犬の椎間板ヘルニアに鍼灸という選択肢があります
【前庭疾患ってどんな病気?】
今日は、我が家のおっさん犬が前庭疾患になったときのお話です。
前庭疾患とは、内耳にある平衡感覚を司る部位に何らかの障害が起きて、平衡を保てなくなる病気です。
犬の場合は「特発性」と言われるように原因不明で突然起きることが多く、ほとんどは2週間ぐらいで症状が消えますがその後斜頚や難聴、傾いたまま歩くという後遺症が残ることもあります。
シニアのワンちゃんにはよくある症状で、一度なると再発する子も多く、「もう慣れっこ」という飼い主さんもおられるかもしれません。
鍼灸の患者さんにも多いので、私も症状や後遺症については知っていたのですが、今回、うちの犬の発症でいくつか気づいたことをシェアしたいと思います。
【前庭疾患 覚え書き】
1.発作が起きても慌てない
初日は私が家に帰ったのが遅かったので、最初に症状を見た家人はかなりびっくりしたようです。
吐いて足腰が立たなくなったのを見て「何か変なものを食べたようだ」と思ったそうです。
てんかんもそうですが、初めて見たときはどうしようかと焦りますよね。
まずは落ち着いて、発作で怪我などをしないように周囲に目を配ったり、吐いたものが気道に入らないよう姿勢に気を配ることが大切です。
2.初動検査の必要性
うちの主治医は症状を見てすぐに前庭疾患と診断し、それ以上の検査をしませんでした。
でも、嘔吐症状が出る疾患は他にもあるし、前庭疾患の原因自体が不明なことが多いので念のために血液検査はしてもらうべきだと思います。
今回、うちの犬は一週間近く経っても食欲が回復せず、多飲・多尿が見られたので血液検査をしてもらい、高カルシウム血症がわかりました。
3.ホルモン系の検査の必要性
高カルシウム血症とわかった時点で、次はその原因を探る必要がありますが、まずは内分泌系(甲状腺や上皮小体など)の異常を考えてホルモンの検査はすべきだと思います。
多くの動物病院では甲状腺ホルモン等は院内で検査してもらえず、外注でしてもらうことになりますが、遠慮なく主治医に相談した方がいいと思います。
4.ステロイドはやはり必須
前庭疾患は原因がわからないことが多く、内耳の炎症の可能性もあります。
そこで最初にステロイドを投与して様子を見る…というのはよくある対処法です。
今回、うちの犬の場合は最初にステロイド投与はなく、高カルシウムがわかった時点での投与になりましたが、効果は劇的でした。
ステロイドは強い薬なので、基本的には長期に渡って使用するものではありません。
でも、最初に症状を叩く効果はかなり高いので、必要なときには使ってもらう方がいいと思います。
動物病院の先生にも飼い主さんにもステロイドの使用を嫌がる方がおられるようですが、使うべきときに使うことで症状が軽減され、本犬が楽になるなら、使うべきだと思います。
5.鍼灸の効果
鍼灸治療には神経伝達を促したり、自律神経を整えるという効果があります。
今回、我が家の犬には当日からローラー鍼やてい鍼を使ってみました。
(鍼を刺すのをすごく嫌がるので…)
その効果なのかはわかりませんが、眼振やふらつきなどの前庭症状は割りと早くなくなりました。
家庭でできるとすれば、やはりローラー鍼で気の流れをよくするのと、集毛鍼のようにチクチクで少し強い刺激を与えるというのも効果があると思います。
6.まとめ
初動の検査と対処はとても大切なので、動物病院を選ぶのもそこをきちんとケアしてくれるところがいいですね。
もしかかりつけの先生が患者さんに遠慮して検査をあまりしないタイプの場合は、遠慮せずに言ってみてもいいと思います。
(毎回血液検査ばかりしてその結果に一喜一憂する必要はないですけどね)
それと、やはり家庭でできる鍼灸の手技を知っていると、とても役に立つということを実感しました。
前庭疾患は命に関わるような恐ろしい病気というわけではありませんが、やはり少しでも症状を軽くしてあげたいですよね。
そのために日頃からの飼い主さんの観察やケアは大きくものを言うと思います。
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