激変するIT産業、ITの進化はなぜこんなに早いのか?現状とこれから先の未来予想
ペーパーレス化による経費削減が急務に
●最近の業務用複合機はFAX、プリンタ、スキャナ、コピーの主に4つの機能を持っていて、ネットワーク化、ペーパーレス化、モバイル対応も進んでいます。今ではOA機器の必需品として事業所には欠かせない存在です。
●印刷枚数が多い事業所では、コスト面でリース複合機のメリットは存分に享受できているようですが、それでも月々のリース料は安くても数万円程度になります。低価格な普及機ですら支払い総額にすると100万円前後になってしまい、SOHOや小規模事業者にとっては相当のコスト負担になります。
●確かに、リース料が経費で落とせるとは言っても、事業には他の機器や物品も必要で、経費を振り向けたいものが他にもたくさんあります。それにリースは中途解約ができないため、今時のSOHOのように機動性や最新機能などの面を重視したい場合、リース契約の複合機は事業の足かせになることもあります。
●それに最近の消費税増税などの構造不況で、事業所によっては経費削減が切実な問題として急務になっています。これまで事業運営の必需品であり中核であったリース複合機といえども既にコスト削減においては聖域ではなくなりつつあります。また、加速するペーパーレス化によって費用対効果が薄れてきているということもあります。
●しかし、便利さと機能、メンテナンス性、サポート体制においてリース複合機は一定の信頼性と評価があるため、手放すことに抵抗を感じてしまう事業所もあるようです。結局、自分たちで面倒臭いことを考えるよりリース契約したOA会社にすべて任せておけば安心・・・という結論になってしまいます。
●ところが最近、この傾向にも異変が起きはじめています。
※リース複合機は場合によっては移動性、新技術への追従性、高コストなど 小規模事業者にとってニーズへの齟齬が出始めている。
SOHO、小規模事業者で拡大している「脱リース複合機」
●その異変とは何かというと、出張サポートに出向く事業所の事務所に、インクジェット式のビジネスA3複合機をあちこちで頻繁に見かけるようになったのです。
●EPSONやBrother、HPなどのメーカーがビジネスインクジェットA3複合機に力を入れ始めていることもあって、導入が激増しているようなのです。
●特に、印刷枚数がさほど多くない事業所ではリース複合機のコスト的なメリットもそう大きくならないために、リース継続や導入そのものについて考え直すところが出てきていて、インクジェット複合機の普及の遠因になっています。
●価格も、ネット販売などでは本体価格が3~5万円。中にはA4対応だけなら1万円前後のものもあり、機能的にもリース複合機とほとんど同程度のことが可能になっています。無線LAN(Wi-Fi)対応、LANネットワーク対応で文書管理もできるようですし、インクジェット方式ですが顔料インクを使用して「にじみ」の低減などにも対応しています。トレーも多段化が可能なものもあって、当然A3にも対応しています。スマホからの直接印刷も可能など、その進化には目を見張るものがあります。
●印刷の速さや大量印刷などを必要としない場合は、それで十分に役割を果たせるようになってきているのです。
●主なビジネスインクジェット複合機メーカー
EPSON
https://www.epson.jp/products/bizprinter/
Brother
https://www.brother.co.jp/product/printer/inkjet/index.aspx
HP
https://jp.ext.hp.com/printers/business-printers/officejet/
Canon
https://cweb.canon.jp/maxify/lineup/index.html
※コンパクト、低価格、高機能なビジネスインクジェット複合機。
これからの小規模事業では主役となりうる存在になる。
本格的な「脱リース複合機」で毎年十数万円を節約可能
●書類によってはトナーインクの文書が必要な場合も出てくることもありますが、事業所によってはページプリンタを併用しているところも多く、さほど問題になっていません。
●または旧式のリース複合機を更新せず、再リース化したりすれば、ページプリンタ代わりとなって利便性を損なうことはないでしょう。
●仮にページプリンタを別途新規で導入したとしても、最近では本体価格で1万円前後~数万円程度で入手が可能です。
●それらをあわせて、設定費などがかかったとしても10万円前後で納まる勢いです。月々のインク代が気になりますが、紙媒体の出力がほとんど無い事業所の場合、通常の印刷はページプリンタに任せて、複合機は機能だけを使えばインク代が嵩むことはないと思います。
●そういうことを考えると、最新のネットワーク対応FAX複合機の環境が10万円以下でできてしまう時代になった・・ということなのです。事業所によっては、本格的な「脱リース複合機」も可能ではないかと思います。
●その経費の差額を考えるとまさに破壊的な差となります。
※HPのインクジェット複合機 4630。なんと5千円台で自動給紙 FAX、コピー、スキャナ、 プリンタ、無線対応
※NECのA4ページプリンタ。本体価格は1万円前後。トナー方式が必要な文書ならこれで十分。
メンテナンスなどのサポート、運用面での問題はないのか?
●しかし、問題はメンテナンスなどの運用面です。リース複合機ならば電話一本でOA会社の担当者が駆けつけてくれるというメリットがあり、「面倒臭いトラブル解決から開放される」ということが唯一の導入動機である事業者もあるかと思います。
●ところが現実には平日以外も営業している事業所の場合、土日祝祭日はOA機器会社の担当者は休みで来てくれません。
●また、OA機器会社の担当者の多くはITリテラシーが乏しく、ネットワークや端末設定に精通していないために、リース複合機が原因でないトラブルの際に、問題解決が遅い、的確な判断ができないなどで端末を含め総合的な保守管理となっていない事業所も多いのです。
●そういうことを考えても、リース複合機のメリットが次第に薄れてきているのも確かです。
●では、脱リースした場合の故障対応はどうするか・・・ということは現実的な問題となってしまいますが、価格的に考えても「通販で買ってしまえば解決する・・・」これは決して極端で現実離れした話ではないと思います。
●通販ならばボタンひとつで翌日に届きますから入れ替えてしまうだけです。それで不安ならば同機種をもう1台ストックしておいて、入れ替えるだけにしておくと言う方法もあるかもしれません。なぜならば、本体だけなら数万円程度で入手が可能だからです。どうかすると修理代より安いかもしれません。
●実に簡単な結論ですが、それでも年間20万円近いコストがかかるリース複合機のことを考えると、「脱リース複合機」は事業コストの削減に直結する現実的な話として注目しても良いのではないでしょうか?
※インクジェット複合機の難点は、図面などの高精度描写が必要な場合や枚数が極端に多い連続印刷などがある場合には速度や精度に関して不向きな点です。また、枚数が多い場合はコスト面でトナーよりも割高になります。導入前には必ず事業環境の要求性能などを良く確かめてください。