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田原稔久

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田原稔久(たはらとしひさ) / 建築家

田原建設株式会社

コラム

地盤改良すれば、元田んぼや畑だった地盤に新築住宅を建てても良いか?

2016年6月9日 公開 / 2016年6月30日更新

テーマ:耐震補強・耐震改修

コラムカテゴリ:住宅・建物

コラムキーワード: 耐震補強


もう一度確認したい 見過ごされがちな地盤の大切さ

さて今回は耐震補強や耐震改修と言った話題を一度離れて、新築住宅を建てるケースを例にとりながら、地盤の大切さについて考えてみましょう。

これまでのざっくりとしたおさらいですが、建っている家屋や基礎の部分までは気にしていても、家が建っている地盤そのものがどのような地盤であるかに関してはご存知のない方がたくさんいらっしゃると思います。しかし液状化現象をはじめ、弱い地盤が引き起こす問題は様々あるのです。

そこで今回はよくある質問の一つである「元田んぼや畑だった地盤に新築住宅を建てても良いか」に焦点をあてて、もう一度、地盤の大切さを確認してゆくことにしましょう。

まずは地盤調査を行いましょう

なんとなくイメージされるように、田んぼや畑だった地盤は、建築に向いていない可能性が多くあります。しかし、実際にそれがどうしてなのか、漠然としたイメージではなく、少し詳細に考えてみましょう。

まず田んぼですが、一般的に「水の集まりやすい低地」は地盤が軟弱であることが多いとされています。元田んぼで今は水が無かったとしても、そうした土地は水はけのよい高台にはまず存在せず、他にも植物片が多く混じっているために圧縮しやすいなどの理由から、建物を支える地盤には向いていないことが多いのです。

また、同じ理由から圧縮しやすい地盤である元畑には、さらに土地改良を難しくする要因が絡んでいる可能性があります。これはどちらかというと関東地方に多く見られるのですが、畑として活用する為に、リン酸の土壌改良資材が投入されているという可能性です。酸性の土質に対しては、地盤改良の方法の一つであるセメント固化剤がうまく作用しないことがあるのです。

元田んぼや畑の土地はイメージされる通り、土地の圧縮しやすさや土質など様々な問題で、住宅を建てるには適さない場合が数多くあります。しかし、これらはあくまで一般論であり、実際の地盤や土質がどのようなものかは、地盤調査を行わなくては何とも言えません。

地盤調査には大きく分けて二つの方法があります。ひとつはスウェーデン式サウンディング試験(SWS)と呼ばれる方法で、ねじ状になった機械の先端部を地中で回転させながら押し込むことで、地盤の固さを調べるものです。こちらはコストの面から現在、広く普及している方法ですが、問題点としては地盤の土質が調査できないことです。

一方のボーリング調査と呼ばれる方法ではコストはかかりますが、土質の調査までが可能なため、土地改良に必要な情報がより多く得られます。

結論として、実際には「元田んぼや畑だった地盤に新築住宅を建て

さて、最初の「元田んぼや畑だった地盤に新築住宅を建てても良いか」に戻りますと、適切な地盤調査を行い、その土地が家を建て得る土壌、あるいはそうした土壌に改良が可能であれば、当然答えはYesです。しかし、一説には新築住宅の3件に1件程度は地盤に難があり、基礎強化などの対策をとっているとも言われています。

また、大規模な地盤改良には多額のコストもかかるため、まだ土地を購入していない方は、まずその土地の来歴などを調べた上で、購入を検討されることをお勧めします。

液状化対策にも有効な地盤改良の耐震補強・耐震改修

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