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金子稔

薪ストーブ住宅コンサルタント

金子稔(かねこみのる) / 建築家

エンフリー

コラム

重い煙突、軽い煙突

2012年10月11日 公開 / 2020年11月10日更新

テーマ:煙突の話

コラムカテゴリ:住宅・建物

二重断熱煙突のお話を少々します。

薪ストーブ用の二重断熱煙突を大きく分けると2種類になります。

① 断熱性能がもの凄く良い重い煙突

② 断熱性能が良い軽い煙突

価格は①の煙突の方が少し高くなります。

①を選びたくなりましたか?

薪ストーブショップで、『うちは、この重たい煙突で施工してます!』

なんて聞かされると、『重たい煙突の方でないとダメなのかなぁ~』って思っちゃいますよね。

結論から言えば、どちらでも構いません。

ただ、少し能書きを言わせていただければ・・・

①の煙突は断熱材がシリカパウダーを主成分としているのに対して、②の煙突はスーパーウールです。

①は粉末状の断熱材であるので、重量があります。その替わりに断熱性能は高いです。

②はグラスウールみたいな少し弾力のある素材ですので軽量となります。
※30%以上の軽量化

で、僕はどちらの煙突を主に使用しているかと言うと、②です。

それには理由があります。

①軽量部材の方が、建物に優しいから

②スーパーウールは体内溶解性があり人体に優しいから

③十分な断熱性能があるから

④粉末の煙突より仕入れ金額が安いのでお客様にお安く提供できるから

こんな感じです。

やはり、②の体内で溶けて人畜無害であることが大きなポイントです。

だから環境問題にうるさいヨーロッパでは、このスーパーウールが主流です。

そして、①の煙突は断熱性能が高過ぎる・・・

専門用語で、『オーバースペック』と言います。

高性能故のトラブルが発生することもあります。

二重断熱煙突インナー

断熱性能が良すぎるので、二重煙突のインナーのステンレスが熱に負けて歪むことがあります。

二重断熱煙突インナー2

つまり中の断熱材が放熱をしないので、断熱材自身が貯め込んだ熱で歪むのです。

※これはストーブとの相性の問題でもあります。

全世界で使用されているスーパーウールは断熱性能は十分立証済みです。

こんな実験もしてみましたし。↓



だから、断熱性もほどほどが丁度良い・・僕はそう思っています。

『二重断熱煙突』・・・それは煙突内で発火しても延焼しない煙突

お客様の不安を煽って高額な商品を売り付ける・・・

少なくとも、僕はそんなことはしていないつもりでいます。

金子家もスーパーウールの煙突です。

重い煙突を選ぶか、軽い煙突を選ぶか・・・・それを決めるのはユーザーさま自身です。





 

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