく知りたい方は、弊社ウェブサイトをご覧ください。


