Windows10の延命で経済的どころか損とリスクになるパソコンとは

古賀竜一

古賀竜一

テーマ:Windows10の情報


古いパソコンは「もったいない」にならず、時間と電気代の無駄に

Windows10のサポート終了で、延長サポートを利用して延命するか、それともWindows11へ移行するか、今でも迷っている方も多いでしょう。確かに延長サポートプログラムへ登録すれば期限が1年間延長できます。その間セキュリティ更新は受けられますが、「古いパソコンをそのまま延命すること」は必ずしも得策になるとは限りません。特に性能不足のパソコンを延命することで様々な問題や経済的損失につながる場合が少なくないのです。

ネット上では、「Windows11のシステム要件が緩和された」という噂が流れていて、実際に第2~7世代のCoreシリーズなど、古いPCでもクリーンインストールができることが確認されています。

そこで「まだ動くなら」と使い続けたい気持ちは理解できますし、一見すると節約のようにも思えます。しかし動作の遅さによって作業に余計な時間がかかったり、電力効率の悪さから電気代もかさみます。さらに寿命が迫ったPCにつきものの故障リスクやデータ損失の危険も無視できません。結果的に「もったいない」どころか、余計なコストと時間の浪費につながってしまう可能性が非常に大きくなってしまいます。

そこで今回は、Windows10の延長サポートを利用しないほうがいいパソコンとその理由を解説します。



1.非力なCPUのPC

10年以上前のCeleronやPentium、初期のCore i シリーズ(第1~第3世代)などは、見かけ上はまだ正常に動いているように見えても、実は裏では最新のアプリやウェブサイトの処理に追いついていません。

特にIntel Pentium、Celeron (第3世代以前)などは元々エントリーレベルのCPUであるため、動画再生やマルチタスク性能はさらに劣ります。1080p動画のスムーズな再生は単体でも厳しいことが多く、他の作業を同時に行うことすら困難になる場合があります。

非力なCPUだとどうなるか

これらのCPUは、当時の一般的な利用には十分でしたが、高効率な動画コーデック(H.265など)のハードウェアデコード機能が不十分なため、ソフトウェア処理に頼ることが多くなり、CPU使用率が100%近くになることがあります。セキュリティ更新の適用に1時間以上かかる、動画視聴がカクつく、オンライン会議で音声が途切れるなど、「今どきの使い方」に耐えられないケースが多発します。延長サポートを受けても結局は「使えないPC」になり、Windows11搭載PCとの快適性の差は歴然となります。

2.メモリ容量が少ないPC

4GBでは今時厳しい

Windows10自体は4GBでも動作しますが、今時のブラウザは容量を大きく占有しますので、現実的にはタブをいくつか開くだけでメモリ不足になります。TeamsやZoom、Officeを同時に使うと、固まったように動かなくなったり、支障を来たすほどの遅延が発生しやすくなります。

RAMが少ないとどうなるか

「動くには動くが、仕事や日常利用に耐えない」というストレスフルな状態に陥ります。さらにメモリ不足は更新プログラムの失敗やシステムクラッシュの原因にもなります。Windows11では最低8GB以上が現実的なラインとなっており、快適性の差は圧倒的です。

少ないだけでなく、シングルチャンネルではボトルネックに

そういうことなら8GBはあるので問題ない・・というわけにもいきません。メモリにはシングルチャンネルとデュアルチャンネルがあります。 デュアルチャンネル(同容量のメモリを2枚組み合わせ)のPCなら転送速度が約2倍になるため問題ないですが、メモリ1枚だけの「シングルチャンネル」PCでは、ボトルネックとなって性能を発揮しきれない場合あります。8GB あっても1枚しか搭載していないPCはボトルネックがあるPCとなります。

3.システムディスクがHDDのPC

容量が大きくても不向き

「HDD容量は1TBで空き容量もまだ余裕があるので無問題」と思う方もいますが、問題は容量ではなく「速度」です。HDDはSSDに比べてはるかに遅く、Windowsの起動やアプリの立ち上げに致命的な差が出ます。

最大のボトルネックになる

更新プログラムの適用だけで数時間、再起動後に操作可能になるまで数分~数十分待たされることもあります。ウイルス対策ソフトとの相性も悪く、セキュリティリスクすら増します。Windows11世代のPCはほぼすべてSSD搭載のため、「待たされるストレス」とは無縁です。

4.SSDで空き容量が少なくなっている

SSDでも遅くなる

Windows10のパソコンで少し前にSSDに換装したという場合、快適に使えているしせっかくSSDに移行したばかりなので、サポート延長を選択したい・・と思うかもしれません。しかし、SSDは高速ですが空き容量が少ないと急激に速度低下が起こり、寿命も短くなります。残り10%を切ると、更新プログラムの展開すらまともにできず、インストールに失敗するケースも。特に絶対的容量が小さいSSDでは顕著です。

突然アクセス不能に陥るリスク

SSDは寿命が近づくと前触れなくアクセス不能になることがあり、「昨日まで普通に動いていたのに、今朝起動しない」ということも珍しくありません。Windows10で酷使していたSSDで大切なデータを失うリスクを抱えたまま延命するのは危険です。

5.上記2つ以上に該当

上記の項目内容が2つ以上該当するパソコンは、非常に効率が悪くWindows10で使い続けるとトラブルや不具合の原因となる可能性があります。「まだ使えるのにもったいない」と考えるよりも、実際には維持コストやリスクによる損失の方が大きくなります。そのようなパソコンでWindows10のサポート延長適用はあきらめるべきです。

非力なPCは「経済的」どころかストレスとリスクを潜在させる

延長サポートは一見「安心して使い続けられる手段」に思えますが、パソコン自体が性能不足や老朽化している場合、それは「経済的」どころか「ストレスとリスクを潜在させる」行為になりかねません。

自動車なら、古い旧車やビンテージカーを趣味や娯楽で延命し、故障やトラブルも楽しみの一つと考える要素もあり得ます。しかし、パソコンでそのような要素を見出して使っている人はあまり見かけません。あるとすれば、どうしても古いソフトウェアを使いたいので仕方なく延命使用しているという場合くらいでしょう。

Windows11搭載PCに乗り換えれば、起動の速さ、アプリの安定性、セキュリティの堅牢さなど、あらゆる面で体験が刷新されます。長期的に見れば、延長サポートで手間暇をかけるよりも、新しい環境に移行するほうが確実に得策です。

サポート終了を機に、自分のパソコンをよく調べてみて「延命か乗り換えか」を冷静に見極めてください。

筆者実績:http://www.kumin.ne.jp/kiw/#ss

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古賀竜一(システムエンジニア)

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ITのユーザーサポートの現場で実際に問題を解決しながら、ITの最新の状況とその問題点を追及している専門家です。多様で複雑になってきたITのことをユーザーにわかりやすく丁寧にお伝えします。

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