院長夫人が知って得するクリニックのお金を管理するための三つのポイント vol.113

原聡彦

原聡彦

テーマ:医療経営の処方箋

最近、個人診療所の院長夫人からこんなご質問を受けました。
「会計事務所から損益計算書で利益が出ていると説明されるがお金が厳しい。なぜ、利益が出ているのにお金は厳しいのでしょう。利益が出ている実感がわかないんです。」

個人立の診療所はどうしてもドンブリ勘定(事業のお金、プライベートなお金が混在してしまい、お金の管理ができていない状態)となります。

そこで、本日は、院長夫人が知って得するクリニックのお金の管理するための三つのポイントを下記にまとめました。

ポイント1.預金通帳を毎月末の残高を把握する。
クリニック用で使用している預金通帳の残高をすべて把握する。そして、先月末と今月末の残高を比較して預金残高の増減を把握する。

ポイント2.三つの収支を把握する。
預金残高の増減の要因を分析する際に三つの収支を把握しておくと便利です。

①経常収支
クリニックを経営して残ったお金。
数字で把握するためにはまず損益計算書をみてみましょう。
【診療収入ー薬品・検査等減価ー人件費ー地代家賃ーリース料ーその他経費ー減価償却費=税引き前利益】

経常収支の簡単な計算方法は損益計算書の【税引き前利益+減価償却費】で確認してみましょう。
これがマイナスになると現在の患者数が経費賄うまでにいたらないという事になりますので要注意です。

②財務収支
主に貸借対照表(その時点の財務状態を表す指標)に係る部分です。
代表的な例では借入金の元本返済部分です。借入金の利息は経費となりますが元本部分は経費となりません。借入金返済表を見て年間いくらぐらいの元本返済が必要か確認してください。
あと、資産計上する医療機器、車両を購入した金額も財務収支となります。

③事業主個人収支
事業主個人収支は事業主勘定(店主勘定)です。主に税金、生活費、健康保険、国民年金、生命保険料、住宅ローン、教育費など、事業に関連しないプライベートな支出です。

☆上記三つの収支を把握しておけば、どの収支を改善していけばいいのかがよくわかります。例えば事業主個人収支で生命保険料が年間500万円以上払っているなど目的が明確になっていればOKですが、知らない間に膨らんでいたという支出が意外と多いものです。ぜひ、顧問税理士にも協力してもらって三つの収支を把握頂きたい
と思います。

3.資金計画を作成し資金繰りを行う。
上記2の三つの収支の把握し、今後のお金の計画【いつ、どれくらいいるのか、準備できるのか、借りるのか、分割でいくのか など】を立てる。

例えば、
・税金
所得税は4月、7月、11月 住民税6月、8月、10月、1月など確定申告書を提出した時点で住民税も概算で掴めます。別途、税金は積立預金をして頂くと資金繰りに困りません。状況個人診療所経営は三つの収支を見ておくといいでしょう。

・資産購入
医療機器の導入計画を院長から確認しておく。少しでもいい機器で診療をやりたいと思うのが医師です。また、日進月歩で進化している医療機器で診療すると従来より生産性(診断の精度、時間短縮など)がアップする医療機器もあります。医療機器の導入は一括支払、分割(割賦)、リースなどあります。自院の資金繰りに合致した方法で導入することをお勧めします。

改装工事(修繕費用):上記と同じく計画性をもって進めて頂きたいと思います。
教育費:ご子息が医学部に入学するご予定があれば、計画的にお金を積み立てて頂きたい。教育ローンという選択肢もありますが、借りたら返さないといけません。この辺は院長ともご相談をしながらご検討頂きたいと思います。

生命保険料:年払い、月払いなど費用負担も決まっていますので資金計画を立てる。そして、現状、加入している生命保険の内容をしっかり把握して【必要なもの】・【不必要なもの】をしっかり把握しておくとよいでしょう。

お金はしっかり管理しないと逃げていきます(残りません)。良い医療をするための前提はクリニックのお金が回っている事と、院長、院長夫人がしっかり財産形成をして経済的に余裕があってはじめて実践できると私は考えていますので、引き続き、私はクリニックを経営している院長、院長夫人がお金に振り回されない資金管理のサポートをやっていきたいと考えています。


最後までお読み頂きありがとうございました。感謝!

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原聡彦(医業経営コンサルタント)

合同会社 MASパートナーズ

院外事務長(事務長代行)、院長夫人コーチング、医療法人運営サポート、医院開業支援など、院長先生の経営のブレーンとして財務と人事の面から健全経営を継続できる環境づくりをサポートいたします。

原聡彦プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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