悲鳴が上がるWindows11の「24H2対応CPUリスト」を正しく解釈する

古賀竜一

古賀竜一

テーマ:Windows11の情報

Windows10のサポート終了問題で、ただでさえ頭の痛いパソコンの問題に、今度はWindows11の情報に大問題が起きて話題になっています。その大問題とは、Microsoft公式ページに掲載された「Windows11の24H2対応CPUリスト」 です。

「Windows 11 version 24H2 supported Intel processors」

この公式発表を受けて早速、「Windows11の最新バージョン24H2から大量のCPUが対応外にされている!」などと情報が拡散されています。確かにリストからは本来システム要件を満たしているはずのIntelプロセッサ第8世代~第10世代がごっそりと抜け落ちています。

これに脊髄反射した人々が「Microsoftがまだ新しい世代のCPUまで足切りしてきた!」という悲鳴にも近い投稿をしています。

しかし、英語のページを詳しく正確に解釈すると、言われているようなことは記載されていません。そこで、あまりに性急な判断と結論が拡散されて混乱が生じないように、正しい内容を読み解いて詳しく解説してみたいと思います。



説明文の要点

1. プロセッサリストの意味

Microsoftが公開している「サポートされるプロセッサのリスト」は、Windows 11を動作させるために必要な最低限のCPUモデルから、発表時点での最新のCPUまでを含んでいます。ただし、このリストには、将来発売されるであろう新しいCPUはすぐには追加されないといっています。

ポイントとして以下の内容が読み取れます。

〇このリストに載っているCPUはWindows 11で動作保証されている。
〇リストに載っていない新しいCPUでも、同じ基準を満たしていればサポートされる可能性がある。
〇プロセッサリストは常に最新ではなく、Windowsの新バージョンが出るタイミングで更新される。

2. プロセッサの基準

サポートされるCPUは、以下の基準を満たしている必要があります。

〇セキュリティ面での設計がしっかりしていること
〇信頼性が高いこと(長期間安定して動作すること)
〇Windows 11の最低システム要件を満たしていること

つまり、「単に新しいCPUだからといってすぐにサポートされるわけではなく、Microsoftの基準をクリアしている必要がある」ということです。

3. OEM(パソコンメーカー)向けの指示

パソコンメーカー(OEM)は、新しいWindows 11搭載PCを作る際に、Microsoftが指定するCPUを使用する必要があります。また、使用するデバイスドライバー(ハードウェアを動かすためのソフトウェア)にも条件があります。

〇「Windowsハードウェア互換性プログラム(WHCP)」に合格した最新のドライバーを使うこと。
〇DCH(宣言型・コンポーネント化・ハードウェアサポートアプリ)の設計原則に基づいた最新のドライバーを使うこと。

つまり、新しいPCには、Windows 11に最適化された最新のドライバーを使う必要があるという内容です。要するにこれから出荷するWindows11の24H2のパソコンはCPUリストに掲載されたサポートされるCPUを使用しなさいというメーカー向けの案内です。リストに掲載されていないCPU搭載の既存PCへ24H2のインストールができない、またサポートしないということではないようです。

第8世代~第10世代が動作対象外になったわけではない

結論として、Windows 11 バージョン 24H2 の対応プロセッサリストに掲載されていないからといって、Windows 11 のシステム要件を満たしている古いCPUが動作対象外になったわけではありません。

新しいCPUには追加された命令セットがあり、OS上でそれを利用するシステムやアプリケーションの動作が焦点となります。このリストに掲載されているCPUの意味は、Microsoftの基準に基づき、現在および将来的に追加されるさまざまな機能や処理に対応しているものという意味です。ですからこれにより旧世代のCPUが即座にサポート外となるわけではなく、下位互換性がいきなり廃止されるわけでもありません。

つまり、このリストは「24H2対応の新機能がサポートされるCPUリスト」であって、リストに掲載されていないCPUが完全にサポート対象外になったり、動作しなくなることを意味するわけではありません。しかし、一部のユーザーが「リストにないのであれば24H2でサポートされないだろ」と誤解しているケースが見られます。実際には、Windows 11 のシステム要件を満たしている限り、これまでのWindowsの経緯を考えても従来のシステムやアプリケーションは引き続き動作すると言えます。

分かりやすく言えば、グラフィックスアダプターの処理能力が低い場合や、最新の技術に対応していない場合でも、画面がまったく映らなくなるわけではないのと同様です。パフォーマンスが低下する可能性はあるものの、アプリケーションが動作しないことはありません。その場合最新機能が利用できないため、特定の処理やコンテンツの品質・パフォーマンスが100%発揮できないだけ・・ということと同じ理屈です。

今回のMicrosoftの発表では、「リストに掲載されていないCPUが動作対象外になる」とは明言されていません。したがって、24H2のプロセッサリストに掲載されていなくても、Windows 11 のシステム要件を満たしている古いCPUが即座に動作対象外になるわけではないと解釈できます。

リストに載らないCPUがある理由

〇リストの更新が間に合っていない
Microsoftのリスト更新はWindowsの「一般提供(GA)」のタイミングで行われるため、メーカーの最新CPUや、一部の既存CPUが掲載されないことがある。

〇公式なテスト対象外の可能性
古いCPUの中には、Microsoftが正式に検証していないものがあるが、要件を満たしていれば動く可能性がある。

〇サポート終了が決まっているCPUは除外される可能性がある
例えば、古いIntelやAMDのCPUの中には、メーカー側で既にサポートが終了しているものがあり、Microsoftが積極的にリストに載せていない可能性もある。

「リストにない=動作不可」ではない

結論として「リストにない=動作不可」ではないということが読み取れるわけです。Windows 11のシステム要件を満たしているならこれまで通り動作する可能性が高いといえます。ただし、厳密にいえば将来のアップデートで非対応になる可能性もゼロではないことは留意しておく必要があると思います。

今使っている古いCPUが24H2で使えるかどうか心配な場合は、PC 正常性チェックを使用したり実際にインストールして(要件チェックの回避策を取らずに)動作を確認するのが確実で、Microsoft公式もそういっているようです。

※2月28日Microsoft公式ページで情報が更新されました。
更新されたWindows11 24H2対応CPUリスト、Intel第8世代~10世代Coreも掲載
https://mbp-japan.com/saga/pc-pro/column/5186544/

筆者実績:http://www.kumin.ne.jp/kiw/index.htm#ss

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