日本の現存PCのうち4割以上がWindows11にアップグレードできない!
なぜか早いと感じてしまうWindows11のリリース
●6月24日にMicrosoftからWindows11が公式発表されました。その後実際のリリースは2021年、10月5日に正式リリースされました。最近ようやくWindows7からWindows10にしたばっかりなのに・・・と思われるユーザーも多いと思います。
●しかし、Microsoftのプログラムリリーススケジュールはそんなユーザーの声もむなしく、次々と新バージョンに移行していきます。Windows7から10への更新の際に起きたような大混乱やトラブルが今回は起きてほしくないのですが、できるだけ予備知識を知っておくことでトラブル回避に役立てましょう。
●特に今回はリリース間隔が短く早いような感じがしますが、Windows7から10への更新では間にWindows8、8.1が挟まっていたことが忘れ去られているために特に早い気がするのだと思います。
●そんなユーザーの現場の声には大変同感でITサポートエンジニアとしても心苦しく思いますが、仕事としてできる限りユーザーのお力になれるようにご支援や情報発信、対応を怠るわけにはいきません。
●さて、最新のWindows11についてユーザーが最も気になる点をサポートの専門家としての観点から検証してみたいと思います。情報は、Microsoftからの発表直後のものを基にしています。状況によって変更等の可能性がありますので、公式サイトから常に最新の情報を得るようにしてください。
気になる点その1、Windows10から操作性はどう変わるのか
●公式サイトでは、デザインやグラフィックスの刷新と、よりコミュニケーションがとりやすいようアプリなどへのアクセス性が謳われています。確かに見た目は変わりますがそのほか特に目玉となる部分についてはアピールされていません。
●基本的なコア部分はおそらく大きく変わってはいないようです。お化粧直しといったところでしょう。かつてのWindows Vistaが7になったときのような感じです。
●システムがよりセキュアになっている点を除いてサポートエンジニア視点で見ると、Windows7から10になった時のような大きな機能的変化は感じません。
●Windows10はリリース直後から未完成のまま放流されたかのように、様々な問題が噴出しましたがビルドを重ねるごとに、より完成度が上がっています。ですから大きな変更点がないWindows11はリリース時に特に問題が出なければWindows10の完成形になる可能性があります。
その2、今のWindows10からアップグレードできるのか?
●公式サイトでは、今使っているWindows10のパソコンからアップグレードできるかどうか判定し検証できるソフトが用意されています。このチェッカーをインストールすることで機能的、機器的にアップグレードできるパソコンかどうか判定してくれます。
●Windows11導入チェック用ツールアプリのダウンロードは以下のURLからできます。
Windows11互換性の確認
https://aka.ms/GetPCHealthCheckApp
●Windows11は10よりもセキュアなOSになっているようで、ハードウェア、ソフトウェア両方の導入要件が厳しくなっています。Windows10のパソコンでは、様々な事情からセキュアな設定をいろいろと無効にしている個体もあり、導入可能なPCでもチェック上では不可となることがあります。
●互換性の確認で要件を満たさないという結果が出てもハード、ソフト両面の設定見直しを行うことで導入が可能になる場合があります。
●具体的な設定内容としては、メインボードのBIOでに以下の設定が必要です。判定ソフトで不可になってさらに以下の設定項目がないPCは導入は不可ということになります。
〇UEFIが有効であること(MBRは不可でGPTに変換が必要)
〇セキュアブートが有効であること
〇TPMが2.0でかつ有効になっていること
●以上のどの要素が欠けてもWindows11はインストールできないようです。BIOSは公開されている最新のものにしておく必要があります。
●TPMについては、BIOS上で有効に設定する必要がありますが、BIOS上の表記はBIOSの種類やメーカーごとに違う場合があります。例えば
〇Intel PTT Support
〇Intel Platform Trust Technology
〇Trusted Platform Module
〇security device support
〇TPM support
〇change TPM state
〇Security Chip
〇Intel Platform Trust Technology
等となっているでしょう。そのほかの表記もあるかもしれません。TPMをBIOSで有効にしてもチェックソフトで対応外判定になる場合はバージョンが2.0でない可能性があります。
現在わかっている動作要件から推察できることとは
●対応など技術的なことは難しい面もありますのでWindows11へのアップグレードの際は専門家に相談をしたほうが良いでしょう。UEFIやGPTの設定などストレージ関連の設定をいじることになると万が一起動できなくなったりする可能性があります。Windows11の要件を満たしたうえでWindows10をクリーンインストール後にアップグレードするという手順が必要になる状態のPCもあるかもしれません。
●また、Core i シリーズの第7世代の一部を含めた以前のパソコンにはインストールできません。第8世代以降のCPU搭載パソコンが公式サポートとなっています。
●グラフィックス関連の要件としてはDirectX12が必須です。
インテルグラフィックス・コントローラーの対応API
●現在Microsoftの公式サイトではIntelのCore i シリーズの場合、第8世代以上で動作対象となっていますが、ISOなどを使用したクリーンインストールの場合はインストール可能とされています。ただし、サポート外のPCにインストールした場合、ドライバーなどが当たらないとか、エラーが出やすくなると言ったことがMicrosoftから情報が出ているようです。ですから、動作対象外のパソコンでのメインPC利用は避けたほうが賢明でしょう。
●詳しい要件は以下のMicrosoftの公式ページを参考にしてください。
Windows 11 の仕様、機能、コンピューターの要件を確認する
●デバイスの適合性についてはWindows10上の以下の方法でもある程度分かります。
●Windowsセキュリティーを開きます。
●「デバイスセキュリティー」を開き、「お使いのデバイスは標準ハードウェアセキュリティーの要件を満たしていません」と表示が出たら、Windows11のアップグレード要件に関わる部分が満たされていないことになるでしょう。
その3、アップグレードにどのくらいの費用が掛かるか
●公式サイトでは「無料です。ただし最新版の Windows 10 を実行している Windows 10 PC で、ハードウェア仕様の最小要件を満たしている場合のみアップグレード可能です。」とあります。
●要するに、アップグレードするにはその時点で最新バージョンのWindows10でなければならないようです。正式リリース時ではバージョン2004以降となっています。バージョンについての解説は以前の当コラムでも解説していますので以下より参考にしてください。
●「Windows10なのにサポートが終了していた!? 10はバージョンを更新していく必要がある」
https://mbp-japan.com/saga/pc-pro/column/4012254/
●Windows11正式リリース開始!早速更新する?でも思い出してほしいWindows10リリース時の大混乱を
https://mbp-japan.com/saga/pc-pro/column/5095552/
※追記:システム要件については、Microsoft公式サイトなどで常に新しい情報を得るようにしてください。
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●噂ではWindows11はサブスクリプション化するのではないかと言われていましたが、どうやらそうでは無いようでほっとしています。もし、サブスク化したら今度こそ本格的にLinuxへの移行を推奨しようと思っていましたが、しばらくは様子見となりそうです。
九州インターワークス
「Windows OS導入支援」
http://www.kumin.ne.jp/kiw/vista.htm